画像はイメージです(AIで作成)司法書士の独立開業|登録費用・事務所の要件と、独立後の売上・所得の実際
経営者司法書士の売上(平均)A1,683.5万円
司法書士として独立するには、事務所の地の司法書士会を通して名簿に登録し、同時に入会します。登録免許税30,000円と登録手数料25,000円は全国共通で、東京は入会金を足して計90,000円です。日司連の調査では経営者の売上は平均1,683.5万円、所得は平均453.9万円でした。
- C登録と入会にかかるお金の合計
- 90,000円登録免許税・登録手数料・入会金の合計。東京の入会金で編集部が計算
- A登録免許税
- 30,000円登録免許税法の別表で「一件につき三万円」。全国共通
- A登録手数料
- 25,000円日本司法書士会連合会に納める。全国共通
- A司法書士会の月会費
- 17,200円東京で開業した本人の記録。神奈川県は会則で23,000円
- A経営者司法書士の売上(平均)
- 1,683.5万円第2回司法書士全国調査。令和元年分の確定申告
- A経営者司法書士の所得(平均)
- 453.9万円同じ調査。所得0円との回答が17.2%
司法書士として独立するには、事務所を設ける地の司法書士会を通して日本司法書士会連合会の名簿に登録を申請し、同時にその会へ入会します(司法書士法第9条・第57条)。かかるお金は、登録免許税30,000円と登録手数料25,000円が全国共通で、東京の入会金35,000円を足すと計90,000円です(編集部の計算。月会費は別)。
独立後の数字は、日本司法書士会連合会(日司連)の第2回司法書士全国調査で、経営者司法書士の売上が平均1,683.5万円、所得が平均453.9万円でした。ここでは、法令と日司連の資料、本人が公開した開業記録から、費用・事務所の要件・独立後の実際を整理します。
司法書士の独立開業とは:名簿に登録し、自分の事務所を経営すること
司法書士の独立開業とは、司法書士名簿に登録して司法書士会に入会し、経費を負担して自分の事務所を経営することです。全国調査では、こうした人を「経営者司法書士」と呼んでいます。
司法書士となる資格は、司法書士試験に合格するか、裁判所事務官などとして通算10年以上の職務経験があって法務大臣の認定を受けると得られます(第4条)。ただし、資格だけでは名乗れません。第8条で名簿への登録が必要とされ、会に入っていない人は登記や供託の手続きの代理などの業務を原則として行えません(第73条)。
数字で見ると、司法書士は次のような規模の職業です。
| 項目 | 数字 | 時点 |
|---|---|---|
| 全国の司法書士 | 23,505人(男性18,689人、女性4,816人) | 2026年4月1日 |
| 全国の司法書士法人 | 1,389法人 | 2026年10月1日 |
| 簡裁訴訟代理等関係業務の認定を持つ人 | 18,698人 | 2026年4月1日 |
| 試験の受験者数 | 14,418人 | 令和7年度 |
| 試験の合格者数 | 751人(平均年齢42.05歳) | 令和7年度 |
受験者に対する合格者の割合は、751÷14,418=約5.2%です(編集部の計算)。令和8年度は、筆記試験の結果が令和8年10月1日に公表され、最終合格者は令和8年11月5日に発表される予定です。司法書士の数は、国家試験制度が導入された昭和55年の14,603名から増え、令和6年は23,156名でした(司法書士白書 2025年版)。
司法書士の登録費用:全国共通の分と、会ごとに違う分
司法書士の登録費用は、全国共通の登録免許税と登録手数料に、会ごとに違う入会金を足した額です。ほかに、毎月の会費がかかります。
| 項目 | 金額 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 30,000円 | 登録免許税法の別表(一件につき三万円) |
| 登録手数料 | 25,000円 | 日司連の会則第50条 |
| 入会金(東京) | 35,000円 | 東京で開業した森ヒロさんの記録 |
| 入会金(神奈川県) | 35,000円 | 神奈川県司法書士会の会則 |
東京の場合の合計は、30,000円+25,000円+35,000円=90,000円です。神奈川県も入会金が同じなので、同じ額になります。
月会費は会によって差があります。
| 会 | 月会費 | 1年分(編集部の計算) |
|---|---|---|
| 東京(森ヒロさんの記録) | 17,200円 | 17,200円×12=206,400円 |
| 神奈川県(会則) | 23,000円 | 23,000円×12=276,000円 |
神奈川県の会則では、会費は入会した日の属する月の翌月から納めます。ほかの会の金額は、入会を考えている会に確かめてください。
登録のあとにかかるお金
登録料のほかにも、研修や任意の団体の費用がかかります。森ヒロさんが公開している東京の例は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 新人研修と特別研修の合計 | 255,000円 |
| バッヂの貸与 | 13,376円 |
| 支部会費 | 12,000円(年) |
| 司法書士政治連盟 | 12,000円(年) |
| リーガルサポート(成年後見の団体) | 30,000円(年) |
| 司法書士の組合(退会時に返る預かり金) | 20,000円 |
| 実務書 | 77,000円(年) |
簡易裁判所での代理などの業務を行うには、研修を修了して法務大臣の認定を受けます(第3条)。この認定には別に、登録免許税が一件につき五千円かかります。司法書士法人を設立する場合は、法人の届出の手数料が25,000円です。
