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2026/10/27

古着屋の開業|古物商許可の取り方と開業資金・年収の考え方、始め方

古着屋を開業するには、古着を仕入れる前に、警察署を通じて公安委員会の古物商許可を受けます(申請手数料19,000円・警視庁)。古着のリユース市場1,099億円、開業費用の中央値600万円など、公的機関の数字と2つの実例で始め方をまとめました。

古着屋の開業に関わる数字確かさ A
A古物商許可の申請手数料
19,000円主たる営業所を管轄する警察署に申請(警視庁)
A古着のリユース市場(推計)
1,099億円2024年。ブランド品を除く衣類・服飾品(環境省)
A帳簿等の保存期間
3年間最終の記録をした日から(古物営業法第18条)
A身分確認と帳簿記録が免除される取引
1万円未満対価の総額。ゲームソフト・書籍などは除く(福島県警察本部)
A開業費用の中央値
600万円全業種。平均値は975万円(日本政策金融公庫 2025年度調査)
A開業後に黒字基調の割合
67.0%全業種(日本政策金融公庫 2025年度調査)

古着屋を開業するには、古着を仕入れる前に、主たる営業所を管轄する警察署を通じて、都道府県公安委員会の「古物商許可」を受ける必要があります(古物営業法第3条)。申請手数料は19,000円です(警視庁)。ここでは、法令と警察・環境省・中小企業基盤整備機構などの公的な資料、そして公的機関が紹介した2つの古着店の実例から、古着屋という事業の始め方と開業資金をまとめます。

項目中身出典
必要な許可古物商許可(都道府県公安委員会)古物営業法
申請先・手数料主たる営業所を管轄する警察署・19,000円警視庁
古着の市場1,099億円(2024年・ブランド品を除く衣類・服飾品)環境省
開業費用中央値600万円・平均値975万円(全業種)日本政策金融公庫

古着屋とは?古物営業法で決まっていること

古着屋とは、一度使われた服や、使うために取引された服を仕入れて、店頭やネットで売る小売業のことです。古物営業法では、こうした品物を「古物」と呼び、古物を売買する営業を「古物営業」としています。

古物営業法の目的は、盗品の売買を防ぎ、早く見つけることです。そのため、古着屋には次のような決まりがあります。

決まり中身条文
許可古物を売買する営業をするには、公安委員会の許可を受ける第3条
管理者営業所ごとに、責任者として管理者を1人選ぶ第13条
相手の確認古物を買い受けるときは、相手の住所・氏名・職業・年齢を確認する第15条
帳簿取引の年月日、品目と数量、特徴、相手方などを記録する第16条
帳簿の保存最終の記録をした日から3年間保存する第18条

許可を受けないで古物営業をすると、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(古物営業法第31条)。

福島県警察本部の案内によると、対価の総額が1万円未満の取引では、相手の身分確認と帳簿への記録が免除されます。ただし、家庭用ゲームソフト、CD・DVD、書籍などは1万円未満でも免除されません。衣類はこの例外に入っていません。

古物商許可の取り方

古物商許可は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係・生活安全課)に申請書と添付書類を出して受けます。警視庁の案内をもとにすると、個人で申請するときの書類は次のとおりです。

書類誰の分が必要か
許可申請書申請者
略歴書本人と営業所の管理者
本籍が記載された住民票の写し本人と営業所の管理者
誓約書本人と営業所の管理者
身分証明書(本籍地の市区町村が交付)本人と営業所の管理者
URLの使用権限があることを示す資料ホームページで取引する場合のみ

申請の流れは次のとおりです。

  1. 営業所を決める:許可は主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会から受けます。2つの県に営業所を置く場合も、県ごとに許可を受ける必要はありません(福島県警察本部)。
  2. 書類をそろえる:添付書類は、申請時のおおむね3か月以内に作成・発行されたものが必要です(福島県警察本部)。
  3. 警察署に申請し、手数料を納める:手数料は19,000円です。
  4. 許可証を受け取る:J-Net21は、申請してから許可の交付まで1カ月以上かかることがあるとしています。
  5. 標識を掲げる:営業所ごとに、公衆の見やすい場所に決められた標識を掲示します(福島県警察本部)。

