
2026/10/27
開業届を出していない個人事業主はどうなる?確定申告・青色申告・後から出す手順
開業届を出していなくても、事業の所得があれば確定申告は必要です。開業届の期限は確定申告期限までなので、今年始めた事業なら今からでも間に合います。会社員の副業は所得20万円超が申告の目安。申告を忘れたときの無申告加算税(自主的なら5%)と、青色申告への影響を国税庁の案内から整理しました。
- A開業届の提出期限
- 確定申告期限まで事業を始めた日の属する年分の確定申告期限(国税庁 A1-5)
- A確定申告の期限
- 翌年3月15日申告期間は翌年2月16日から3月15日まで
- A会社員の副業の申告ライン
- 20万円超給与を1か所から受け全額源泉徴収の人。給与・退職以外の所得の合計額
- A青色申告承認申請書の期限
- 2か月以内1月16日以後に開業した場合。それ以外はその年の3月15日まで
- A自主的な期限後申告の無申告加算税
- 5%税務署の調査の事前通知の前に申告した場合。納付すべき税金に対して
- A帳簿書類を保存していない副業の所得
- 業務に係る雑所得収入300万円超で事業所得と認められる事実がある場合を除く(所得税基本通達35-2)
開業届を出していなくても、事業の所得があれば確定申告は必要です。開業届の提出期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までなので、今年始めた事業なら、翌年3月15日までに出せば間に合います(国税庁、2026年10月27日閲覧)。
開業届そのものより影響が大きいのは、確定申告と青色申告の期限です。このページでは、開業届をまだ出していない人の疑問に絞って、国税庁の案内から「どうなるか」と「後から出す手順」を整理します。開業届の書き方や必要なものは開業届の出し方と期限をご覧ください。
開業届を出していないとどうなるか
開業届を出していない状態で影響が出るのは、確定申告、青色申告、所得の区分、手続で開業届の控えを求められる場面の4つです。
| 項目 | 開業届を出していない場合 |
|---|---|
| 確定申告 | 開業届と関係なく、所得があれば必要 |
| 青色申告 | 承認申請書を期限までに出していなければ白色申告になる |
| 所得の区分 | 帳簿書類を保存していない副業の所得は、原則「業務に係る雑所得」になる |
| 開業届の控えを使う手続 | たとえば持続化補助金<創業型>では、個人事業主は開業届の写しを出す |
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、新たに事業を始めたときに税務署へ出す届出書です。国税庁の手続の案内(A1-5)には、提出時期と提出先・提出方法が書かれていますが、提出が遅れた場合の罰則の記載はありません。
確定申告はどうなるか:会社員の副業は20万円が目安
確定申告が必要かどうかは、開業届ではなく所得で決まります。国税庁のタックスアンサー No.2020 は、その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超え、その超える額に対する税額が一定の控除額を超える人は、確定申告をする必要があるとしています。
会社員が副業で事業をしている場合は、No.1900 の基準が目安になります。
| 会社員の状況 | 確定申告が必要になる条件 |
|---|---|
| 給与を1か所から受け、全額が源泉徴収されている | 給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える |
| 給与を2か所以上から受けている | 年末調整されなかった給与の収入と、給与・退職以外の所得の合計額が20万円を超える |
| 給与の年間収入が2,000万円を超える | 確定申告が必要 |
申告期間は翌年2月16日から3月15日までで、納付の期限も原則として3月15日です。税務署から納付書が送られてくることはないので、振替納税やインターネットバンキングなどで自分で納めます。
確定申告を忘れていたら:期限後申告と無申告加算税
確定申告を忘れていた場合は、気づいた時点でできるだけ早く申告します。国税庁のNo.2024によると、期限を過ぎた申告は「期限後申告」として扱われ、税金のほかに無申告加算税と延滞税がかかります。
| 申告した時期 | 無申告加算税(令和5年分以降) |
|---|---|
| 税務署の調査の事前通知の前に、自主的に申告 | 納付すべき税金の5% |
| 事前通知の後、調査による決定を予知する前に申告 | 50万円までの部分は10%、50万円を超え300万円までの部分は15%、300万円を超える部分は25% |
| 調査を受けた後に申告、または税務署の決定を受けた | 50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30% |
法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、税金の全額を期限までに納めているなど、期限内に申告する意思があったと認められる場合は、無申告加算税はかかりません。期限後申告で納める税金は、申告書を出した日が納期限になります。
