
2026/10/27
キッチンカーは儲かる?|年収の目安と営業利益率、儲かるメニューを原価で選ぶ方法
東京で専業のキッチンカーを営む店主は、2025年の実績で営業利益率を30%前後と公開しています。月商50万円なら手残り15万円前後。年商1,900万円でも国保と年金で年100万円超が出ていきます。店主が公開した数字から、年収の考え方と儲からない理由、メニューの選び方を整理しました。
- A営業利益率
- 30%前後しきぶちゃんキッチンカー東京号の2025年の実績。自分の労働報酬を含む
- A土日だけの出店の手残り
- 15万円前後月商50万円(平均8万円×6日)×営業利益率30%前後の店主の試算
- A年商(2025年)
- 1,900万円しきぶちゃんキッチンカー東京号。2024年1月開業
- A国民健康保険と年金の負担
- 年間100万円超同店主。売上が伸びた翌年に月8万円を超えた
- Aたこ焼きの原価率
- 35%飛笑朗(岐阜県)。6個入り600円で1舟約210円(2026年10月時点)
- A雨で6回中止になった月の売上
- 55万円飛笑朗の開業2年目の6月。いつもの半分ほどで赤字
キッチンカーが儲かるかどうかを示す公的な統計はありません。参考になるのは店主が公開した数字で、東京で専業のキッチンカーを営む店主は、2025年の実績で営業利益率を30%前後と書いています(Michi Kitchen、2026年10月27日閲覧)。この率なら、土日だけ出店して月商50万円の場合、手残りは15万円前後です。
ただし営業利益は、仕込みや移動を含めた自分の労働の報酬で、税金と社会保険はここから払います。同じ店主は、売上が伸びた結果、国民健康保険と年金の負担が年間100万円を超えたと書いています。このページでは、開業の手順や許可ではなく「お金が残るかどうか」に絞って、店主が公開した数字を整理します。始め方と開業資金はキッチンカーの始め方と開業資金にまとめています。
キッチンカーは儲かるのか:利益の構造
キッチンカーの利益の構造とは、売上から原価・包材・出店料・燃料などを引いて、手元にいくら残るかの割合のことです。しきぶちゃんキッチンカー東京号の店主(みちさん)は、2025年の実績をもとに、一般的な飲食店と比べて次のように説明しています。
| 費用 | 一般的な飲食店(店主が挙げた目安) | キッチンカー(店主の説明) |
|---|---|---|
| 原価率 | 30%前後 | 大きくは変わらない |
| 人件費 | 30%前後 | ワンオペが基本で、自分以外の人件費を抑えやすい |
| 家賃 | 10%前後 | 主に駐車場。固定店舗ほど重くない |
| 出店料 | ― | 固定額か売上の歩合。大きな割合を占める |
| 消耗品(包材) | お皿で出すので少なめ | 持ち帰り前提で高くなりやすい |
| 営業利益 | 10%を超えると優良店 | 30%前後(自分の労働報酬を含む) |
固定店舗との違いは、家賃と人件費が軽い代わりに、出店料と包材が重いことです。店主は、営業利益30%は「ラクに儲かる」とは全然違うと書いています。営業利益には、仕込み・移動・片付け・SNS発信・経理・出店調整といった、表に出ない仕事の分が含まれているからです。
キッチンカーの年収:月商別の手残り
キッチンカーの年収は、月商に営業利益率を掛けると目安が出ます。みちさんが営業利益率30%前後で試算した月商別の手残りは次のとおりです。
| 営業の形 | 月商(1日の平均×日数) | 手残り |
|---|---|---|
| 副業で土日イベントに出店 | 50万円(8万円×6日) | 15万円前後 |
| 平日ランチ営業が中心 | 100万円(5万円×20日) | 30万円前後 |
| 小〜中規模イベントを回る | 150万円(10万円×15日) | 45万円前後 |
| 大型イベントにも出店 | 200万円(15万円×13日) | 60万円前後 |
同じ店の実績は、2024年1月に開業し、2025年の年商が1,900万円でした。営業利益率30%前後を単純に当てはめると、1,900万円×30%=570万円前後になります(編集部の計算。店主は営業利益の金額そのものは公開していません)。
それでも店主は、売上だけ見ると順調でも、経営的には「ギリギリ沈まずにやってきた」感覚だと書いています。
キッチンカーが儲からないと言われる3つの理由
キッチンカーが儲からないと言われる理由は、店主の記録から見ると次の3つです。
- 雨で出店そのものがなくなる:岐阜県のたこ焼きキッチンカー「飛笑朗(ぴえろ)」は、開業2年目の6月に週末の出店が1か月で6回中止になり、その月の売上は55万円でした。いつもの半分ほどで、赤字の月になりました。店主は、雨は客足が減るより先に「出店そのものが消える」と書いています。
- 売上がなくても出ていくお金がある:車の維持費や保険、借りたお金の返済は、出店がゼロの月でも同じ額が出ていきます。前日に仕込んだ食材や、先に払った固定の出店料が戻らないこともあります。
- 出店料と集客の読み違い:飛笑朗は、主催者の「1,000人来ます」という見込みを信じて出店し、実際は100〜200人ほどで売上は約1万円でした。出店料と燃料代と人件費を引いて、手元には何も残らなかったそうです。
みちさんも、大型イベントで売上が伸びても、出店料が売上の20〜30%だと「思ったより残らない」は普通にあると書いています。反対に、地味でも人が集まり出店料を低くできる場所のほうが、利益が安定することもあります。
