
2026/10/27
主婦の起業|扶養の範囲(所得62万円・収入130万円)と開業届、自宅で始めた実例
主婦から起業するときは、税と社会保険の扶養の基準を先に確かめます。令和8年分の配偶者控除は合計所得金額62万円以下、社会保険の扶養は年間収入130万円未満が目安です。開業者に占める女性は25.7%(公庫2025年度調査)。開業届の考え方と、自宅や近所で小さく始めた実例をまとめました。
- A配偶者控除の所得の条件
- 62万円以下妻(夫)の年間の合計所得金額。令和8年分から(令和7年分は58万円以下)
- A配偶者特別控除の所得の条件
- 62万円超133万円以下控除額は最高38万円。納税者本人の合計所得金額1,000万円以下
- A社会保険の扶養の収入の目安
- 130万円未満同一世帯なら被保険者の年間収入の2分の1未満も条件(日本年金機構)
- A開業者に占める女性の割合
- 25.7%日本政策金融公庫 2025年度新規開業実態調査。4年連続で過去最高
- A女性起業家の平均月商
- 166万円男性起業家は504万円(公庫 2022年度特別調査)
- A女性起業家の開業動機の1位
- 52.3%「自由に仕事がしたかった」(公庫 2022年度特別調査)
主婦の起業は、届出をすれば個人事業として始められます。先に確かめたいのは扶養の基準で、税の配偶者控除は妻(夫)の合計所得金額62万円以下(令和8年分)、社会保険の扶養は年間収入130万円未満が目安です(国税庁・日本年金機構、2026年10月27日閲覧)。税は「所得」、社会保険は「収入」で見るので、同じ売上でも結果が違うことがあります。
日本政策金融公庫の2025年度の調査では、開業した人に占める女性の割合は25.7%で、4年連続で過去最高でした。このページでは、扶養・開業届・事業の選び方を、公的な資料と実例の数字で整理します。
主婦の起業とは:家庭と両立しながら小さく始める事業
主婦の起業とは、家事や育児を担いながら、自分の経験や資格、趣味を生かして事業を始めることです。会社をつくらず、個人事業主として始める人が多い形です。
日本政策金融公庫の調査から、女性の開業の特徴を抜き出しました。
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 開業者に占める女性の割合 | 25.7% | 2025年度新規開業実態調査 |
| 女性起業家の開業業種で最も多いもの | サービス業(40.4%) | 2022年度特別調査 |
| 女性起業家の平均月商 | 166万円(男性起業家は504万円) | 2022年度特別調査 |
| 女性起業家の開業動機で最も多いもの | 「自由に仕事がしたかった」(52.3%) | 2022年度特別調査 |
2025年度の調査では、事業を決めた理由として「身につけた資格や知識を生かせるから」や「趣味や特技を生かせるから」を挙げる割合は、女性の方が男性より高くなっています。また、主な事業所までの通勤時間が「1分未満」の開業者が28.0%いて、自宅やその近くで事業をする人が少なくありません。
扶養の範囲:税と社会保険で基準が違う
扶養の基準は、税と社会保険で別々です。どちらも、妻(夫)が働いて得たお金がいくらまでなら、家族の扶養に入ったままでいられるかの線です。
| 種類 | 基準(令和8年分・2026年10月時点) | 見るもの |
|---|---|---|
| 配偶者控除(税) | 合計所得金額62万円以下 | 所得(売上−経費など) |
| 配偶者特別控除(税) | 合計所得金額62万円超133万円以下。控除額は最高38万円で、所得が増えるほど段階的に減る | 所得 |
| 健康保険の被扶養者(社会保険) | 年間収入130万円未満。同一世帯なら被保険者の年間収入の2分の1未満 | 収入 |
税の扶養は所得で判断します。国税庁のNo.1350のとおり、事業所得は「総収入金額−必要経費」です。青色申告をして青色申告特別控除(最高65万円)を受けると、所得金額からさらに差し引かれます。
たとえば売上が120万円、必要経費が40万円なら、事業所得は120万円−40万円=80万円です。青色申告特別控除65万円を受けると、80万円−65万円=15万円になり、配偶者控除の62万円以下に入ります(編集部の計算。ほかに所得がない場合)。青色申告の条件は青色申告とはにまとめています。
社会保険の扶養は収入で判断します。日本年金機構は、令和8年4月1日から、労働契約の内容から見込まれる年間収入で被扶養者を認定する取り扱いを始めましたが、これは給与収入のみの人が対象です。事業の収入がある人は、どの金額を「収入」として見るかを、配偶者が加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に確かめてください。
