画像はイメージです(AIで作成)

No.030サービス出典 13件2026/10/31

税理士の独立開業は厳しい?登録費用・事務所の要件と独立後の収入の実例

登録手数料A50,000円

税理士として独立するには、開業税理士として税理士名簿に登録し、自分の事務所を設けます。近畿税理士会の手引では、登録にかかるお金は4月入会で計237,800円です。バーチャルオフィスは不可。顧問先ゼロから始めた本人の記録から、独立後の売上も紹介します。

税理士の独立に関わる数字(2026年10月時点)確かさ A・C
C登録にかかるお金の合計
237,800円近畿税理士会の手引から編集部が計算。4月入会の場合。支部会費は別
A登録免許税
60,000円登録申請のときに納める(近畿税理士会の手引)
A登録手数料
50,000円令和9年4月1日以降に収納するものは7万円(日本税理士会連合会の手引)
A税理士会の入会金
40,000円各税理士会で一律(日本税理士会連合会の手引)
A税理士会の会費(年)
82,800円近畿税理士会の場合。会費は税理士会ごとに違う(本文の一覧)。支部会費は別
A税理士登録者数
82,682人令和8年9月末日現在(日本税理士会連合会)

税理士として独立するには、「開業税理士」として日本税理士会連合会の税理士名簿に登録し、自分の税理士事務所を設けます(日本税理士会連合会「税理士登録の手引」令和8年9月)。登録にかかるお金は、近畿税理士会の手引の金額で、4月に入会する場合に計237,800円です(編集部の計算。支部会費は別)。

「独立は厳しい」とよく言われますが、厳しさの中身は人によって違います。ここでは、税理士会の手引と税理士法から費用と事務所の要件を整理し、顧問先ゼロから独立した税理士本人の記録で売上の実例を見ていきます。

税理士の独立開業とは:3つの登録区分のうち「開業税理士」を選ぶこと

税理士の独立開業とは、納税者から直接仕事を受ける「開業税理士」として登録し、自分の事務所を持って働くことです。税理士となる資格がある人は、登録のときに次の3つの区分から1つを選びます。

区分働き方自分の事務所
開業税理士納税者から直接委嘱を受ける設置が必要
所属税理士税理士や税理士法人の補助者として働く設置できない
社員税理士税理士法人の業務執行者として働く設置できない

所属税理士でも、使用者の書面による承諾があれば、自分で委嘱を受けることはできます。勤めながら自分のお客を持つ、という段階を踏む道もあるわけです。

税理士の仕事の中心は、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つです。手引はこれを「無償独占業務」と説明しています。有償はもちろん、無償でも税理士だけが行える業務です。記帳の代行や財務書類の作成は、付随業務として行えます。

登録できる資格があるのは、税理士試験の合格者、試験全科目の免除者、弁護士、公認会計士です(国税庁)。試験合格者と免除者は、租税や会計の事務の実務経験が通算して2年以上必要です。公認会計士は、平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した場合、税法に関する研修の修了が条件になります。

全国の税理士登録者数は、令和8年9月末日現在で82,682人です。税理士法人の届出は主たる事務所が5,346あります。国税庁の表では平成27年度末が75,643人、令和6年度末が81,696人で、増え続けています。

税理士の登録費用:入会金・登録免許税・会費

税理士の登録費用は、登録免許税と登録手数料(申請のとき)に、入会金と会費(登録のあと)を足した額です。近畿税理士会の手引(令和8年7月)では、次のとおりです。

払う時期費用金額
登録申請のとき登録免許税60,000円
登録申請のとき登録手数料50,000円
税理士証票伝達式のとき入会金40,000円
税理士証票伝達式のとき本会費(年間)82,800円(4月入会の場合)
税理士証票伝達式のとき日税連電子認証局分担金5,000円
入会後支部会費支部により違い、年間で最大36,000円程度

編集部で合計すると、110,000円+127,800円=237,800円です(4月入会、支部会費を除く)。本会費は月割りで、たとえば10月入会なら41,400円です。

