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2026/10/26

個人事業主と法人の違い|株式会社・合同会社の設立費用(登録免許税・定款認証)と税率を比較

個人事業主は開業届だけで始められ、法人は設立の登記に登録免許税がかかります。株式会社は資本金の0.7%(最低15万円)と定款認証の手数料1万5千円〜5万円、合同会社は0.7%(最低6万円)で定款認証は不要です。税率・社会保険・届出の違いも公式情報で比べました。

会社をつくる費用と税率(2026年10月時点)確かさ A
A株式会社の登録免許税
資本金の0.7%15万円に満たないときは15万円(国税庁 No.7191)
A合同会社の登録免許税
資本金の0.7%6万円に満たないときは6万円
A株式会社の定款認証の手数料
1万5千円〜5万円資本金の額などで決まる。合同会社は認証不要(日本公証人連合会)
A紙の定款に貼る収入印紙
4万円電子定款なら不要
A個人の所得税の税率
5%〜45%課税所得に応じた7段階(国税庁 No.2260)
A中小法人の法人税率
15%/23.2%資本金1億円以下の法人。年800万円以下の部分が15%(国税庁 No.5759)

個人事業主は税務署に開業届を出すだけで始められます。法人は設立の登記に登録免許税がかかり、株式会社は資本金の0.7%(最低15万円)、合同会社は0.7%(最低6万円)です(国税庁、令和8年4月1日現在法令等)。株式会社はさらに、公証人による定款の認証が必要です。

「法人化したほうが得か」は、利益の大きさや家族構成で変わるため、一律には決まりません。このページでは、判断の材料になる設立の費用・税率・社会保険・届出の違いを、国税庁・法務省・日本公証人連合会・日本年金機構などの公式情報から並べます。

個人事業主と法人の違いとは:事業の持ち主が「人」か「会社」か

個人事業主とは、法人をつくらずに個人として事業をしている人のことです。事業の利益は本人の所得になり、所得税がかかります。法人とは、法務局で設立の登記をして生まれる「会社」のことで、事業の利益は会社のものとして法人税がかかります。

小さな事業でよく使われる法人は、株式会社と合同会社です。合同会社は、合名会社・合資会社と同じ「持分会社」の一つです(日本公証人連合会)。

比べる点個人事業主株式会社合同会社
始め方税務署へ開業届定款の作成・認証、法務局で設立登記定款の作成、法務局で設立登記
定款の認証(公証人)なし必要不要
登記の登録免許税なし資本金の0.7%(最低15万円)資本金の0.7%(最低6万円)
利益にかかる国の税所得税(5%〜45%)法人税(中小法人は15%・23.2%)法人税(同じ)
住民税個人住民税法人住民税(均等割は赤字でもかかる)法人住民税(同じ)
厚生年金・健康保険常時5人以上で、一部の業種を除き加入事業主だけでも加入事業主だけでも加入

株式会社の設立費用:登録免許税と定款認証

株式会社をつくるには、登録免許税、定款認証の手数料、紙の定款なら収入印紙の3つがかかります。

登録免許税は、設立登記のときに国に納める税金です。国税庁のタックスアンサー No.7191 によると、株式会社は資本金の額の1,000分の7で、15万円に満たないときは15万円です。

定款認証の手数料は、公証人が定款を認証するときに払います。日本公証人連合会によると、次のとおりです。

資本金の額など定款認証の手数料
100万円未満で、下の3つの条件をすべて満たす1万5,000円
100万円未満(上記以外)3万円
100万円以上300万円未満4万円
上記以外5万円

1万5,000円になる条件は、①発起人の全員が自然人(個人)で3人以下、②発起人が設立時に発行する株式の全部を引き受ける(発起設立)、③取締役会を置かない、の3つです。この減額は令和6年12月1日から始まりました(嘱託が令和6年11月30日以前なら従前の3万円)。

収入印紙は、紙で作った株式会社の定款に4万円分を貼ります。電子定款(PDFで作り電子署名をした定款)の場合は不要です。

合同会社の設立費用:定款認証が要らない

合同会社は、公証人による定款の認証が要りません。法務省の「合同会社の設立手続について」も「合同会社の定款については、公証人の認証を受ける必要はありません」としています。

登録免許税は、資本金の額の1,000分の7で、6万円に満たないときは6万円です(登録免許税法別表第1第24号(1)ハ)。書面で登記を申請するときは、登録免許税の額の収入印紙を申請書に貼ります。

定款の原本を紙で作ると、株式会社と同じく4万円の印紙税がかかります(国税庁 No.7141、第6号文書)。国税庁は、電磁的記録は印紙税の課税対象となる「文書」に含まれないとしています。