開業届は出すべきか
開業届は、事業を始めた年分の確定申告期限までに税務署に出す届出書です。開業届を出しただけで扶養から外れるわけではありません。扶養に入れるかどうかは、上の表のとおり所得や収入で決まります。
開業届を出すと、青色申告の承認申請と一緒に手続を進めやすくなります。青色申告特別控除で所得を下げられるのは、承認を受けた人だけです。書き方と期限は開業届の出し方と期限をご覧ください。
自宅や近所で小さく始めた実例
小さく始めた実例を2つ紹介します。どちらも、店舗を借りずに始めている点が共通しています。
| 実例 | 始め方 | 公開されている数字 |
|---|---|---|
| 京都の間借りカフェ | 古民家のコワーキングを借りて、月5〜6日だけ営業 | 2023年9月は営業5日で売上244,010円、利益60,960円 |
| SAY(大阪市のバレエ・ストレッチ教室) | 公民館などの公共施設を借りて開講。講師は1コマ単位の業務委託 | 月4回のレッスンで月謝5,000〜8,000円(2019年) |
京都の間借りカフェは、ほかの人の場所を空いている日だけ借りる「間借り」で、家賃を固定でかかえずに営業しています。9月の利益60,960円を働いた時間で割ると、時給は1,195円だったと本人が公開しています。
大人のバレエ教室SAYは、家賃を払う自信がなかったため、公共施設をスポットで借りて始めました。講師を1コマ単位の業務委託にしていて、代表は日本政策金融公庫の取材に「専業主婦とも両立しやすい」と話しています。
主婦が起業する手順
- 生かせる経験・資格・趣味を書き出す:女性の起業は、資格や趣味を生かす形が多めです。
- 扶養内で始めるかを決める:税は所得62万円以下、社会保険は収入130万円未満が目安です。
- 小さく試す:間借りや公共施設など、固定費のかからない形で、お客様がつくかを確かめます。
- 開業届と青色申告承認申請書を出す:青色申告の期限は、1月16日以後の開業なら開業から2か月以内です。
- 帳簿をつけ、確定申告をする:売上と経費を記録し、翌年3月15日までに申告します。
資金を借りる場合、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、女性を特別利率Aの対象にしています。
よくある質問
主婦が起業すると扶養から外れますか?
所得や収入で決まります。税の配偶者控除は合計所得金額62万円以下(令和8年分)、社会保険の扶養は年間収入130万円未満が目安です。基準が税と社会保険で違います。
扶養内の所得は売上で判断しますか?
税の扶養は所得で判断します。事業所得は売上から必要経費を引いた額で、青色申告特別控除を受けるとさらに差し引かれます。社会保険の扶養の収入の計算は加入先に確かめます。
主婦が起業するとき開業届は必要ですか?
事業を始めたら、その年分の確定申告期限までに税務署へ出す届出書です。開業届を出しただけで扶養から外れるわけではありません。扶養は所得や収入で判断されます。
主婦の起業ではどんな事業が多いですか?
公庫の調査では、女性起業家の40.4%がサービス業で開業しています。女性は男性より「資格や知識」「趣味や特技」を生かせることを理由に事業を選ぶ割合が高めです。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1191 配偶者控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1195 配偶者特別控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1350 事業所得の課税のしくみ(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」(2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2022年度新規開業実態調査(特別調査)」結果の概要(2022年12月14日公表・2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫『調査月報』2019年9月号 No.132「未来を拓く起業家たち」(SAY)(2019年9月発行・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」(2026年10月27日閲覧)
- 小夏さんのnote「間借りカフェの売上と利益の数字全て公開します!」(2023年10月8日公開)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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