登録手数料は、令和9年3月31日までに収納するものは5万円、令和9年4月1日以降は7万円に変わります。来年度以降に申請する人は、この分を見込んでおいてください。

入会金は各税理士会で一律40,000円ですが、会費は税理士会ごとに違います。日本税理士会連合会の手引の一覧は次のとおりです。

税理士会会費(年)
東京81,000円
東京地方(神奈川・山梨)84,000円
千葉県84,000円
関東信越75,600円
近畿82,800円
北海道95,000円
東北88,000円
名古屋72,000円
東海84,000円
北陸96,000円
中国82,800円
四国72,000円
九州北部72,000円
南九州84,000円
沖縄93,000円

税理士事務所の要件:自宅はよいが、バーチャルオフィスは不可

開業税理士の事務所は、実態のある場所に1人1か所だけ設けます(税理士法第40条)。事務所を2つ以上設けることはできません。手引は、住所貸事務所などの実態のない場所や、オフィス環境を他者と共有するコワーキングスペースは、税理士事務所として適当ではないとしています。

事務所の形ごとに、主に次の書類を出します(日本税理士会連合会・近畿税理士会の手引)。どの場合も、建物の外観と執務場所を撮影した写真が要ります。

事務所の形主な書類と注意点
自分が所有する建物(自宅など)建物の登記事項証明書。居住専用なら管理組合などの税理士事務所設置同意書
親族が所有する建物建物全部事項証明書と、同意書または使用貸借・賃貸借の契約書のいずれか
賃貸賃貸借契約書のコピー。始期は登録予定日以前に。使用目的が事務所用でないなら同意書
レンタルオフィス利用契約書のコピー。同じ空間に他社がいるなら、資料が見えない独立した空間を確保

管理組合などの同意が得られないときは、税理士事務所設置に関する誓約書で代えられます。他の士業と同じ場所に事務所を置くときは、別の電話番号を使います。

税理士には、業務で知った秘密を守る義務(第38条)と、委嘱者別に帳簿を作って閉鎖後5年間保存する義務(第41条)があります。自宅でお客の資料を扱うなら、家族の目に触れない置き場所を考えておきましょう。

税理士の登録の流れと、かかる期間

登録申請書を出してから登録が決まるまでは、おおむね2月~3月です(近畿税理士会の手引)。手順は次のとおりです。

  1. 税金の未納をなくす:未納があると登録を拒否される理由に当たる疑いが生じるため、申請前に完納します。
  2. 事務所を決めて書類をそろえる:登録申請書、写真、身分証明書、資格を証する書類、履歴書、誓約書、直近2年分の確定申告書などを用意します。
  3. 税理士会に提出する:事務所を置く地区の税理士会に出します(国税庁)。東京税理士会は郵送のみで、提出期限は毎月決まっています。令和8年11月分は11月16日必着です。
  4. 面接と調査を受ける:税理士会の登録調査員による面接調査があり、そのあと日本税理士会連合会の登録審査会で適否が決まります。
  5. 登録と同時に入会する:登録を受けた時点で税理士会の会員になり、支部にも所属します。
  6. 開業の届出を出す:個人で始めるなら税務署に開業届を出します。出し方は開業届の出し方と期限にまとめています。

登録が決まるまでは「税理士」ではありません。税理士業務の受託や予約はできず、名刺やホームページ、SNSに税理士や税理士事務所の名称を使うこと、事務所予定地に看板を掲げることもできません。退職と開業の時期は、この期間を見込んで決める必要があります。

税理士法人は2名以上の税理士が共同して設立するものなので、1人で独立するなら個人の事務所から始めることになります(手引)。なお、行政書士の開業と比べたいときは行政書士の独立開業が参考になります。

独立後の収入:顧問先ゼロから始めた3人の記録

税理士の売上は、年商=顧問数×単価でおおまかに決まります。岩谷敦史さんは、note でこの式を示し、1人で抱えられる顧問数を30社とすると、1社年間30万円なら30社×30万円=900万円で頭打ちになると書いています。

顧問先ゼロから独立した税理士が、本人の名前で公開している数字は次のとおりです。

本人独立時公開されている数字
岩谷敦史さん2020年4月8日。顧問先ゼロ4か月の累計売上は70万ちょっと。2年で顧問先20社・年商約3,000万円
柏野晃平さん(公認会計士・税理士)26歳。顧客01年目の売上250万円(赤字500万円)、2年目の売上1,500万円(顧問1,000/スポット500)
平岡大輔さん30歳で開業、福岡。顧問0件ネット集客で1年に30件増加

