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2026/10/28

放課後等デイサービスの開業と経営者の年収|指定の要件・収支差率9.1%と開業資金

放課後等デイサービスは、法人をつくり、児童発達支援管理責任者と児童指導員又は保育士2人以上をそろえて自治体の指定を受けて開業します。厚生労働省の調査では収支差率は9.1%(令和6年度決算)で、収入の64.4%が給与費です。経営者の年収の手がかりになる数字も整理しました。

放課後等デイサービスの数字(厚生労働省・自治体・中小機構)確かさ A・C
A収支差率(令和6年度決算)
9.1%物価高騰対策関連補助金を含まない。令和5年度決算は7.9%
A収入に対する給与費の割合
64.4%令和6年度決算(令和7年障害福祉サービス等経営概況調査)
A放課後等デイサービスの費用額
約4,669億円令和4年度。障害児支援全体の67.0%(J-Net21)
A利用する児童の数
月間30万人を超える令和4年度(J-Net21)。利用者数は増え続けている
A児童指導員又は保育士の人員基準
2人以上障害児の数が10人まで。1人以上は常勤(板橋区の手引き)
C1事業所の年間の収支差(試算)
約256万円1事業所当たり費用額(月2,342千円)×12か月×収支差率9.1%。編集部の計算

放課後等デイサービスを開業するには、法人をつくり、児童発達支援管理責任者と、児童指導員又は保育士2人以上(障害児10人まで)をそろえて、自治体から指定を受けます(板橋区の手引き、2026年10月28日閲覧)。厚生労働省の「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査」では、収支差率(収入に対する利益の割合)は令和6年度決算で9.1%でした。

このページでは、指定の要件、お金の流れ、経営者の年収を考える手がかりになる数字を、公的機関の資料から整理します。

放課後等デイサービスとは:学齢期の障害児が放課後に通う支援の場

放課後等デイサービスとは、学校に通う障害児が、授業の終了後や休業日に通い、生活能力の向上のための支援や社会との交流の促進などを受ける障害児通所支援のことです(児童福祉法第6条の2の2第3項)。対象は幼稚園と大学を除く学校、または専修学校等に通う障害児です。

需要は伸びています。厚生労働省が示した国保連データでは、令和6年7〜9月の事業所数は各月平均で22,258か所、利用人数は373,570人でした。令和3年4〜6月は事業所数16,700か所、利用人数270,349人だったので、3年あまりで大きく増えています。

項目令和3年4〜6月令和6年7〜9月
事業所数16,700か所22,258か所
利用人数270,349人373,570人
総費用(3か月の各月平均)33,664百万円52,126百万円

J-Net21(中小企業基盤整備機構)によると、令和4年度の放課後等デイサービスの費用額は約4,669億円で、障害児支援全体の67.0%を占めます。

指定を受けるための要件

放課後等デイサービスは、人員・設備・運営の基準を満たして指定権者(都道府県や市区町村)の指定を受けないと開業できません。板橋区の「指定申請の手引き」(令和8年7月改訂)を例にすると、主な要件は次のとおりです。

要件中身(板橋区の例)
法人格個人では指定を受けられない。事前に法人をつくる
児童指導員又は保育士障害児の数が10人まで2人以上。1人以上は常勤。10人を超えると5人ごとに1人を加える
児童発達支援管理責任者1人以上(1人以上は専任かつ常勤)
管理者原則として管理業務に専ら従事(支障がなければ兼務可)
定員最低定員10名
発達支援室児童1人当たり4㎡以上
相談室・事務室それぞれ4㎡以上

児童発達支援管理責任者(児発管)とは、子ども一人ひとりの支援計画をつくり、ほかの職員に助言する責任者のことです。J-Net21は、なるには実務経験と研修修了の2つの要件を満たす必要があり、採用が特に難しいと書いています。

発達支援室の広さは自治体ごとに違います。J-Net21によると、利用者1人あたり東京都4.0m2、名古屋市3.0m2、ほかの多くの自治体では2.47m2です。

開業までの流れ

開業の手順は、法人をつくる→自治体の説明会と面談→物件と職員の確保→指定申請→指定の順に進みます。

  1. 自治体の要件を調べる:指定権者のホームページで、スケジュールと要件、総量規制の有無を確かめます。
  2. 法人をつくる:定款と登記の目的に「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」等を書きます。板橋区は、指定申請までに定款変更と登記を終えるよう求めています。
  3. 説明会と面談:東京都では「障害児通所支援事業所指定協議説明会」への参加が必須です。
  4. 物件を決める:図面で設備基準を満たすか確認してから契約します。
  5. 職員を採用する:児発管と、児童指導員又は保育士をそろえます。雇用契約書は現地確認で見られます。
  6. 指定申請:書類を出し、審査と現地確認を受けます。

