
2026/10/27
花屋の年収と開業資金|儲かる仕組みと始め方を、農林水産省の統計と3つの実例で
花屋の年収を直接示す公的な統計はありません。売上の柱は店頭販売で、花・植木小売業(法人)の販売額の88.1%を占めます。葬儀用の業務需要1,727億円、母の日などの行事。農林水産省の統計と、公的機関が紹介した3つの花屋の実例から儲かる仕組みを整理しました。
- A花・植木小売業の年間商品販売額
- 2,377億円法人のみ・5,395法人(令和3年経済センサス)
- C1法人あたりの年間商品販売額
- 約4,406万円編集部の計算(2,377億円÷5,395法人)。個人経営は含まない
- A店頭販売の割合
- 88.1%花・植木小売業(法人)の年間商品販売額に占める割合
- A葬儀用の花の需要(推計)
- 1,727億円令和5年。業務用需要の推計2,491億円のうち最大
- A花を買う場所としてのスーパー
- 40%花屋は76%(国産花き生産流通強化推進協議会の資料・J-Net21)
- A29歳以下の世帯の切り花購入額
- 約4倍二人以上世帯。令和元年→令和6年(家計調査)
花屋の年収を直接示す公的な統計はありません。年収を決めるのは、店頭での花の売上から、仕入れと廃棄(フラワーロス)、家賃、人件費を引いた残りです。農林水産省の「花きの現状について」(令和8年6月)によると、花・植木小売業(法人のみ)の年間商品販売額は2,377億円で、そのうち88.1%が店頭販売でした。
花の需要は、個人が自宅に飾る花や贈る花だけでなく、葬儀用(推計1,727億円)や婚礼用(372億円)などの業務用もあります。このページでは、農林水産省と中小企業基盤整備機構の資料、そして自治体などの公的機関が紹介した3つの花屋の実例から、花屋の儲かる仕組みと始め方をまとめます。
花屋とは:切り花や鉢ものを仕入れて売る小売業
花屋とは、市場や生産者から切り花・鉢もの・苗などを仕入れて、店頭やネットで消費者や企業に売る小売業のことです。統計では「花・植木小売業」に分類されます。花束やアレンジメントをつくる加工の技術と、仕入れた花を傷ませずに売り切る管理が、売上と利益を左右します。
農林水産省の資料にある、令和3年経済センサスの数字は次のとおりです(個人経営を除いた法人のみ)。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 花・植木小売業の数 | 5,395法人 |
| 年間商品販売額 | 2,377億円 |
| 店頭販売の割合 | 88.1% |
| インターネット販売の割合 | 3.8% |
| 通信・カタログ販売の割合 | 1.3% |
1法人あたりにならすと、2,377億円÷5,395法人=約4,406万円です(編集部の計算)。個人で営む小さな花屋は含まれていないので、法人の平均と考えてください。
花屋の年収と給料:何で決まるか
花屋の年収は、売上−仕入れ−廃棄−家賃・光熱費−人件費で決まります。花は生ものなので、仕入れた花が売れ残ると、そのまま費用になります。
| 項目 | 花屋ならではの特徴 |
|---|---|
| 売上 | 母の日・お彼岸・年末など行事の時期に集中する |
| 仕入れ | 市場のセリや仲卸、生産者から。時期で値段が変わる |
| 廃棄(フラワーロス) | 売れ残った花は商品にならない |
| 家賃・光熱費 | 花の温度管理に冷蔵の設備が要ることがある |
| 人件費 | 繁忙期だけ人手が必要になる |
J-Net21(中小企業基盤整備機構)は、花屋は母の日や歓送迎会などイベントの有無で売上が左右されるため、サブスクなどの定期契約や他企業とのパートナーシップで、イベントに左右されない安定した収入を確保することが長く続けるポイントだとしています。
花屋に勤める人の給料も、公的な統計で花屋だけを取り出した数字は見つかりませんでした。独立を考えるなら、自分の店の売上と費用で、手元にいくら残るかを試算するのが確実です。
花屋が儲かる仕組み:毎月ある需要と、ロスを減らす売り方
花屋が安定して利益を出す仕組みは、行事の波をならす需要を持つことと、売れ残りを減らすことの2つです。
まず、需要の内訳を見ます。農林水産省の推計では、令和5年の花きの国内消費は約1.2兆円で、個人消費が9,211億円、業務用需要が2,491億円でした。
| 業務用の需要 | 推計額(令和5年) |
|---|---|
| 葬儀用 | 1,727億円 |
| 稽古用(いけばななど) | 392億円 |
| 婚礼用 | 372億円 |
葬儀用は業務用のなかで最も大きく、仏事の花は毎月一定の需要があります。大阪市西成区のFlower Days NAOの店主は、「仏事にこだわる事でお客様が広告塔になってくださる」という父の教えを信じ、毎月1日と15日を大切にしてきたと話しています。その結果、来店頻度が増え、アレンジメントや花束、スタンド花の注文にもつながりました。
次に、売れ残りを減らす工夫です。同じ店主は、花屋最大の難点はフラワーロスだとし、近くのスーパーに販売コーナーを作ってもらい、低価格のカジュアルフラワーを売ることでロスをなくすことにつなげています。
花を買う人の変化:スーパーと若い世代
花を買う場所は、花屋だけではなくなっています。J-Net21が紹介する国産花き生産流通強化推進協議会の資料では、花を買う場所として花屋が76%、スーパーが40%で、洋服屋やカフェなどのコラボ型店も7%ありました。