事務所の要件:法律にある決まりと、自宅開業の実態
司法書士の事務所の要件は、2つ以上の事務所を設けないこと、事務所である旨を表示すること、職印を定めることが中心です。司法書士法第20条は、法務省令の基準に従って事務所を設けるよう定めています。その省令である司法書士法施行規則には、次の決まりがあります。
| 条文 | 決まり |
|---|---|
| 規則第19条 | 二以上の事務所を設けることはできない |
| 規則第20条 | 会則に従って、事務所に司法書士の事務所である旨を表示する |
| 規則第21条 | 会則に従って、業務上使う職印を定める |
施行規則のこれらの条文に、事務所の広さの数字はありませんでした。自宅を事務所にできるかどうかや、表示の細かな決まりは、入会予定の司法書士会に確かめてください。
実際の事務所は小さめです。第2回全国調査(回答3,181通、回答率14.0%)の経営者司法書士2,557件の答えは次のとおりです。
| 項目 | 回答 |
|---|---|
| 事務所内のただ一人の経営者司法書士 | 2,046件(80.0%) |
| 事務所が居宅内にある | 717件(28.0%) |
| 事務所は居宅と別である | 1,811件(70.8%) |
| 専有面積が40㎡未満 | 1,267件(49.6%) |
| 補助者がいない(無回答を0人として集計) | 902件(35.3%) |
| 補助者が2人以内 | 83.8% |
所在地を決めるときに最も重視した点は、「居宅から近距離であること」が661件(25.9%)で最多でした。
司法書士の開業までの流れ
開業までの流れは、事務所の場所を決め、管轄の司法書士会を通して登録を申請し、税務の届出を出すという順です。
- 事務所の場所を決める:申請先の司法書士会は、事務所を設ける地で決まります(第9条)。
- 職印を作る:廣木涼さんは、開業の1〜2か月前の手順に、職印・銀行印・角印の作成を挙げています。
- 登録を申請し、入会の手続きをとる:登録申請書に、資格を証する書類を添えて出します(第9条)。入会手続きも同時です(第57条)。申請から3か月たっても処分がなければ、法務大臣に審査請求ができます(第12条)。
- 研修を受ける:日司連の新人研修は、令和7年度の場合、申込期間が11月3日から17日まででした。努力義務としての研修の決まりは第25条にあります。
- 税務の届出を出す:開業届や青色申告の承認申請などです(J-Net21)。出し方は開業届の出し方と期限にまとめています。
開業後は、正当な事由がなければ依頼を拒めない(第21条)、秘密を守る(第24条)といった義務があります。法人にする場合は第26条の司法書士法人で、全国調査では「一人法人」との回答も74件(2.9%)ありました。
資金の借り方は創業融資も参考になります。
司法過疎地で開業するなら、日司連の支援がある
司法過疎地では、日司連の司法過疎地開業支援事業で開業貸付金と定着貸付金を借りられる場合があります。平成19年7月1日に設けられた地域司法拡充基金が元で、これまでに105名の司法書士と4つの司法書士法人を支援しました(令和8年5月現在)。
令和7年度の募集期間は令和7年10月1日から12月31日までで、開業地は栃木県茂木町、福岡県添田町、高知県いの町でした。要件は年度の実施要領で確かめてください。
独立後の売上と所得:平均1,683.5万円と453.9万円
経営者司法書士の売上は、平均1,683.5万円、所得は平均453.9万円です(第2回全国調査、令和元年分の確定申告)。売上と所得で分布の形が違います。
| 区分 | 売上(収入)金額 | 所得金額 |
|---|---|---|
| 0円 | 45件 | 439件(17.2%) |
| 1〜199万円 | 160件 | 356件(13.9%) |
| 200〜499万円 | 260件(10.2%) | 400件(15.6%) |
| 1,000〜4,999万円 | 894件(35.0%) | 243件(9.5%) |
| 無回答 | 657件(25.7%) | 657件(25.7%) |
10年前の前回調査と比べると、売上の平均は1,604.7万円から微増し、所得の平均は567.5万円から100万円以上減りました。経費合計の平均は998.6万円です。白書は、所得0円の回答が多い原因を今後分析するとしています。回答率が14.0%の調査なので、全体の姿としては幅を持って読んでください。
事務所の主たる業務(複数回答)は、相続関係業務が85.9%、不動産決済業務が71.7%、商業登記・法人登記業務が68.3%でした。債務整理業務は前回の34.4%から8.4%に減っています。報酬は各司法書士が自由に定めます(日司連)。
比較として、経営者ではない司法書士624件の年収は、300〜400万円未満が21.0%、400〜500万円未満が18.3%、500〜600万円未満が15.1%の順でした。
本人が公開している独立初期の数字
本人が公開している数字は次のとおりです。条件が違うので、単純には比べられません。
| 本人 | 開業の形 | 公開されている数字 |
|---|---|---|
| 森ヒロさん(東京23区) | 合格発表の4か月後、35歳で実家の一室で開業 | 開業資金100万円。独立翌月以降の売上は約500万円(本人のざっくり計算)。最高月80万円台、最低月20万円台 |
| 廣木涼さん | 補助者と計2名で、令和4年9月に開業 | 公庫から300万円の融資。業務システムに80万円。note の題は「初年度4ヶ月で売上1500万」 |
