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2026/10/27

学生起業の始め方|大学生・高校生が開業届を出すときに確かめること(扶養・親の同意・資金)

学生でも開業届を出して起業できます。18歳からは親の同意なしで契約できますが、18歳未満は原則として親の同意が要ります。大学生は扶養の線(税金は令和8年分で合計所得62万円以下、19〜22歳は123万円以下まで段階的、健康保険は年収150万円未満)にも注意。公的機関の案内で整理しました。

学生が起業する前に確かめる数字(2026年10月時点)確かさ A
A成年年齢(ひとりで契約できる年齢)
18歳令和4年4月1日から。それまでは20歳(法務省)
A開業時の年齢が「29歳以下」の割合
7.0%日本政策金融公庫 2025年度新規開業実態調査。平均年齢は43.9歳
A親の扶養控除の対象になる子の合計所得金額
62万円以下令和8年分から(令和8年12月1日施行)。令和7年分までは58万円以下
A特定親族特別控除の対象(19歳以上23歳未満)
合計所得金額123万円以下扶養控除から外れても、親は所得に応じて63万円〜3万円の控除を受けられる
A健康保険の被扶養者の年収要件(19歳以上23歳未満)
150万円未満令和7年10月1日から。それ以外の年齢は130万円未満
A勤労学生控除
27万円学生本人の所得控除。合計所得金額の要件は令和8年分から89万円以下

学生でも、開業届を出して個人事業主として起業できます。国税庁の開業届の案内には、学生かどうかや年齢の条件は書かれていません。ただし、18歳未満の人は法律上の未成年で、親の同意なしに結んだ契約は原則として取り消せる扱いになります(法務省、2026年10月27日閲覧)。

大学生の場合は、親の扶養から外れるかどうかも先に確かめておきたい点です。税金の扶養控除は令和8年分から合計所得金額62万円以下が条件で、19歳以上23歳未満は123万円以下まで親が段階的に控除を受けられます。健康保険の扶養は、19歳以上23歳未満なら年収150万円未満が目安です。このページでは、学生が起業するときに確かめることを、公的機関の案内から順に整理します。

学生起業とは:在学中に自分の事業を始めること

学生起業とは、大学・高校・専門学校などに在学しているあいだに、自分の事業を始めることです。アルバイトのように人に雇われるのではなく、自分で商品やサービスを売り、その売上から経費を引いた分が自分の所得になります。

起業する人のなかで、20代以下は多くありません。日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」では、開業時の年齢が「29歳以下」の人は7.0%でした。いちばん多いのは「40歳代」の36.9%、次が「30歳代」の28.0%で、平均年齢は43.9歳と調査開始以来もっとも高くなっています。

学生起業の形は、大きく2つです。

形始め方向いている場合
個人事業主税務署に開業届を出す小さく始めて、売上の見通しを確かめたい
会社(株式会社・合同会社)法務局で設立の登記をする出資を受ける、取引先から法人を求められる

まず個人事業主で始めて、事業が大きくなってから会社にする人もいます。設立にかかる費用と税金の違いは個人事業主と法人の違いで比べています。

開業届は学生でも出せる:期限と出し方

学生が個人で起業するときは、ほかの人と同じく開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を出します。国税庁の案内では、提出先は納税地を所轄する税務署で、時期は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。

出し方は、e-Taxでの提出、税務署への持参、郵送の3通りです。e-Taxで出す場合は、本人確認書類の提示や写しの添付は要りません。初めてe-Taxを使う人は、先に利用者識別番号を取ります。

18歳未満(中学生・高校生)が起業するときの注意

18歳未満の人が起業するときにいちばん気をつけたいのは、契約に親の同意が要ることです。法務省によると、民法の成年年齢は令和4年4月1日から20歳から18歳に引き下げられました。成年年齢には「ひとりで有効な契約をすることができる年齢」という意味があります。

法務省のQ&Aは、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、原則として契約を取り消せる(未成年者取消権)と説明しています。これは未成年者を守るためのしくみですが、取引する相手から見ると、あとで取り消されるかもしれない契約になります。そのため、未成年の人が事業で契約を結ぶときは、親の同意を求められると考えておきましょう。

年齢契約起業のときに気をつけること
18歳以上(大学生など)親の同意なしでひとりで契約できる契約を取り消す権利はない。結ぶ前に内容を確かめる
18歳未満(中学生・高校生など)親の同意がない契約は原則として取り消せる取引・出店・仕入れの契約では親の同意を得ておく