儲かるメニューの選び方:1出店でいくら残るかで見る
キッチンカーで儲かるメニューは、原価率の低さだけでは決まりません。飛笑朗の店主は、出店のたびに次の式で数字を出しています。
1出店あたりの粗利益 = 売上 −(原価 + 出店料 + ガソリン代 + プロパン代)
1日の出店料は5,000円のところもあれば30,000円のところもあります。そのため、原価率が30%でも出店料が高すぎれば赤字になる出店は普通にある、と書いています。
飛笑朗の主力は6個入り600円のたこ焼きで、原価はだいたい35%(1舟で約210円)で計算しています(2026年10月時点)。この原価を4つに分けて見ています。
| 区分 | 中身(たこ焼きの例) |
|---|---|
| 主原料 | タコ |
| 副原料 | 粉・卵・天かす・紅生姜・だし |
| 調味料 | ソース・マヨネーズ |
| 包材 | 舟皿・つまようじ・おしぼり・レジ袋 |
包材を入れ忘れると、原価率を低く見積もってしまいます。原料が値上がりしたときは、タコの切り方と粉の配合を見直したのが一番効いたそうです。
メニューを決めるときに見る点を、2人の店主の記録からまとめました。
- 原価を4つに分けて計算する:包材まで入れて、1食あたりの原価を出します。
- 仕込み時間を時給に換算する:「8時間仕込んで4時間販売で売上3万円」と「2時間仕込んで6時間販売で売上3万円」は、売上が同じでも利益はまったく違います(飛笑朗)。
- 出店料の安い場所で大きく売れるか考える:みちさんは、利益率を高めるのに特に大きいのは、原価率の工夫と、出店料が低い場所で大きく売ることだと書いています。
メニューの型(1品に絞る、地元の素材で名物をつくる など)と、給水タンクの容量で出せるメニューが決まる仕組みは、キッチンカーの始め方で実例とともに紹介しています。
キッチンカーのフランチャイズは儲かるか
キッチンカーにも、本部の看板とメニューを使って営業するフランチャイズがあります。利益の構造は、上の表に本部へのロイヤリティが加わる形になります。営業利益率30%前後という個人店の数字から、ロイヤリティなど本部への支払いがさらに引かれます。
加盟を考えるときは、ロイヤリティが売上の歩合か定額かを確かめ、自分の想定売上で金額にしてから比べます。比べ方はフランチャイズの選び方にまとめています。
始める前に、自分の数字で試算する
キッチンカーが儲かるかどうかは、出店できる日数と1日の売上、そして出店料で決まります。始める前に、次の順で試算しておくと、開業後の「売上はあるのにお金が残らない」を防げます。
- 月に出店できる日数と、1日の売上を低めに見積もる(新しい場所は、いつもより低めに見る)
- 1食の原価を包材まで入れて計算する
- 出店料・燃料・車の維持費・返済を引いて、月の手残りを出す
- 手残りから、国民健康保険・国民年金・税金を引く
- 雨で中止が続く月を1回入れて、それでも回るか確かめる
開業資金の全体の目安は開業資金はいくら必要?で確かめられます。
よくある質問
キッチンカーの年収はどれくらいですか?
公的な統計はありません。東京の専業店主は営業利益率を30%前後と公開し、月商50万円で手残り15万円前後と試算しています。税金と社会保険はここから払います。
キッチンカーは儲からないと言われるのはなぜですか?
雨でイベントごと中止になると売上がゼロの日が増える一方、車の維持費や返済は毎月出ていくからです。出店料が売上の20〜30%の会場では手元に残りにくくなります。
キッチンカーで儲かるメニューはどう選べばいいですか?
原価率だけでなく、包材、仕込み時間、出店料を引いて1出店あたりいくら残るかで選びます。たこ焼き店は1食の原価を主原料・副原料・調味料・包材の4つに分けて見ています。
キッチンカーの営業利益はそのまま収入になりますか?
個人事業なら営業利益には自分の労働の報酬が含まれ、ここから所得税・住民税・国民健康保険・国民年金を払います。国民年金保険料は令和8年度で月17,920円です。
出典
- Michi Kitchen note「売れているのに潰れる理由|キッチンカー経営のリアル #2」(2026年6月14日公開・2026年10月27日閲覧)
- Michi Kitchen note「国保・年金で利益が100万円消える」(2026年8月14日公開・2026年10月27日閲覧)
- Michi Kitchen note「開業前に知っておきたかったこと|キッチンカー経営のリアル#1」(2026年5月29日公開・2026年10月27日閲覧)
- 飛笑朗ぴえろのnote「『売上はあるのにお金が残らない』を直した原価の見方」(2026年10月11日公開・2026年10月27日閲覧)
- 飛笑朗ぴえろのnote「1,000日出店していちばん後悔した日」(2026年10月11日公開・2026年10月27日閲覧)
- 飛笑朗ぴえろのnote「売上55万円で赤字になった月」(2026年10月21日公開・2026年10月27日閲覧)
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度・2026年10月27日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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