
2026/10/26
起業するには何から始める?7つの手順と、開業した2,165社の数字(公庫2025年度調査)
起業するには、まず自分の経験を生かせる事業を決め、小さく試してから、お金・事業の形・届出・許認可の順に準備します。日本政策金融公庫の2025年度調査では、開業者の81.1%が同じ業界での勤務経験をもち、開業費用の中央値は600万円でした。
- A開業時の平均年齢
- 43.9歳調査開始以来もっとも高い。最多は40歳代(36.9%)
- A斯業経験(同じ業界での勤務経験)がある人
- 81.1%勤務経験がある人は97.6%
- A事業を決めた理由の1位
- 43.8%これまでの仕事の経験や技能を生かせるから
- A開業費用の中央値
- 600万円平均値は975万円。500万円未満が4割以上
- A開業時に苦労したこと(1位)
- 56.9%資金繰り・資金調達。2位は顧客・販路の開拓(49.9%)
- A黒字基調と答えた割合
- 67.0%調査時点(2025年8月)。赤字基調は33.0%
起業するには、自分の経験を生かせる事業を決め、小さく試してから、お金・事業の形・届出・許認可の順に準備するのが近道です。日本政策金融公庫(以下、公庫)の2025年度調査では、開業した人の81.1%が同じ業界で働いた経験をもち、開業費用の中央値は600万円でした。
「起業 やり方」と調べると、会社のつくり方から始まる解説がたくさん出てきます。ただ、実際に開業した人の数字を見ると、最初に決めるべきなのは会社の形ではなく、何を売るかとお金の計画です。ここでは、公庫の「2025年度新規開業実態調査」(回答2,165社)の数字を使いながら、7つの手順を順番に説明します。
起業とは:自分で事業を始め、売上で生計を立てること
起業とは、勤め先から給与を受け取る立場を離れ(あるいは並行して)、自分で事業を始めて売上を得ることです。個人事業主として税務署に開業届を出して始める方法と、株式会社や合同会社をつくって始める方法があります。
公庫の調査対象は、公庫が2024年4月から9月に融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内だった企業です。開業時の経営形態は個人企業が57.0%、法人企業が43.0%でした。半分以上は個人で始めています。
| 項目 | 2025年度調査の数字 |
|---|---|
| 開業時の平均年齢 | 43.9歳(調査開始以来もっとも高い) |
| 開業者に占める女性の割合 | 25.7%(4年連続で過去最高を更新) |
| 開業直前の職業 | 正社員・正職員(管理職)41.1%、正社員・正職員(管理職以外)31.0% |
| 開業時の従業者数(本人を含む) | 平均2.8人 |
| 開業動機の1位 | 自由に仕事がしたかった(59.7%) |
起業の手順:何から始めるかを7つに分ける
起業の準備は、次の7つの順に進めると手戻りが少なくなります。
- 経験を生かせる事業を決める
- 小さく試して、買う人がいるか確かめる
- 開業費用と資金の集め方を決める
- 個人事業主で始めるか、法人をつくるかを決める
- 税務署などへ届出をする
- 業種ごとの許可・資格をそろえる
- 集客の方法と、やめる基準を決めて開業する
以下、順番に説明します。
手順1:経験を生かせる事業を決める
最初の手順は、これまでの仕事の経験や技能を生かせる事業を選ぶことです。公庫の調査では、現在の事業に決めた理由の1位は「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」(43.8%)、2位は「身につけた資格や知識を生かせるから」(20.6%)でした。
勤務経験がある人は97.6%、同じ業界での経験(斯業経験)がある人は81.1%、経験年数の平均は斯業経験で15.3年です。起業した人の多くは、まったく知らない業界ではなく、自分が働いてきた業界で始めています。
業種ごとの特徴や始め方は、カフェの始め方と開業資金のような業種別のページで、実在する店の数字と一緒に確かめられます。
手順2:小さく試して、買う人がいるか確かめる
2つ目の手順は、店や会社をつくる前に、小さな形で売ってみることです。開業後に苦労したことの上位は「顧客・販路の開拓」なので、開業前に買ってくれる人がいるかを確かめておくと、そのぶん危険を減らせます。
小さく試す方法には、次のような実例があります。
- 間借りで営業する:京都の間借りカフェは、古民家のコワーキングで月5〜6日だけ営業しています。
- 副業で始める:新潟県燕市のパン屋 f.は、小さなコンテナハウスから始め、4年間は副業で続けました。
- 既にある店を引き継ぐ:埼玉のリラクゼーションサロンは、会社員が副業として既存のサロンを引き継いだ例です。
手順3:開業費用と資金の集め方を決める
3つ目の手順は、開業にいくら使い、そのお金をどう集めるかを決めることです。公庫の調査では、開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。
| 開業費用 | 割合(2025年度) |
|---|---|
| 250万円未満 | 20.1% |
| 250万〜500万円未満 | 21.7% |
| 500万〜1,000万円未満 | 29.7% |
| 1,000万〜2,000万円未満 | 18.5% |
| 2,000万円以上 | 10.0% |
