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2026/10/27

飲食店の開業|開業資金の内訳・必要な許可・手順を公庫の記入例と実例の数字で

飲食店を開業するには、保健所の飲食店営業許可(東京都の新規手数料18,000円)と食品衛生責任者が必要です。開業資金は、日本政策金融公庫の創業計画書の記入例(居酒屋)で1,260万円。売上の立て方と、ひとり営業や店の引き継ぎなど実例の数字をまとめました。

飲食店の開業の数字(公的機関と実例)確かさ A・B
A創業計画書 記入例(居酒屋)の必要資金
1,260万円日本政策金融公庫。設備資金970万円・運転資金290万円
A開業費用の中央値(全業種)
600万円公庫 2025年度新規開業実態調査。平均値は975万円
A飲食店営業許可の新規手数料
18,000円東京都(令和8年4月1日から)。継続は8,900円
Aひとりで営む喫茶食堂の1年目の売上
8,122,879円kenohi(東京・武蔵小山)。店主がnoteで公開。収支は+630,372円
Bワンオペのフレンチの月商
約200万円mille(東京・東日本橋)。13.5坪12席。取材記事
B閉店したそば屋を引き継いだ改装費
約800万円なごみ奈(千葉県成田市)。うち約600万円が厨房の工事や設備

飲食店を開業するには、保健所の「飲食店営業」の許可を受け、店ごとに食品衛生責任者を置きます。開業資金は、日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業計画書の記入例(居酒屋)で1,260万円、公庫の2025年度調査では全業種の開業費用の中央値が600万円でした(2026年10月27日閲覧)。

ただし、金額は店の広さと居抜きかどうかで大きく変わります。このページでは、公庫の記入例で開業資金の内訳と売上の立て方を確かめ、実在する小さな飲食店の数字と並べて、飲食店の開業を整理します。

店場所形数字
kenohi東京・武蔵小山店主がひとりで営む喫茶食堂1年目の売上8,122,879円・収支+630,372円
mille東京・東日本橋シェフひとりのフランス料理店。13.5坪12席月商約200万円
なごみ奈千葉県成田市閉店したそば屋の建物を引き継いで開店。21席改装費約800万円

飲食店の開業とは:許可を受けて、店で調理した料理を出す事業を始めること

飲食店の開業とは、保健所の営業許可を受けて、店で調理した料理や飲み物をお客に出す事業を始めることです。食品衛生法の「飲食店営業」の許可が要り、許可は店舗ごとに受けます。

公庫の「2025年度新規開業実態調査」では、開業した業種は「サービス業」27.7%、「医療・福祉」16.7%に続いて、「飲食店・宿泊業」が14.5%でした。必要な許可・資格・届出の一覧と時期は飲食店の開業に必要な許可と資格に詳しくまとめています。

飲食店の開業資金:公庫の記入例で見る内訳

飲食店の開業資金は、店をつくる設備資金と、開業後しばらくを支える運転資金に分かれます。公庫が公開している創業計画書の記入例(居酒屋・個人営業)の内訳は次のとおりです。

区分項目金額
設備資金店舗内外装工事500万円
設備資金厨房機器200万円
設備資金什器・備品類150万円
設備資金保証金120万円
運転資金仕入90万円
運転資金広告費等諸経費支払140万円
運転資金家賃等60万円
合計1,260万円

調達の方法は、自己資金360万円、親からの借入200万円、公庫からの借入700万円の組み合わせです。記入例は書き方の見本で、実在の店の数字ではありません。それでも、内外装工事が設備資金の半分を占めるという構成は、居抜き物件(前の店の内装や設備が残った物件)を選ぶと費用を下げられる理由を示しています。

公庫の2025年度調査では、全業種の開業費用は平均値975万円、中央値600万円で、「250万円未満」(20.1%)と「250万〜500万円未満」(21.7%)で4割以上を占めました。調達額の内訳など全体の分布は開業資金はいくら必要?をご覧ください。

飲食店の売上の立て方:客単価×席数×回転数×営業日数

飲食店の売上は、客単価×席数×回転数×営業日数で見積もります。公庫の記入例は、昼と夜、平日と週末を分けて計算しています。

時間帯計算月の売上
昼(月〜土)900円×25席×0.8回転×26日46万円
夜(月〜木)4,500円×25席×0.6回転×18日121万円
夜(金・土)4,500円×25席×0.9回転×8日81万円

これを合わせた創業当初の月の売上は248万円です。記入例の収支は、原価率35%で売上原価87万円、人件費70万円、家賃20万円、支払利息2万円、その他50万円を引いて、利益は月19万円となっています。軌道に乗った後は売上を創業当初の1.3倍の322万円と見込み、利益は39万円です。

記入例の注記では、個人営業の場合、事業主分の人件費はこの利益に含まれるとしています。つまり、ひとりの店主が受け取る生活費と借入の返済元金も、この利益から払います。