設立費用を比べる:最低いくらで会社をつくれるか

ここまでの公式の金額から、設立に最低限かかる費用を編集部で計算しました。謄本の手数料、登記事項証明書、印鑑の代金、専門家への報酬などは含みません。

会社の種類条件計算式合計
株式会社資本金100万円未満・3つの条件を満たす・電子定款定款認証1万5,000円+登録免許税15万円16万5,000円
株式会社資本金100万円以上300万円未満・紙の定款定款認証4万円+印紙4万円+登録免許税15万円23万円
合同会社電子定款登録免許税6万円6万円
合同会社紙の定款印紙4万円+登録免許税6万円10万円

登録免許税が最低額になるのは、資本金の0.7%が最低額を下回るときです。計算すると、株式会社は資本金がおよそ2,142万円以下(15万円÷0.007)、合同会社はおよそ857万円以下(6万円÷0.007)なら最低額になります。

市区町村の「特定創業支援等事業」による支援を受けて設立すると、登録免許税は資本金の1,000分の3.5になり、最低額は株式会社7万5千円、合同会社3万円に下がります(租税特別措置法第80条第3項。令和9年3月31日までの登記が対象)。

税率の違い:個人は累進、法人は2段階

税率は、個人の所得税が所得に応じて上がる累進課税で、法人税は中小法人なら2段階です。

個人の課税される所得金額所得税の税率
1,000円〜194万9,000円5%
195万円〜329万9,000円10%
330万円〜694万9,000円20%
695万円〜899万9,000円23%
900万円〜1,799万9,000円33%
1,800万円〜3,999万9,000円40%
4,000万円以上45%

資本金1億円以下の普通法人などの法人税率は、年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です(令和7年4月1日以後に始まる事業年度。所得が年10億円を超える事業年度は800万円以下の部分も17%)。

法人には、赤字でもかかる法人住民税の均等割があります。総務省によると標準税率は、資本金等の額が1千万円以下で従業者50人以下の法人なら、都道府県民税2万円、市町村民税5万円です。自治体によっては標準税率と異なる場合があります。

社会保険の違い:法人は事業主ひとりでも加入

厚生年金保険と健康保険は、法人なら事業主だけでも加入します。日本年金機構によると、適用事業所になるのは「株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)」です。

個人の事業所は、従業員が常時5人以上いる場合に、農林漁業・サービス業などを除いて適用事業所になります。強制の対象にならない事業所でも、従業員の半数以上が同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受ければ、任意適用事業所として加入できます。

届出の違い:個人は開業届、法人は2か月以内に法人設立届出書

税務署への届出も違います。

届出個人事業主法人
始めたことの届出開業届:開業した年分の確定申告期限まで法人設立届出書:設立の日(設立登記の日)以後2か月以内。定款などの写しを添付
青色申告の承認申請1月16日以後の開業は開業の日から2か月以内設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日の、早いほうの前日まで

個人で始めるときの手続は開業届の出し方と期限で、起業の準備全体の順番は起業するには何から始める?で説明しています。

日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査でも、開業時の経営形態は個人企業が57.0%、法人企業が43.0%でした。開業費用の全体の目安は開業資金はいくら必要?をご覧ください。

よくある質問

株式会社をつくるのに最低いくらかかりますか?

登録免許税の最低15万円と、条件を満たす場合の定款認証手数料1万5千円で、計16万5千円です(電子定款の場合)。謄本代などは別にかかります。

合同会社の設立費用はいくらですか?

登録免許税は資本金の0.7%で、最低6万円です。合同会社の定款は公証人の認証が要らず、電子定款なら印紙代もかからないため、最低6万円から設立できます。

法人にすると税金はどう変わりますか?

個人の所得税は課税所得に応じて5%〜45%の7段階です。資本金1億円以下の法人の法人税は、年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%です。

赤字でも法人は税金を払いますか?

法人住民税の均等割は赤字でもかかります。標準税率では、資本金等1千万円以下・従業者50人以下の法人で道府県民税2万円と市町村民税5万円です。

出典

  1. 国税庁 タックスアンサー No.7191 登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月26日閲覧)
  2. 日本公証人連合会「認証の手数料」(2026年10月26日閲覧)
  3. 日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」(2026年10月26日閲覧)
  4. 日本公証人連合会「9-4 定款認証」(2026年10月26日閲覧)
  5. 法務省「合同会社の設立手続について」(2026年10月26日閲覧)
  6. 法務局「商業・法人登記の申請書様式」(2026年10月26日閲覧)
  7. 国税庁 タックスアンサー No.7141 印紙税額の一覧表(その2)(2026年10月26日閲覧)
  8. 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」(2026年10月26日閲覧)
  9. 国税庁 タックスアンサー No.2260 所得税の税率(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月26日閲覧)
  10. 国税庁 タックスアンサー No.5759 法人税の税率(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月26日閲覧)
  11. 国税庁 タックスアンサー No.5100 新設法人の届出書類(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月26日閲覧)
  12. 総務省「法人住民税」(2026年10月26日閲覧)
  13. 日本年金機構「適用事業所と被保険者」(2026年10月26日閲覧)
  14. e-Gov法令検索「租税特別措置法」第80条第3項(2026年10月26日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月26日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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