反対に、18歳・19歳の大学生は、親の同意なしに契約できるかわりに、未成年者取消権を使えません。法務省は、若者の消費者被害が広がることへの懸念にも触れています。「すぐ稼げる」とうたう高額な副業教材や起業セミナーの契約には、とくに注意が必要です。

大学生の起業と親の扶養:税金と健康保険

大学生が起業してもうけが増えると、親の扶養から外れることがあります。扶養には「税金の扶養」と「健康保険の扶養」があり、線の引き方が違います。

項目線見る金額
扶養控除(親の税金)合計所得金額62万円以下(令和8年分から。令和7年分までは58万円以下)所得(事業なら売上から経費を引いた額)
特定親族特別控除(親の税金。19歳以上23歳未満)合計所得金額123万円以下所得
健康保険の被扶養者(19歳以上23歳未満)年間収入150万円未満収入の見込み
勤労学生控除(学生本人の税金)控除額27万円。合計所得金額89万円以下(令和8年分から)など所得

税金では、子の合計所得金額が扶養控除の線を超えても、19歳以上23歳未満なら特定親族特別控除があります。国税庁によると、親が受けられる控除額は、子の合計所得金額が62万円超85万円以下なら63万円で、そこから所得が増えるにつれて少しずつ減り、120万円超123万円以下で3万円になります。

健康保険では、厚生労働省が、19歳以上23歳未満の人の被扶養者の年間収入の要件を、130万円未満から150万円未満として取り扱うとしています。学生であることは要件ではなく、年齢で判断します。事業の収入をどう数えるかは、親が加入している健康保険組合や協会けんぽに確かめてください。

勤労学生控除は、学生本人が受ける控除です。国税庁によると、給与所得などの勤労による所得があり、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であることなどが条件です。

学生起業の資金:公庫の若者向けの特別利率

学生起業の資金は、自己資金で小さく始めるのが基本です。融資を使う場合、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」には、35歳未満の人向けの特別利率があります。

公庫の案内によると、対象は新たに事業を始める人か事業開始後おおむね7年以内の人で、融資限度額は7,200万円です。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。ただし融資には審査があり、事業計画や自己資金の準備が必要です。公庫の創業融資のしくみと必要書類は日本政策金融公庫の創業融資にまとめています。

学生起業の始め方:5つの手順

学生が起業するときは、次の順で進めると手戻りが少なくなります。

  1. 売るものと相手を決める:何を、誰に、いくらで売るのかを1行で書けるようにします。
  2. 家族と話す:18歳未満なら契約への親の同意、大学生なら扶養から外れる可能性を、先に共有します。
  3. 小さく試して売上を確かめる:最初から大きな設備や在庫を持たないようにします。
  4. 開業届を出す:事業を始めた年の確定申告期限までに、税務署へ出します。青色申告にするなら承認申請の期限も確かめます。
  5. 帳簿をつけて確定申告をする:売上と経費を記録し、翌年の2月16日から3月15日までに申告します。

起業全体の流れは起業するには何から始める?で、開業した2,165社の数字とあわせて解説しています。

よくある質問

学生でも開業届は出せますか?

出せます。国税庁の案内には、学生かどうかや年齢の条件は書かれていません。事業を始めた年の確定申告期限までに、納税地の税務署へ出します。e-Taxでも出せます。

高校生や中学生でも起業できますか?

事業は始められますが、18歳未満は未成年なので、親の同意なしに結んだ契約は原則として取り消せます。取引先との契約や口座の開設では、親の同意を求められると考えておきましょう。

大学生が起業すると親の扶養から外れますか?

外れることがあります。税金では令和8年分から合計所得金額62万円超で扶養控除から外れます。19〜22歳は123万円以下なら親が特定親族特別控除を受けられます。

学生起業で使える融資はありますか?

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、35歳未満の人に特別利率があり、融資限度額は7,200万円です。審査があるので、事業計画と自己資金を準備します。

出典

  1. 法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」(2026年10月27日閲覧)
  2. 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」(2026年10月27日閲覧)
  3. 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(2026年10月27日閲覧)
  4. 国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
  5. 国税庁 タックスアンサー No.1177 特定親族特別控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
  6. 国税庁 タックスアンサー No.1175 勤労学生控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
  7. 厚生労働省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定に関するQ&Aについて」(2026年10月27日閲覧)
  8. 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表)
  9. 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月27日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月27日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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