
2026/10/27
ラーメン屋は儲かる?オーナーの年収と原価率|月商300万円の店の収支と店長の給料
石川県のラーメン店は、月の売上約300万円に対して営業利益約100万円、原価率23〜24%と収支を公開しています。ラーメン店主で公認会計士の石動龍さんは原価率30%程度が目安と解説。飲食業で働く人の賃金は月277.2千円(2025年)。公開された数字から、オーナーの年収と儲かる条件を整理しました。
- A石川県のラーメン店の月の売上
- 約300万円2024年12月開業の1店舗。従業員8名(M&A仲介サイトに本人が掲載)
- A同じ店の月の営業利益
- 約100万円人件費は売上の35%〜38%(社会保険料込み)
- A同じ店の原価率
- 23~24%製麺機の導入やスープの工夫で1杯あたり20%未満
- A同じ店の開業時の総投資
- 約3,600万円設備投資額として掲載
- Aラーメン屋の原価率の目安
- 30%程度公認会計士でラーメン店主の石動龍さんの解説
- A宿泊業,飲食サービス業の賃金(月額)
- 277.2千円2025年6月分の所定内給与額・男女計。産業別で最も低い(厚生労働省)
ラーメン屋が儲かるかどうかは、原価率と人件費をどこまで抑え、何杯売れるかで決まります。公開されている例では、石川県羽咋市のラーメン店が、月の売上約300万円に対して営業利益約100万円、原価率23~24%と収支を出しています(M&A仲介サイトBATONZ、2026年10月27日閲覧)。
ただし、営業利益がそのままオーナーの年収になるわけではありません。この店の開業時の総投資は約3,600万円で、借入があればその返済も利益から払います。このページでは、公開された収支と、公認会計士でラーメン店主の石動龍さんの解説、厚生労働省の賃金統計から、オーナーの年収と店長の給料、儲かる条件を整理します。
ラーメン屋は儲かるのか:公開された1店舗の収支
ラーメン屋の収支とは、売上から原価・人件費・家賃・水道光熱費などを引いて、いくら残るかのことです。石川県羽咋市の店(2024年12月開業)が公開した月の収支は次のとおりです。
| 項目(月間) | 金額・割合 |
|---|---|
| 売上高 | 約300万円 |
| 原価率 | 23~24%(約70-72万円) |
| 人件費 | 35%〜38%(社会保険料込み) |
| 家賃 | 約17.6万円(税込) |
| 水道光熱費 | 約15-25万円(季節変動あり) |
| ガス代 | 約8-11万円 |
| 営業利益 | 約100万円 |
従業員は8名(社員1名、パート3名、学生バイト3名、オーナー妻)です。店は、製麺機の導入やスープの工夫によって、ラーメン1杯あたりの原価率を20%未満に抑えていると書いています。開業時の総投資費用は約3,600万円でした。
ラーメン屋オーナーの年収:営業利益から何が引かれるか
ラーメン屋のオーナーの年収は、店の営業利益から、借入の返済と税金・社会保険を払ったあとに残る額です。上の店の営業利益を12か月分にすると、約100万円×12か月=約1,200万円になります(編集部の計算)。
ここから出ていくお金があります。
- 借入の返済:開業時の総投資が約3,600万円なら、自己資金で払った分を除いて借入の元本を返していきます。元本の返済は経費になりません。
- 税金と社会保険:個人事業なら所得税・住民税・国民健康保険・国民年金、会社なら法人税と自分の役員報酬にかかる税・社会保険を払います。
- 設備の更新:製麺機や厨房機器の修理・買い替えに備えます。
石動さんは、自分の事業について「どれも年商数千万円の小さなビジネス」で、ラーメン屋は天候や感染症の状況で来客数が大きく変わり、「前日の半分になることもしょっちゅう」だと書いています。営業利益は月ごとに大きく動くと考えておくのが現実的です。
ラーメン屋の原価率:30%程度が目安
ラーメン屋の原価率は、30%程度に抑えるのが目安です。石動さんは著書の解説で、ラーメン屋を安定的に経営するには原価率を30%程度に抑えることが望ましく、原価率50%を上回った場合に店を続けるには、かなりの経営テクニックが求められると書いています。
石動さんが示す、1か月の収支の例は次のとおりです(説明のための例)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 営業日 | 25日 |
| 売上(客単価1000円×来客数1000人) | 100万円 |
| 仕入額 | 30万円 |
| 人件費 | 15万円 |
| 家賃や水道光熱費 | 20万円 |
| 手元に残る額 | 35万円 |
この例の原価率は、30万円÷100万円で30%です。メニューが1つなら、1杯売れるごとに増える利益(限界利益)は700円で、固定費35万円をまかなうには、35万円÷700円=500杯が必要です。営業日25日なら1日2万円、毎日20人の集客で損も得もしない計算になります。
