
2026/10/27
50代・60代からの起業|開業者の年齢の統計とシニア向け融資・やってはいけないこと
日本政策金融公庫の2025年度調査では、開業時の平均年齢は43.9歳で過去最高、50歳代の割合は21.8%と3年連続で上がりました。55歳以上なら公庫の創業融資で特別利率の対象です。統計と融資、年金の注意点を公的資料から整理しました。
- A開業時の平均年齢
- 43.9歳2025年度。調査開始以来もっとも高い(日本政策金融公庫)
- A50歳代の割合
- 21.8%2025年度。3年連続で上昇。40歳代は36.9%
- A60歳以上の割合
- 6.4%2025年度の新規開業実態調査
- A起業関心層の60歳代で「起業したい」
- 64.8%2025年度 起業と起業意識に関する調査
- A55歳以上の創業融資の利率
- 3.45~5.05年%。特別利率A・無担保・税務申告2期未満(令和8年10月1日現在)
- A55歳以上がその年齢で開業した理由「退職・就業上の問題」
- 40.7%2014年度調査(2016年3月公表)。20歳代は21.5%
開業する人の年齢は上がっています。日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査では、開業時の平均年齢は43.9歳で調査開始以来もっとも高く、50歳代の割合は21.8%と3年連続で上がりました(2025年12月公表、2026年10月27日閲覧)。55歳以上の人は、公庫の創業融資で低い利率(特別利率)の対象になります。
このページでは、40代・50代・60代から起業する人の数字、使える融資、年金の注意点、やってはいけないことを、公庫と日本年金機構の公開資料から整理します。
シニア起業とは:40代以降に始める起業の数字
シニア起業とは、会社勤めなどを長く続けたあと、中高年になってから自分の事業を始めることです。決まった定義はありませんが、日本政策金融公庫は融資と調査で「55歳以上」を一つの区切りにしています。
2025年度の新規開業実態調査で、開業時の年齢の内訳は次のとおりです。
| 開業時の年齢 | 割合(2025年度) |
|---|---|
| 29歳以下 | 7.0% |
| 30歳代 | 28.0% |
| 40歳代 | 36.9% |
| 50歳代 | 21.8% |
| 60歳以上 | 6.4% |
もっとも多いのは40歳代で、50歳代と合わせると開業者の半分を超えます。調査は「開業時の年齢は上昇傾向にあり」としており、「50歳代」の割合は3年連続で上がりました。40代・50代での起業は、いまでは珍しいことではありません。
60代の起業:関心は高く、実際の開業はまだ少ない
60歳から起業する人は、開業者全体の中ではまだ少数です。新規開業実態調査で60歳以上は6.4%でした。
一方で、関心はほかの年代より高く出ています。公庫の「2025年度起業と起業意識に関する調査」では、起業に関心がある人(起業関心層)のうち「起業したい」と答えた割合は、60歳代で64.8%と、29歳以下(60.1%)を上回りました。
同じ調査は、事業に使う時間が週35時間未満の人を「パートタイム起業家」と呼んで、週35時間以上の「起業家」と分けています。起業費用を「費用はかからなかった」と答えた割合は、起業家で32.2%、パートタイム起業家では53.2%でした。フルタイムで店を構えるだけでなく、時間もお金も小さく始める形があることがわかります。
55歳以上の開業者の特徴:経験が長く、法人で始める人が多い
55歳以上で開業する人は、勤務経験と管理職の経験が長いのが特徴です。少し古い調査ですが、公庫総合研究所が2016年3月に公表した「20歳代開業者の実態と課題」(2014年度の調査)では、年齢層ごとに次の違いが出ています。
| 項目 | 20歳代 | 30~54歳 | 55歳以上 |
|---|---|---|---|
| 勤務経験年数の平均 | 7.0年 | 18.3年 | 33.1年 |
| 管理職経験年数の平均 | 3.2年 | 9.1年 | 18.5年 |
| 直前の職業が「会社や団体の常勤役員」 | 2.6% | 10.8% | 23.3% |
| 開業時に法人企業 | 32.5% | 41.5% | 56.8% |
| その年齢で開業した理由に「退職・就業上の問題」 | 21.5% | 29.8% | 40.7% |
55歳以上は、半分以上が法人で開業していました。その年齢で開業した理由に「退職・就業上の問題」を挙げた人も4割ほどいて、定年や早期退職を機に始める人が多いことがうかがえます。
シニア向けの融資:55歳以上は特別利率の対象
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、55歳以上の人は特別利率Aの対象です。公庫総合研究所の2016年の資料には、55歳以上をシニアとする区分は融資制度「女性、若者/シニア起業家支援資金」に準じたものと書かれています。いまの新規開業・スタートアップ支援資金では、55歳以上であることが特別利率の要件の一つです。