| CAP さん | 大手の司法書士法人に勤めたあと開業 | 開業した4月の売上0円、5月は47万円。公庫から余裕を持って借入 |
| 山田愼一さん | 33歳で独立 | 内装費ゼロ円、看板はA4のコピー用紙から始め、18年で300名規模に |
森さんの売上の内訳は、不動産決済30%、相続・親族30%、業務委託30%、商業登記5%、そのほか5%でした。依頼の経路は不動産会社、司法書士、税理士です。話 盛太郎さんも、仕事のほとんどは税理士など士業からの紹介だと書いています。
森さんは振り返りで、独立を考える人には「独立一年前から準備スタート」と伝えていると書いています。CAP さんは、売上が立たないまま固定費で預金が減って早く撤退した知人の話に触れ、資金の余裕、固定費、依頼してくれる取引先が大事だとしています。山田さんは、相続とWEBの組み合わせを始めた当初は集客できず赤字が続いたと書いています。
よくある質問
司法書士の登録費用はいくらですか?
登録免許税30,000円と登録手数料25,000円は全国共通です。東京の入会金35,000円を足すと計90,000円で、ほかに月会費がかかります。
司法書士は自宅で独立開業できますか?
第2回全国調査では、経営者司法書士の28.0%が事務所は居宅内にあると答えました。使えるかどうかは、入会予定の司法書士会に確かめてください。
司法書士の独立後の年収はどれくらいですか?
第2回全国調査の経営者司法書士は、売上が平均1,683.5万円、所得が平均453.9万円でした。所得0円との回答も17.2%あり、差が大きい結果です。
司法書士は独立しないと損ですか?
一概には言えません。同じ調査で、経営者ではない司法書士の年収は300〜400万円未満が21.0%で最多ですが、経営者の所得は0円の回答が最多でした。
登録と入会はどちらが先ですか?
同時です。司法書士法第57条により、登録を申請するときに、申請を経由する司法書士会への入会手続きも一緒にとります。登録の時に会員になります。
出典
- 司法書士法(e-Gov法令API)(2026年11月2日閲覧)
- 司法書士法施行規則(e-Gov法令API)(2026年11月2日閲覧)
- 登録免許税法(e-Gov法令API)(2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「司法書士登録手数料について」(2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「会員数データ」(2026年4月1日現在・2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「全国司法書士会一覧」(2026年10月1日現在・2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「司法書士白書 2021年版」特集1 第2回司法書士全国調査(令和2年調査・2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「司法書士白書 2021年版」目次(2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「司法書士白書 2025年版」第1章(2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」(2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「地域司法拡充基金」(令和8年5月現在・2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「令和7年度司法過疎地開業支援事業の実施について」(2025年9月26日公表・2026年11月2日閲覧)
- 日本司法書士会連合会「令和7年度司法書士新人研修のご案内」(2025年10月1日公表・2026年11月2日閲覧)
- 神奈川県司法書士会「会則」(2026年11月2日閲覧)
- 法務省「令和7年度司法書士試験の最終結果について」(2026年11月2日閲覧)
- 法務省「令和7年度司法書士試験の最終結果について」(PDF)(2026年11月2日閲覧)
- 法務省「令和8年度司法書士試験筆記試験の結果等について」(令和8年10月1日公表・2026年11月2日閲覧)
- 千葉地方法務局「令和8年度司法書士試験について」(2026年11月2日閲覧)
- J-Net21「司法書士」(業種別開業ガイド)(最終内容確認日2014年2月・2026年11月2日閲覧)
- 森ヒロ(note)「【1】司法書士の開業記録|即独1年目」(2026年2月23日・2026年11月2日閲覧)
- 廣木涼(note)「【初年度4ヶ月で売上1500万】司法書士 独立開業のリアル」(2026年3月2日・2026年11月2日閲覧)
- CAP(note)「【司法書士】独立1年目の売上公開(前半)」(2025年1月11日・2026年11月2日閲覧)
- 話 盛太郎(note)「さあ司法書士にまつわるオカネの話をしようか」(2023年1月21日・2026年11月2日閲覧)
- 山田愼一(note)「独立後の「最初の5年」で何が起きたか」(2026年1月16日・2026年11月2日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
同じ棚の業種
業種の図鑑へ公開 2026年11月2日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。




