
2026/10/27
フリーランスの開業届と手続き|出すべき人・出さない場合の違い・フリーランス法の要点
フリーランスが事業として仕事を始めたら、開業届をその年の確定申告期限までに税務署へ出します。事業所得なら青色申告特別控除(最高65万円)を使えます。本業がフリーランスの人は209万人(2022年)。2024年11月施行のフリーランス法の要点もまとめました。
- A本業がフリーランスの人
- 209万人有業者の3.1%。総務省 令和4年就業構造基本調査
- A開業届の提出期限
- 確定申告期限まで事業を始めた日の属する年分の。e-Taxなら本人確認書類は不要
- A青色申告特別控除
- 最高65万円事業所得・不動産所得が対象。e-Tax提出か優良な電子帳簿の保存が条件。ほかに55万円・10万円
- A業務に係る雑所得で書類の保存が必要になる収入
- 300万円超前々年分の収入金額。1,000万円超なら収支内訳書などの添付も必要
- Aフリーランス法の報酬の支払期日
- 60日以内発注した物品等を受け取った日から数えて。2024年11月1日施行
- A発注者が明示する取引条件
- 9項目給付の内容・報酬の額・支払期日など。口頭は不可
フリーランスが事業として仕事を始めたら、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を、事業を始めた年の確定申告期限までに税務署へ出します(国税庁、2026年10月27日閲覧)。e-Taxならオンラインで出せ、本人確認書類の写しも要りません。
総務省の令和4年就業構造基本調査では、本業がフリーランスの人は209万人で、有業者の3.1%でした。このページでは、フリーランスが開業届を出すべきかの判断と、出した場合・出さない場合の税金の扱いの違い、2024年11月1日に施行されたフリーランス法の要点を整理します。開業届の書き方と提出の手順は開業届の出し方と期限にまとめています。
フリーランスとは:雇われずに、事業として仕事を受ける人
フリーランスとは、会社に雇われず、自分の名前で仕事を受けて報酬を得る人のことです。総務省の就業構造基本調査は、有業者のうち「実店舗がなく、雇人もいない」自営業主などをフリーランスとして数えています。
本業がフリーランスの人は、年齢別では「45〜49歳」と「50〜54歳」がそれぞれ24万人で最も多く、都道府県別に有業者に占める割合を見ると、東京都が4.2%で最も高くなっています。産業別では「学術研究,専門・技術サービス業」で有業者に占める割合が13.5%と最も高い結果でした。
| 項目 | 数字(2022年) |
|---|---|
| 本業がフリーランスの人 | 209万人 |
| 有業者に占める割合 | 3.1% |
| 最も多い年齢階級 | 45〜49歳(24万人) |
| 割合が最も高い都道府県 | 東京都(4.2%) |
フリーランスは開業届を出すべきか:事業として続けるなら出す
フリーランスとして事業で収入を得るなら、開業届を出します。国税庁の案内では、開業届の対象は「新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方」で、根拠は所得税法第229条です。
判断の分かれ目は、その仕事が「事業」か「副業」かです。国税庁のタックスアンサー No.1500 は、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものを「業務に係る雑所得」としています。会社に勤めながら少し受ける仕事は雑所得、独立して生計を立てる仕事は事業所得、という分け方が目安です。
| 区分 | 主な人 | 開業届 |
|---|---|---|
| 事業所得 | フリーランスを本業として、継続して仕事を受ける人 | 出す(事業を始めた年の確定申告期限まで) |
| 業務に係る雑所得 | 会社員の副業など、営利を目的に継続して行う副業 | 事業として始めるなら出す |
開業届を出す場合と出さない場合の違い:青色申告の控除
開業届を出して事業として申告する一番の違いは、青色申告特別控除(最高65万円)を使えるかどうかです。国税庁のタックスアンサー No.2072 によると、控除は次の3段階です。
| 控除額 | 主な条件 |
|---|---|
| 65万円 | 55万円の条件を満たし、e-Taxで申告するか、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿で保存する |
| 55万円 | 事業所得か不動産所得を生ずべき事業を営み、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を期限内の確定申告書に添付する |
| 10万円 | 上の条件に当たらない青色申告者 |
青色申告特別控除の対象は事業所得と不動産所得で、雑所得には使えません。青色申告をするには、開業届とは別に青色申告承認申請書を出します。期限と特典は青色申告とはで確かめられます。
一方、副業として業務に係る雑所得で申告する場合にも、収入が増えると義務が加わります。
- 前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超えると、現金預金取引等関係書類の保存が必要になります。
- 前々年分の収入金額が1,000万円を超えると、確定申告書に収支内訳書などの添付が必要になります。
- 前々年分の収入金額が300万円以下なら、収入した金額と支出した費用の額で計算する「現金主義の特例」を使えます(確定申告書への記載が必要)。
フリーランス法の要点:発注者に課される義務
2024年11月1日に、フリーランスとの取引を守るフリーランス・事業者間取引適正化等法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されました。この法律でいう「フリーランス」は、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しない人です。
公正取引委員会の特設サイトによると、発注者には次のような義務があります。
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 取引条件の明示 | 業務委託をしたら、直ちに書面かメール・SNSのメッセージなどで、給付の内容・報酬の額・支払期日など9つの事項を明示する。口頭は不可 |
| 報酬の支払期日 | 発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で定め、その日までに払う |
| 7つの禁止行為 | 1か月以上の業務委託では、受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたきなどを禁止 |
| 中途解除の予告 | 6か月以上の業務委託を解除・不更新にする場合、少なくとも30日前までに予告する |
| 両立への配慮 | 6か月以上の業務委託では、申出に応じて育児や介護との両立に配慮する |
消費者から直接受ける仕事(家族写真の撮影など)や、自分の作品をネットで売る取引は、この法律の対象外です。また、従業員を使用しているフリーランスも、この法律の「フリーランス」には当たりません。契約や仕事上のトラブルは、弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」(令和2年11月から運営)があります。
フリーランスから起業する:人を雇うときに変わること
フリーランスから仕事を広げて人を雇うと、事業の形と手続きが変わります。従業員を使用すると、公正取引委員会の説明どおり、フリーランス法でいう「フリーランス」には当たらなくなります。
売上が大きくなったら、個人事業のまま続けるか、会社をつくるかを考える時期です。設立の費用と税率の違いは個人事業主と法人の違いで比較できます。
よくある質問
フリーランスは開業届を出さないといけませんか?
事業所得を生ずる事業を始めた人は、国税庁の案内で開業届の提出が求められています。期限は事業を始めた年の確定申告期限までで、e-Taxでも出せます。
フリーランスが開業届を出すメリットは何ですか?
事業として青色申告をする前提が整うことです。青色申告特別控除は事業所得や不動産所得が対象で、e-Taxで申告するなどの条件を満たすと最高65万円を控除できます。
副業のフリーランスも開業届が必要ですか?
副業の収入は、事業でなければ業務に係る雑所得になります。国税庁は、営利を目的とした継続的な副業の収入を業務に係る雑所得としています。事業か副業かで扱いが変わります。
フリーランス法で守られるのはどんな人ですか?
業務委託を受ける事業者で、従業員を使用しない人です。消費者からの依頼や、自分の作品を売る取引は対象外です。発注者は取引条件を書面やメールで明示する義務があります。
出典
- 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1500 雑所得(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」(2026年10月27日閲覧)
- 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」(2023年7月公表・2026年10月27日閲覧)
- 埼玉労働局「フリーランス・事業者間取引適正化等法」特設ページ(2026年10月27日閲覧)
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監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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