ネットショップでも売るなら、申請時にURLを届け出ます。店舗を持たずにネットで始める方法はネットショップの開業でもまとめています。

古着の市場:リユースのなかの衣類

古着の市場は、2024年に1,099億円と推計されています。環境省の「令和6年度リユース市場規模調査報告書」の「ブランド品を除く衣類・服飾品」の数字で、一般消費者が中古品を買った総額から推計したものです。

年ブランド品を除く衣類・服飾品の市場規模
2012年983億円
2015年866億円
2018年1,002億円
2021年1,212億円
2024年1,099億円

2024年は2021年より9.3%減りました。なお、ブランド品(服、時計、バッグ類など)は別の分類で、2024年は2,208億円です。

中古品を買う場所としては、リユースショップ・中古品販売店の店頭が最も大きく、自動車・バイクを除いた市場の34.9%を占めています。インターネットオークションが24.4%、インターネットショッピングサイトが22.2%、フリマアプリが13.8%でした。店頭とネットの両方が、古着を売る場所になっています。

J-Net21(中小企業基盤整備機構)は、古着店の人気の理由に「得意分野を仕事にできる」「市場の成長が見込まれる」を挙げる一方で、課題として「参入者が増え競争が激化している」「流行に合わせた品ぞろえが必要になる」を挙げています。

古着屋の仕事と収益の仕組み

古着屋の利益は、仕入れた古着を、仕入れ値より高く、売れ残らせずに売ることで生まれます。J-Net21は、古着店の仕事を次の5つに分けています。

仕事中身
仕入れ個人からの買い取り、国内・海外の卸売業者からの仕入れ、海外への買い付け
商品の修繕・陳列アイロンがけ、ほつれ直し、ボタン付け、商品の補充
接客・販売商品説明、レジ打ち
運営管理在庫管理、スタッフ管理、経理
集客SNS運用、オンラインショップの運営

扱う古着には、近年発売された服の中古品(ユーズド古着)、海外から輸入された古着(インポート古着)、年代物の希少な服(ヴィンテージ古着)、新品状態で保存されていた服(デッドストック古着)があります。何を扱うかが店の特色になります。

古着屋のオーナーの年収は何で決まるか

古着屋のオーナーの年収を示す公的な統計は見つかりませんでした。年収は、売上−仕入れ−家賃・光熱費−人件費−広告宣伝費の残りで決まります。

参考として、日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査(全業種)では、開業した人の現在の月商は「100万円未満」が39.5%、「100万〜500万円未満」が44.2%でした。採算が「黒字基調」の割合は67.0%です。

古着屋の開業資金

古着屋だけの開業資金を示す公的な統計はありません。日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査(全業種)では、開業費用の中央値は600万円、平均値は975万円です。250万円未満が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、4割以上が500万円未満で開業しています。

開業時の資金調達額は平均1,219万円で、金融機関等からの借り入れが平均827万円、自己資金が平均279万円でした。

J-Net21は、古着店の開業資金として次の項目を挙げています。

費目中身
物件取得費前家賃(契約月と翌月分)、敷金もしくは保証金(およそ10カ月分)、礼金(およそ2カ月分)
内外装工事費壁床リフォーム、試着室の設置、空調設備、看板
什器備品費・消耗品費ハンガーラック、商品棚、鏡、照明器具、レジ、パソコン、アイロン
仕入費古着・雑貨の仕入れ
広告宣伝費SNS広告、ホームページ制作費

これに古物商許可の申請手数料19,000円が加わります。開業資金の全体像と集め方は開業資金はいくら必要?で詳しく説明しています。

公的機関が紹介した古着屋の実例

自治体や国の出先機関が紹介した古着店の創業事例を2つ並べます。

店場所・創業始め方の特徴
VACFF(バクフ)福島県会津若松市・2021年12月空き店舗を活用。福島県のお試し移住制度の1年間で準備し、商工会議所に通って事業計画を作成
I/O PORT富山県黒部市・2019年6月(令和元年6月)古着を扱うアパレル店に勤務した経験をもとに創業。古い帽子店の建物をリノベーション。雇用者数0人