一方で、若い世代の購入は増えています。農林水産省の資料によると、切り花の1世帯あたり年間購入額は長期的に見ると緩やかに減少していますが、二人以上世帯のうち世帯主が29歳以下の世帯では、令和元年から令和6年で年間購入額が約4倍になりました。資料は、SNSをきっかけに花を贈る文化が広がっているという報道も紹介しています。
公的機関が紹介した花屋の実例
自治体や支援機関が紹介している花屋の創業事例から、始め方の特徴を3つ並べます。
| 店 | 場所・創業 | 始め方の特徴 |
|---|---|---|
| Flower Days NAO | 大阪市西成区・2017年9月 | 30年修行しフラワー装飾技能士1級を取得。日本政策金融公庫の女性起業家支援資金の融資を受けて商店街で開業 |
| Flower the Day | 埼玉県戸田市・2020年1月 | 都内の生花店で7年、花き市場で2年働いて独立。先にネットショップを立ち上げ、その後に実店舗を開店 |
| Le soleil | 福島市・令和5年8月 | 事務職から独立。生産者から直接仕入れ、毎月の季節の花のレッスンも開く(小売業・教育業) |
3つの店に共通するのは、店頭の花の販売に何かを組み合わせていることです。Flower the Dayはペット供養の花を専門に扱うWEBショップ「Flower the Pet」も運営し、店舗はその実店舗も兼ねています。Le soleilは花の販売とレッスンを組み合わせ、地元の生産者の花を地元の人に届けたいと話しています。
花屋の開業資金
花屋だけの開業資金を示す公的な統計はありません。参考になるのは、日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査(全業種)で、開業費用の中央値は600万円、平均値は975万円です。250万円未満が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、4割以上が500万円未満で開業しています。
花屋の開業費用は、主に次の項目で決まります。
- 物件を借りる費用:保証金・仲介手数料など。ネットショップから始めれば当面はかかりません。
- 内装と設備:花を並べる什器、作業台、花の温度を保つ設備。
- 最初の仕入れ:花は日持ちしないため、最初から多く仕入れすぎないことが大切です。
- 配達の手段:スタンド花や法人の注文を受けるなら車が要ることがあります。
- ネットショップと集客:予約制のアレンジメントやサブスクを受ける仕組み。
開業資金の分布と集め方は、開業資金はいくら必要?で詳しく説明しています。
花屋の始め方
- 花屋や市場で働いて経験を積む:Flower the Dayの店主は生花店で7年、花き市場で2年働いてから独立しました。
- 売り方の柱を決める:店頭の切り花に加え、仏事・法人の定期契約・アレンジメントの予約・レッスン・ネット販売のどれを組み合わせるかを決めます。
- 仕入れ先を確保する:市場のセリのほか、仲卸や生産者からの直接仕入れもあります。
- 創業計画書をつくり、資金を用意する:3つの実例はいずれも、よろず支援拠点や創業支援センター、市役所・商工会議所などに相談しています。
- 開業届を出す:個人で始めるなら税務署に開業届を出します。手続きは開業届の出し方と期限をご覧ください。
- 見つけてもらう入口をつくる:Flower Days NAOは、商工会議所の支援でGoogleビジネスプロフィールに登録しました。登録のしかたはGoogleマップで小さな店を見つけてもらう方法にまとめています。
よくある質問
花屋の年収はどれくらいですか?
花屋の経営者の年収を直接示す公的な統計はありません。年収は、売上から花の仕入れと廃棄、家賃、人件費などを引いた残りで決まります。開業前に自分の店で試算することが大切です。
花屋は儲かる仕組みになっていますか?
売上が母の日などの行事に偏り、売れ残った花は廃棄になるのが難しさです。仏事や葬儀など毎月ある需要、法人の定期契約、サブスクで売上をならすのが仕組みの基本です。
花屋の開業に資格や許可は必要ですか?
花を売るのに必須の資格はありません。個人なら税務署に開業届を出します。国家検定のフラワー装飾技能士を持って開業した人もいます(大阪府の創業事例)。
花屋の開業資金はいくらですか?
花屋だけの公的な統計はありません。公庫の2025年度調査では全業種の開業費用の中央値が600万円で、4割以上が500万円未満で開業しています。
出典
- 農林水産省「花きの現状について」(令和8年6月・2026年10月27日閲覧)
- J-Net21(中小企業基盤整備機構)「花屋」起業支援(2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月27日閲覧)
- 大阪府「創業事例(Flower Days Nao)」(2024年10月21日更新・2026年10月27日閲覧)
- 福島市「創業者紹介 Le soleil」(令和8年2月・2026年10月27日閲覧)
- 埼玉県産業振興公社 創業・ベンチャー支援センター埼玉「創業事例集」(Flower the Day)(2026年10月27日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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