実例:小さな飲食店の売上と働き方

実在する小さな飲食店では、席数を絞って、ひとりで回す形が見られます。

東京・武蔵小山の喫茶食堂kenohiは、店主がひとりで営む店です。店主がnoteで公開した開業1年目の数字は、売上8,122,879円、費用7,492,507円で、収支は+630,372円でした(店主の給料を人件費に含めた数字)。店舗売上は7,691,455円、客単価は1,196円、延べ客数は6,432人です。店主は1年やってみて、毎月60〜70万円ほどの売上がバランスの取れる水準だと書いています。

東京・東日本橋のフランス料理店milleは、2019年の開店当初から、仕入れから調理、接客、片付けまでをシェフひとりで担っています。取材記事によると、店は13.5坪12席で、月商約200万円。メニューは常時約20種類で、お客の6、7割はリピーターです。シェフは19歳で料理の世界に入ってから23年間、フランス料理に携わってきました。

店席数売上回し方
kenohi公開なし1年目8,122,879円店主ひとり
mille12席月商約200万円シェフひとり
公庫の記入例(居酒屋)25席月248万円(創業当初)従業員とアルバイトを雇う

店を引き継いで飲食店を開業する方法

飲食店は、閉店する店の建物や設備を引き継いで開業する方法もあります。千葉県成田市のそば屋「なごみ奈」は、20年以上営業してきたそば屋の建物と敷地を、事業承継のマッチングサイトを通じて引き継ぎました。

店主は食品メーカーに40年近く勤めたあと、知人のそば屋で1年弱の修行をして開業しています。店舗は家屋の1階で、席数は21席。工事費はトータルで約800万円かかり、そのうち約600万円を厨房の工事や設備の変更に使いました。前の店の厨房をそのまま使うこともできましたが、動線を良くするために全面的に改装したそうです。お客の半分くらいは前の店に通っていた人で、店主はこれを引き継ぎの大きな利点だと話しています。詳しくはなごみ奈の事例にまとめています。

飲食店を開業するには:準備の手順

飲食店の開業準備は、業態と資金計画を決めてから、物件・許可・届出の順に進めます。

  1. 業態とお客を決める:何を、誰に、いくらで出すかを決めます。客単価と席数が決まると、売上の見込みが計算できます。
  2. 創業計画書をつくる:公庫の記入例のように、必要な資金と調達の方法、月の収支を書き出します。融資を受けるときにも使います。
  3. 物件を決め、保健所に事前相談する:内装工事の前に、図面を持って保健所に相談します。
  4. 食品衛生責任者の資格を取る:調理師などの資格がなければ、養成講習会を受けます。
  5. 営業許可を申請する:東京都の飲食店営業の新規手数料は18,000円、継続は8,900円です(令和8年4月1日から)。施設の確認検査を受けて許可が出ます。
  6. 税務署へ開業届を出す:個人事業主として始めるなら、開業届と青色申告の承認申請を出します。期限は開業届の出し方と期限で確かめてください。

客席の数や深夜の酒類提供の有無によっては、消防署や警察への届出も必要です。

よくある質問

飲食店の開業資金はいくら必要ですか?

日本政策金融公庫の創業計画書の記入例(居酒屋)では、設備資金970万円と運転資金290万円の合計1,260万円です。全業種の開業費用の中央値は600万円でした。

飲食店を開業するには何が必要ですか?

保健所の飲食店営業許可と、店ごとに置く食品衛生責任者が必要です。東京都の許可の新規手数料は18,000円です。開業届など税務署への届出もします。

飲食店は個人事業主でも開業できますか?

できます。営業許可は個人でも受けられ、税務署には開業届を出します。公庫の記入例も、個人営業なら事業主の人件費は利益に含まれるという前提で書かれています。

飲食店の売上はどう見積もればいいですか?

客単価×席数×回転数×営業日数で出します。公庫の記入例では、昼900円×25席×0.8回転×26日で46万円と、時間帯ごとに分けて計算しています。

出典

  1. 日本政策金融公庫「創業計画書【記入例】」(飲食業・居酒屋)(2026年10月27日閲覧)
  2. 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月27日閲覧)
  3. 東京都保健医療局「東京都食品衛生関係許可手数料」(令和8年4月1日から適用)(2026年10月27日閲覧)
  4. kenohi店主ひかるさんのnote「kenohiと僕の1年間の軌跡」(2026年10月27日閲覧)
  5. 飲食店ドットコム ジャーナル「月商200万円のワンオペ店『mille』」(1ページ目)(2022年11月1日公開・2026年10月27日閲覧)
  6. 同記事(2ページ目)(2022年11月1日公開・2026年10月27日閲覧)
  7. BATONZ 成約事例「成田市の歴史あるそば屋をM&A!」(なごみ奈)(2024年11月14日公開・2026年10月27日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月27日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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