VACFFの店主は、会津若松市には骨董屋はあってもビンテージを扱う古着屋がないことを確かめて、出店を決めました。店頭のほかにインターネットでも販売し、服のサイズだけでなく縦と横の長さを測って載せる、写真を実際の色に近く撮るなど、届いてから「思っていたのと違う」とならない工夫をしています。

I/O PORTは、キッズとレディースの古着に絞り、富山では数少ないキッズヴィンテージを扱っています。黒部商工会議所と黒部市の「特定商業地域新規出店支援事業」(改装費の1/3、家賃の1/2、上限100万円)と、黒部市の「創業促進事業奨励金」(上限45万円)を活用しました。店主は、販売の経験だけで始めたため、会計や仕入れ、在庫管理、販促を一から学んだと話しています。

古着屋の始め方

  1. 古着店や卸で経験を積む:I/O PORTの店主は古着を扱うアパレル店に勤めてから創業しました。仕入れの目利きと修繕の技術が、品ぞろえを左右します。
  2. 扱う古着と売り場を決める:ユーズド・インポート・ヴィンテージなど、どの古着を誰に売るかを決め、実店舗とネットの組み合わせを考えます。
  3. 物件と営業所を決める:VACFFの店主は、人口や同じような店の有無、人の流れを自分の足で確かめました。
  4. 古物商許可を申請する:営業所を管轄する警察署に申請します。許可が出るまで1カ月以上かかることがあります。
  5. 資金計画をつくり、支援制度を調べる:2つの実例はどちらも商工会議所に相談し、黒部市の例では空き店舗への出店支援を使っています。
  6. 開業届を出す:個人で始めるなら税務署に開業届を出します。手続きは開業届の出し方と期限をご覧ください。

J-Net21は、個人で開業する方法のほかに、フランチャイズに加盟して開業する方法もあるとしています。加盟を考えるときは、フランチャイズとはで仕組みと契約の確かめ方を確認してください。

よくある質問

古着屋を始めるには何が必要ですか?

古着を仕入れて売るなら、営業を始める前に古物商許可が必要です。主たる営業所を管轄する警察署に申請し、手数料は19,000円です(警視庁)。個人なら税務署に開業届も出します。

古着屋の開業資金はいくらですか?

古着屋だけの公的な統計はありません。日本政策金融公庫の2025年度調査では、全業種の開業費用の中央値が600万円で、4割以上が500万円未満で開業しています。

古着屋のオーナーの年収はどれくらいですか?

古着屋のオーナーの年収を示す公的な統計は見つかりませんでした。年収は、売上から仕入れ、家賃、人件費などを引いた残りで決まります。開業前に自分の店で試算しましょう。

古着屋は儲かりますか?

古着の市場は2024年に1,099億円と推計され、2021年の1,212億円から減っています(環境省)。参入者が多いため、品ぞろえの特色と仕入れの目利きが利益を左右します。

古着をネットだけで売る場合も許可は要りますか?

古着を仕入れて売るなら、ネットだけでも古物商許可が必要です。ホームページで取引する場合は、申請時にURLと、その使用権限を示す資料も出します(警視庁・J-Net21)。

出典

  1. 警視庁「古物商許可申請」(2025年9月5日更新・2026年10月27日閲覧)
  2. 古物営業法(e-Gov法令検索)(2026年10月27日閲覧)
  3. 福島県警察本部「古物営業を営まれる方へ」(2026年10月27日閲覧)
  4. 環境省「令和6年度リユース市場規模調査報告書(概要版)」(令和7年6月・2026年10月27日閲覧)
  5. J-Net21(中小企業基盤整備機構)業種別開業ガイド「古着店」(2025年5月9日・2026年10月27日閲覧)
  6. 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月27日閲覧)
  7. 福島県「古着店の夢を会津で叶えるIターン」(VACFF)(2022年10月13日取材・2026年10月27日閲覧)
  8. 中部経済産業局 創業事例「I/O PORT」(富山県黒部市)(2026年10月27日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月27日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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