青色申告はどうなるか:申請書は開業届とは別
青色申告をするには、開業届とは別の「所得税の青色申告承認申請書」を、期限までに税務署に出します。国税庁の手続の案内(A1-8)の期限は次のとおりです。
| 開業した時期 | 青色申告承認申請書の期限 |
|---|---|
| 1月15日まで | その年の3月15日まで |
| 1月16日以後 | 事業を始めた日から2か月以内 |
| 2年目以降に青色申告にしたい | 青色申告をしたい年の3月15日まで |
期限を過ぎた年は白色申告になり、青色申告特別控除(最高65万円、条件により55万円または10万円)は受けられません。白色申告でも、記帳と帳簿書類の保存は必要です。国税庁の記載要領は、事業所得などがあるすべての人に、申告の必要がない人も含めて、記帳と帳簿書類の保存が必要だと書いています。控除の条件は青色申告とはにまとめています。
事業所得と雑所得:帳簿があるかで分かれる
副業の所得が事業所得になるか雑所得になるかは、開業届を出したかどうかでは決まりません。国税庁の所得税基本通達35-2(令和4年10月改正)は、事業所得かどうかを、その活動が「社会通念上事業と称するに至る程度」で行っているかで判定するとしています。
そのうえで、取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、業務に係る雑所得に当たるとしています(収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除く)。
雑所得になると、国税庁のNo.1500のとおり、雑所得で出た損失はほかの所得と損益通算できません。また青色申告特別控除は、事業所得などに対する制度です。
後から開業届を出す手順
開業届は、出し忘れていても後から出せます。出すときは、次の順に進めると漏れがありません。
- 事業を始めた日を確かめる:届出書の「開業・廃業等日」に書きます。補助金などでは、届出書の提出日ではなく、この開業日で要件を判断されます。
- 開業届を書いて出す:e-Taxなら、本人確認書類の写しは要りません。書面なら税務署に持参か郵送します。マイナンバーの記載と本人確認書類が必要です。
- 青色申告をしたいなら承認申請書も出す:今年分の期限が過ぎていたら、翌年分の申請になります(翌年3月15日まで)。
- 帳簿をつけ始める:開業日までさかのぼって、売上と経費を記録します。
- 確定申告をする:翌年2月16日から3月15日までに申告します。
よくある質問
開業届を出していなくても確定申告は必要ですか?
必要です。確定申告が必要かどうかは所得で決まり、開業届を出したかどうかでは決まりません。会社員の副業なら、給与以外の所得が20万円を超えると申告が必要です。
開業届を出し忘れたら、今から出しても間に合いますか?
開業届の期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。今年始めた事業なら、翌年3月15日までに出せば期限内です。期限を過ぎていても早めに出しましょう。
開業届を出していないと青色申告はできませんか?
青色申告に必要なのは青色申告承認申請書で、開業届とは別の書類です。ただし期限があり、1月16日以後の開業なら開業から2か月以内です。過ぎたら翌年分から申請します。
確定申告を忘れていたらどうなりますか?
期限後申告として扱われ、無申告加算税と延滞税がかかります。税務署の調査の事前通知の前に自主的に申告すれば、無申告加算税は納める税金の5%です。
出典
- 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(2026年10月27日閲覧)
- 国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」書き方(記載要領)(2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」(2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1500 雑所得(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁「所得税基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」新旧対照表(令和4年10月7日)(2022年10月7日・2026年10月27日閲覧)
- 小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回公募 公募要領(第8版)(2026年5月27日公開・2026年10月27日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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