個人事業と法人の違いは個人事業主と法人の違いにまとめています。介護保険の訪問介護も法人でないと指定を受けられない点は同じで、訪問介護事業所の開業で人員基準と収支差率を整理しています。

お金の流れ:9割は国保連から、入金は翌々月

放課後等デイサービスの売上は、9割を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求し、残りの1割が利用者負担です(J-Net21)。報酬の単価は、地域、職員の人数、資格や実務経験年数で変わります。

入金は遅れてきます。板橋区の手引きでは、給付費はサービスを行った月の翌々月に振り込まれます。J-Net21も、4月の売上は6月下旬に入金されるとして、運転資金は少なくとも半年分+2ヶ月程度準備するよう勧めています。

費用の種類中身
立ち上げの資金登記の費用、事業所の賃借料、工事費、備品の購入費など
運転資金人件費・賃借料・消耗品費など。入金までの期間と、利用者が集まるまでの赤字を見込む

開業当初は利用者が少なくても人員基準どおりに職員を置く必要があるため、J-Net21は初年度は赤字になることが多いと書いています。借入をするなら、この期間を入れた創業計画をつくって日本政策金融公庫などに相談します。開業資金の全体の目安は開業資金はいくら必要?をご覧ください。

収支差率と経営者の年収の手がかり

厚生労働省の調査では、放課後等デイサービスの収支差率は令和5年度決算で7.9%、令和6年度決算で9.1%でした。収入に対する給与費の割合は令和6年度で64.4%で、費用の大半は人件費です。

項目令和5年度決算令和6年度決算
収支差率7.9%9.1%
収入に対する給与費の割合66.8%64.4%

※物価高騰対策関連補助金を含まない数字です(令和7年障害福祉サービス等経営概況調査)。

経営者の年収を示す公的な統計はありません。手がかりとして、1事業所の平均の数字から年間の収支差を試算すると、次のとおりです。

1事業所当たり費用額 月2,342千円 × 12か月 × 収支差率9.1% = 約2,557千円(約256万円)

1事業所当たり費用額は、国保連データの令和6年7〜9月の各月の平均です。法人の役員報酬は給与費に入るので、経営者の手取りはこの収支差とは別に決まります。また、1つの法人が複数の事業所を持つ場合は、事業所の数だけ収支差が積み上がります。

フランチャイズで始める場合

放課後等デイサービスにもフランチャイズの本部があります。加盟しても、指定を受けるのは加盟する法人自身で、人員・設備の基準を守る責任も自分にあります。本部に払う加盟金やロイヤリティは費用に上乗せされるので、上の収支差率と比べて採算が合うかを確かめます。契約前に確かめる点はフランチャイズ加盟前のチェックリストにまとめています。

国の検討会は、支援が安全な預かりや学習塾のような内容に偏るなど、放課後等デイサービスとしてふさわしくない運営の例を示しています(J-Net21)。どんな発達支援をするかを先に決めることが、指定後の実地調査にも、利用者の集まり方にも関わります。

よくある質問

放課後等デイサービスは個人で開業できますか?

できません。指定を受けるには法人格が必要で、定款と登記の目的に「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」などの記載が要ります(板橋区の手引き)。

放課後等デイサービスは儲かりますか?

厚生労働省の調査では、収支差率は令和6年度決算で9.1%、令和5年度は7.9%でした。収入の64.4%が給与費で、利用者が集まるまでは赤字になりやすい事業です。

放課後等デイサービスの経営者の年収はいくらですか?

経営者の年収を示す公的な統計はありません。1事業所の平均の数字から試算すると、年間の収支差は約256万円です。役員報酬は給与費に含まれるため、その分は別に入ります。

開業資金はどれくらい見ておけばいいですか?

給付費の入金はサービス提供の翌々月です。J-Net21は運転資金を少なくとも半年分+2ヶ月程度準備するよう勧めており、物件・工事・採用の費用に加えて見込みます。

出典

  1. 厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果の概要」(2026年10月28日閲覧)
  2. 厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(第46回)資料6「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の影響(国保連データ)」(2025年3月27日・2026年10月28日閲覧)
  3. 板橋区「障がい児通所支援事業所 指定申請の手引き」(令和8年7月改訂・2026年10月28日閲覧)
  4. J-Net21(中小企業基盤整備機構)「放課後等デイサービス」(2024年5月29日・2026年10月28日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月28日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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