| 項目 | 内容(公庫の公式ページ) |
|---|---|
| 対象 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間 | 設備資金20年以内、運転資金10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 55歳以上の方の利率 | 特別利率A |
| 55歳以上で、創業セミナー等の証明書がある方 | 特別利率B |
令和8年10月1日現在、無担保で税務申告を2期終えていない人の利率は次のとおりです。
| 利率の名称 | 年利 |
|---|---|
| 基準利率 | 3.85~5.45% |
| 特別利率A | 3.45~5.05% |
| 特別利率B | 3.20~4.80% |
特別利率Bは、市区町村の創業塾や創業セミナー(認定特定創業支援等事業)を受けて証明書を取得し、さらに女性・35歳未満・55歳以上のどれかに当たる人が対象です。融資の申込みの手順や必要書類は日本政策金融公庫の創業融資にまとめています。
年金をもらいながら起業するときの注意
60歳以降に年金を受け取りながら働く人は、在職老齢年金の仕組みを確かめておきます。日本年金機構によると、在職老齢年金とは「60歳以降に在職(厚生年金保険に加入)しながら受ける老齢厚生年金」のことです。
賃金と年金額の合計が65万円(令和8年度の支給停止調整額)を超えると、超えた金額の半分が年金から支給停止されます。老齢基礎年金は全額支給されます。
在職老齢年金は、厚生年金保険に加入して働く場合の仕組みです。会社をつくって自分に役員報酬を払うのか、個人事業主として始めるのかで、厚生年金保険への加入の扱いが変わります。事業の形を決める前に、年金事務所で自分の場合を確かめてください。個人と法人の違いは個人事業主と法人の違いで整理しています。
シニア起業でやってはいけないこと
数字から見えるのは、経験を生かし、小さく始めた人が多いということです。逆に言えば、次の4つは避けたいところです。
- 退職金を一度に開業費へ入れる:新規開業実態調査の開業費用の中央値は600万円ですが、起業と起業意識に関する調査では、起業家の32.2%が費用をかけずに始めています。最初は小さく試し、売れることを確かめてから広げます。
- 経験のない業種にいきなり挑む:55歳以上の開業者は、勤務経験が平均33.1年ありました。長い経験そのものが強みなので、これまでの仕事と関係のある事業から考えるのが近道です。
- 年金と社会保険を確かめずに事業の形を決める:法人か個人かで、厚生年金保険の扱いが変わります。在職老齢年金の基準額(令和8年度は65万円)も毎年度見直されます。
- やめる基準を決めずに始める:生活費と老後の資金を分け、いくらまで使ったら撤退するかを、始める前に家族と決めておきます。
よくある質問
50代から起業する人はどれくらいいますか?
日本政策金融公庫の2025年度調査では、開業者の21.8%が50歳代でした。3年連続で上がっており、開業時の平均年齢も43.9歳と調査開始以来もっとも高くなっています。
60歳から起業する人は少ないですか?
2025年度の新規開業実態調査で60歳以上は6.4%です。一方、起業に関心がある60歳代の64.8%が「起業したい」と答えており、関心は高い年代です。
シニア向けの創業融資はありますか?
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、55歳以上の方は特別利率Aの対象です。創業セミナー等の証明書もあれば特別利率Bになります。
年金をもらいながら起業すると年金は減りますか?
減るのは厚生年金保険に加入して働く場合の在職老齢年金です。賃金と年金の合計が65万円(令和8年度)を超えると、超えた分の半分が止まります。
出典
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度起業と起業意識に関する調査」(2026年2月10日公表・2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫 総合研究所「20歳代開業者の実態と課題」(2016年3月31日公表・2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」(令和8年10月1日現在の利率・2026年10月27日閲覧)
- 日本年金機構 年金用語集「在職老齢年金」(2026年10月27日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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