いずれも、うまくいった人が自分で公開した記録です。平均的な姿を示す数字ではありません。

岩谷さんは業務の98%を輸出消費税還付に絞り、1社あたりの報酬の平均は年間150万円だと書いています。ただ、広告は最初の3か月、月5万円をかけても問い合わせがゼロでした。絞り込みを直してからは、月3万円ほどで月8件の問い合わせが来るようになったそうです。獲得した20社のうち、広告からは5社で、残りの15社は紹介でした。

柏野さんの1年目の赤字は、集客の勉強やホームページの作成、広告出稿によるものです。公認会計士は独立後しばらく非常勤の監査業務で収入を得られるとも書いており、資格によって最初の条件が違う点には注意が必要です。

開業税理士の平均収入については、公開ページで確かめられる統計が見つかりませんでした。日本税理士会連合会の「第7回税理士実態調査」(令和6年4月実施、回答数38,607件、回答率44.8%)はありますが、報告書は内部資料として作られ、無断の転載などが禁じられているため、この記事では数字を載せません。

年齢の分布は、公開されている第6回調査(平成26年1月1日現在、32,747人対象)でわかります。60歳代が30.1%で最も多く、70歳代13.3%、80歳代10.4%、30歳代は10.3%です。日本税理士会連合会は、お客の側も代替わりで若い経営者が増えており、若手の税理士の活躍が期待されていると説明しています。

個人で続けるか法人にするかは税理士法人の条件が関わるので、一般の事業とは違います。お金の面での比べ方は個人事業主と法人の違いを参考にしてください。

よくある質問

税理士の登録費用はいくらですか?

近畿税理士会の手引では、登録免許税60,000円、登録手数料50,000円、入会金40,000円などで、4月入会なら計237,800円です。支部会費は別です。

税理士は自宅で開業できますか?

できます。建物が居住専用なら、管理組合など管理責任者の税理士事務所設置同意書を出します。同意が得られない場合は誓約書で代えられます。

バーチャルオフィスやコワーキングスペースで開業できますか?

できません。日本税理士会連合会の手引は、実態のない住所貸事務所や、オフィス環境を他者と共有するコワーキングスペースは適当でないとしています。

税理士登録にはどれくらい時間がかかりますか?

近畿税理士会の手引では、登録申請書を出してから登録が決まるまで、おおむね2月~3月かかります。その間は税理士の名称を使えません。

税理士の独立は厳しいですか?

顧問先ゼロから始めた本人の記録には、1年目の売上250万円(赤字500万円)の例があります。一方で2年で年商約3,000万円の例もあり、人によって大きく違います。

出典

  1. 日本税理士会連合会「税理士登録の手引」(令和8年9月)(令和8年9月・2026年10月31日閲覧)
  2. 近畿税理士会「税理士登録申請の手引き」(令和8年7月)(令和8年7月・2026年10月31日閲覧)
  3. 国税庁「税理士の登録」(2026年10月31日閲覧)
  4. 国税庁「税理士制度」(2026年10月31日閲覧)
  5. 税理士法(e-Gov法令API)(2026年10月31日閲覧)
  6. 東京税理士会「税理士登録申請手続き」(2026年10月31日閲覧)
  7. 日本税理士会連合会「税理士登録者数」(令和8年9月末日現在・2026年10月31日閲覧)
  8. 日本税理士会連合会「データで見る税理士のリアル。」(第6回税理士実態調査)(平成26年1月1日現在の調査・2026年10月31日閲覧)
  9. 日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査報告書」(2025年2月21日掲載・2026年10月31日閲覧)
  10. 税のしるべ電子版「日税連が税理士実態調査の報告書を公表」(関連記事の見出し)(2025年3月3日・2026年10月31日閲覧)
  11. 岩谷敦史税理士事務所(note)「独立わずか2年で顧問先20社のみで年商3000万円を売り上げている税理士(私)の全記録」(2022年6月6日・2026年10月31日閲覧)
  12. 柏野晃平(note)「独立してからの収入推移」(2026年1月11日・2026年10月31日閲覧)
  13. 平岡大輔(note)「税理士事務所を地方で開業してからの資金状況、売上推移、顧問先獲得方法、値決めについて」(2020年4月17日・2026年10月31日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

同じ棚の業種

業種の図鑑へ

公開 2026年10月31日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。

あわせて読みたい