高い食材を使った限定メニューは要注意です。石動さんは、ブランドの地鶏のモモ肉をチャーシューに使うと、それだけで1500円の売価の約30%になり、全体の原価率は50%を上回ってしまう例を挙げています。行列ができても預金残高が減る、という失敗です。
ラーメン屋が儲からないと言われる理由:「1000円の壁」
ラーメン屋が儲かりにくいと言われる大きな理由は、値上げがしにくいことです。石動さんは、ラーメンには「1000円の壁」があるといわれ、日本のラーメンの価格帯は一般的に700~800円程度だと書いています。原材料や光熱費が上がっても、売価に転嫁しにくいのです。
もうひとつは、開業直後の資金繰りです。石動さんは、小規模事業では「最初の1年間は資金流出が続くことが多い」とし、廃業の原因は赤字の累積ではなく「資金が尽きること」だと書いています。一般的な飲食店は、開店から1ヵ月は話題性で客足を集め、2ヵ月目で大幅に落ち込むとも説明しています。
ラーメン屋の店長・従業員の給料
ラーメン屋の店長や従業員の給料は、ラーメン店だけの公表値がありません。目安として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年)では、飲食店を含む「宿泊業,飲食サービス業」の賃金(6月分の所定内給与額・男女計)は月277.2千円で、産業別で最も低い水準でした。
12か月分にすると、277.2千円×12か月=3,326.4千円、約333万円です(編集部の計算。残業代と賞与は含まない)。飲食店のほか宿泊業も含む、すべての職種の平均です。
上の石川県の店では、人件費が売上の35%〜38%(社会保険料込み)を占めていました。人を雇うほど店は回りますが、利益は人件費に左右されます。
儲かるラーメン屋にするための確認事項
公開された収支と石動さんの解説から、開業前に確かめたい点をまとめました。
- 原価率を30%程度に収める設計にする:麺を自家製にする、スープの材料を見直すなど、1杯の原価を先に計算します。
- 損益分岐点の杯数を出す:固定費÷1杯の限界利益で、1か月に何杯売れば損をしないかを出します。
- 人件費の割合を決める:営業時間と人数から、売上に対する人件費の割合を見積もります。
- 値上げしにくい前提で価格を決める:「1000円の壁」を前提に、トッピングやサイドメニューで客単価を上げる方法を考えます。
- 運転資金を残す:開業後しばらくは資金が出ていく前提で、手元資金を残します。
飲食店の開業に必要な営業許可や食品衛生責任者などの手続は飲食店の開業に必要な許可と資格にまとめています。すでに営業している店を引き継いで始める方法は事業承継で小さな店を引き継ぐ方法をご覧ください。
よくある質問
ラーメン屋のオーナーの年収はどれくらいですか?
公的な統計はありません。公開例では、石川県の店が月の売上約300万円で営業利益約100万円でした。ここから借入の返済や税金を払うため、手取りはさらに少なくなります。
ラーメン屋の原価率はどれくらいですか?
公認会計士でラーメン店主の石動龍さんは、安定して経営するには30%程度に抑えたいと解説しています。石川県の店は製麺機の導入などで23〜24%でした。
ラーメン屋の店長や従業員の給料はいくらですか?
ラーメン店だけの公表値はありません。飲食店を含む宿泊業,飲食サービス業の賃金は月277.2千円(2025年・男女計)で、産業別で最も低い水準でした。
ラーメン屋は儲かりすぎと言われるのは本当ですか?
売上が大きくても、人件費・家賃・光熱費・返済で手元に残る額は大きく減ります。石動さんは、ラーメンには値上げしにくい「1000円の壁」があると書いています。
出典
- BATONZ「【石川】ラーメン店の事業譲渡/低原価率/黒字経営」(No.78166)(2026年6月20日更新・2026年10月27日閲覧)
- ゴールドオンライン 石動龍「あんなに行列だったのに赤字?…『原価率』が30%で経営は激変する驚きの理由」(2023年4月17日公開・2026年10月27日閲覧)
- ゴールドオンライン 石動龍「あんなに行列だったのに赤字?」(2ページ目)(2023年4月17日公開・2026年10月27日閲覧)
- ゴールドオンライン 石動龍「ラーメンには『1000円の壁』…行列でも潰れる店と生き残る店の決定的な違い」(2023年4月24日公開・2026年10月27日閲覧)
- ゴールドオンライン 石動龍「ラーメンには『1000円の壁』」(2ページ目)(2023年4月24日公開・2026年10月27日閲覧)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」(5) 産業別にみた賃金(2026年3月24日公表・2026年10月27日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。