開業時に集めたお金は平均1,219万円で、そのうち金融機関などからの借り入れが平均827万円(67.9%)、自己資金が平均279万円(22.9%)でした。調査対象が公庫から融資を受けた企業なので、借り入れの割合は高めに出る点に注意してください。
詳しい読み方は開業資金はいくら必要?にまとめています。
手順4:個人事業主か法人かを決める
4つ目の手順は、事業の形を決めることです。個人事業主なら税務署に開業届を出すだけで始められ、株式会社や合同会社をつくるなら、定款をつくって法務局で設立の登記をします。
法人をつくるときは、登記のたびに登録免許税がかかります。市区町村の「特定創業支援等事業」による支援を受けて株式会社か合同会社を設立すると、登録免許税が軽くなる制度があります(租税特別措置法第80条第3項)。
| 会社の種類 | 通常の登録免許税 | 特定創業支援等事業を受けた場合 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 資本金の1,000分の7(最低15万円) | 資本金の1,000分の3.5(最低7万5千円) |
| 合同会社 | 資本金の1,000分の7(最低6万円) | 資本金の1,000分の3.5(最低3万円) |
この軽減は、令和9年3月31日までに登記を受けるものが対象です。違いと設立費用の全体は個人事業主と法人の違いで比べています。
手順5:税務署などへ届出をする
5つ目の手順は届出です。個人で始める場合、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を、事業を始めた年の確定申告期限までに納税地の税務署へ出します(国税庁、2026年10月26日閲覧)。
期限が短いのは青色申告の承認申請で、1月16日以後に開業した場合は開業の日から2か月以内です。人を雇って給与を払うなら、給与支払事務所等の開設届出書を開設から1か月以内に出します。手順と書き方は開業届の出し方と期限で説明しています。
手順6:業種ごとの許可・資格をそろえる
6つ目の手順は、業種で必要な許可や資格の確認です。たとえば飲食店は、保健所の営業許可と食品衛生責任者が必要で、建物の規模によっては防火管理者も必要になります。
許可は店の設備が基準を満たしているかを見るものなので、物件を決めて内装工事をする前に、保健所や消防署へ相談しておくのが安全です。飲食店の場合は飲食店の開業に必要な許可と資格にまとめています。
手順7:集客の方法と、やめる基準を決めて開業する
最後の手順は、開業後にお客さんを集める方法と、続けるかやめるかを判断する基準を、開業前に決めておくことです。
公庫の調査では、開業時に苦労したことの1位は「資金繰り、資金調達」(56.9%)、2位は「顧客・販路の開拓」(49.9%)、3位は「財務・税務・法務に関する知識の不足」(36.4%)でした。開業後の調査時点では「顧客・販路の開拓」(48.8%)が1位になります。
| 開業後の状況(2025年度調査) | 割合 |
|---|---|
| 予想月商を達成した | 約6割(58.7%) |
| 売り上げが増加傾向 | 60.1% |
| 採算が黒字基調 | 67.0% |
| 開業に「満足」(かなり満足+やや満足) | 74.8% |
| 1週間の労働時間が50時間以上 | 49.8% |
| 事業からの収入に「満足」 | 28.3% |
新しい事業をゼロからつくる過程を数字ごと公開している記録として、前田晃介の0→1もあわせてご覧ください。
よくある質問
起業するには、まず何から始めればいいですか?
自分の経験や技能を生かせる事業を決めることからです。公庫の2025年度調査では、事業を決めた理由の1位が「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」(43.8%)でした。
起業にはいくら必要ですか?
公庫の2025年度調査では、開業費用の中央値は600万円、平均値は975万円でした。500万円未満で開業した人が4割以上います。業種と始め方で大きく変わります。
起業したら税務署への届出は必要ですか?
個人で始めるなら開業届を、事業を始めた年の確定申告期限までに税務署へ出します。青色申告をするなら、年の途中の開業は開業の日から2か月以内に申請します。
起業した人がいちばん苦労したことは何ですか?
公庫の2025年度調査で、開業時に苦労したことの1位は資金繰り・資金調達(56.9%)、2位は顧客・販路の開拓(49.9%)でした。開業後は顧客開拓が1位になります。
出典
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月26日閲覧)
- 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(2026年10月26日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月26日閲覧)
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」第80条第3項(特定創業支援等事業による登録免許税の軽減)(2026年10月26日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月26日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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