画像はイメージです(AIで作成)

2026/10/27

ネイルサロンの開業|自宅開業の注意点・開業資金・必要な届出と衛生管理の指針

ネイルサロンの開業に、保健所の許可やネイリストの資格は要りません。税務署への開業届と、厚生労働省の衛生管理の指針に沿った設備が基本です。ネイルサービス市場は2023年に1,531億円で、施設は2021〜2023年に7,400件増えました。

ネイルサロン開業の数字(公的機関と業界団体)確かさ A
Aネイルサービス市場
1,531億円2023年・前年比106.0%(日本ネイリスト協会『ネイル白書2025』)
Aネイルサロンの施設数の増加
7,400件2021〜2023年の推計。1店舗あたりの売上高は低位
A開業費用の中央値(全業種)
600万円公庫2025年度新規開業実態調査。平均値は975万円
Aネイリスト技能検定3級の受験料
6,820円2026年夏期以降・税込。2級9,900円・1級12,650円
A防火対象物使用開始届出書
7日前まで店舗を借りて使い始めるとき(東京消防庁)
A衛生管理の指針
平成22年9月厚生労働省「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」

ネイルサロンの開業に、保健所の許可やネイリストの資格は要りません(滋賀県、2026年10月27日閲覧)。個人で始めるなら税務署に開業届を出し、厚生労働省の「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」(平成22年9月)に沿った設備と衛生管理を整えるのが基本です。

市場は伸びています。日本ネイリスト協会の推計では、2023年のネイルサービス市場は1,531億円(前年比106.0%)でした。一方で、2021〜2023年にサロンが7,400件増え、1店舗あたりの売上高は低位になっていると分析しています。始めやすいぶん、競争も激しい事業です。

ネイルサロンとは:爪に係る施術を行う施設

ネイルサロンとは、爪の手入れ、爪の造形、爪の修理、補強、爪の装飾など、爪に係る施術を行う施設のことです。厚生労働省の衛生管理の指針が、このように定義しています。

美容室と違い、ネイルの施術は美容師法の美容所の届出の対象ではありません。そのかわり、指針に沿った衛生管理が求められます。滋賀県も、営業する人はこの指針に基づいて衛生管理を行うよう案内しています。

項目ネイルサロン美容室
施術する人の資格法律上の資格は不要(民間の検定あり)美容師免許
開業の手続き保健所の許可は不要。税務署に開業届保健所に美容所の開設届
衛生の基準厚生労働省の指針美容師法と条例

美容室の開業は美容室の開業資金と始め方にまとめています。

ネイルサロンを開業するには:必要な届出と資格

ネイルサロンを開業するときに出すのは、税務署への開業届が中心です。店舗の形やメニューによって、ほかの届出が加わります。

届出・資格必要な人窓口・期限
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)個人で始める人全員税務署。開業した年分の確定申告期限まで
防火対象物使用開始届出書店舗を借りて使い始める人消防署。使用開始の7日前まで(東京消防庁)
美容師免許と美容所の届出まつ毛エクステンションも施術する人保健所
ネイリスト技能検定など任意(法律上は不要)公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターなど

まつ毛エクステンションは、ネイルと違って美容行為に当たります。滋賀県は、美容師法で定められた美容所以外では行えず、施術する人は美容師の資格が必要だと案内しています。ネイルとまつ毛を一緒に始めたい人は、最初に保健所へ相談してください。

民間の資格には、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターのネイリスト技能検定があります。2026年夏期以降の受験料(税込)は、3級6,820円、2級9,900円、1級12,650円です。滋賀県も、資格は必須ではないものの、皮膚や爪の知識と技術の取得を認定するNPO法人の資格認定を参考にするとよいとしています。

開業届の書き方と出し方は開業届の出し方と期限で説明しています。

衛生管理の指針で求められる設備

ネイルサロンの設備は、厚生労働省の衛生管理の指針が目安です。主な項目は次のとおりです。

  1. 作業場を区分する:施設は隔壁などで外部と区分し、作業場は待合所・居住室・休憩室などから区分します。隔壁で完全に区分するのが望ましく、少なくとも仕切りで明確に区分します。
  2. 手洗い設備を置く:作業場内に従業者用の手洗い設備を設けます。置けない場合は、共用の設備を使う場所を決めておきます。
  3. 換気を確保する:採光・照明・換気が十分に行える構造にします。機械的な換気設備が望ましく、自然換気なら有効な開口部を設けます。
  4. 器具を消毒し、分けて保管する:器具を消毒する場所を設け、消毒済みの器具は使用済みのものと分けて収納ケースなどに保管します。
  5. 衛生管理責任者を決める:サロンごとに衛生管理責任者を決め、従業者の健康状態を毎日確かめます。

ジェルやアセトンなどの薬品は、決まった場所に保管します。指針は、薬品の保管について消防法の規定も確かめるよう求めています。

自宅でネイルサロンを開業するときの注意点

自宅で開業するときに確かめるのは、作業場の区分と、住まいの規約・契約の2つです。

衛生管理の指針は、作業場を居住室などから区分することを求めています。リビングの一角で施術するなら、少なくとも仕切りで作業場をはっきり分けます。

分譲マンションでは、管理規約を確かめます。国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)第12条は、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するもの」としています。多くのマンションの管理規約はこれをもとに作られているため、住宅以外の使い方が認められるかは、管理組合に確かめる必要があります。賃貸住宅なら、賃貸借契約で事業に使えるかを確かめ、大家さんや管理会社に相談します。

ネイルサロンの開業資金

ネイルサロンだけの開業資金を示す公的な統計はありません。参考になるのは、日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査(全業種)で、開業費用の中央値は600万円、平均値は975万円です。250万円未満で開業した人が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、4割以上が500万円未満で開業しています。

ネイルサロンの開業費用は、主に次の項目で決まります。

費用の項目自宅で開業店舗を借りて開業
物件を借りる費用(保証金・仲介手数料など)かからないかかる
内装工事(作業場の区分・手洗い・換気)仕切りなど最小限指針に沿って工事
施術用の机・椅子・照明・消毒の器材かかるかかる
ジェルなどの材料かかるかかる
予約サイト・広告かかるかかる

自宅で始めると物件を借りる費用がかからないぶん、開業資金を抑えやすくなります。開業資金の分布と集め方は、開業資金はいくら必要?で詳しく説明しています。

ネイルサロンは儲かるか:施設が増え価格競争に

ネイルサロンの市場は伸びている一方で、施設が急に増え、1店舗あたりの売上高は低位になっています。日本ネイリスト協会の『ネイル白書2025』の概要から、主な数字を抜き出します。

項目数字(2023年)
ネイル産業全体の市場規模2,047億円(前年比105.3%)
ネイルサービス市場1,531億円(前年比106.0%)
施設数の増加2021〜2023年に7,400件

協会は、施設数の急拡大に客数の回復が追いついておらず、低額サロンの増加もあって価格競争が激しくなっていると推測しています。サービスのメニューでは、ネイルケアとフットケアが伸びています。

ネイルサロンの売上は、施術できる席数×1日の施術数×客単価×営業日数で決まります。ひとりで営むなら1日に施術できる人数に限りがあるため、値下げで客数を増やすより、ケアやフットなど伸びているメニューで客単価と通う間隔を設計するほうが、手元に残るお金を増やしやすくなります。

ネイルサロンのフランチャイズに加盟して始める方法もあります。加盟する前に確かめることはフランチャイズに加盟する前に確かめる8つのことにまとめています。

ネイルサロンの始め方

  1. 形を決める:自宅・店舗・出張のどれで始めるかを決めます。自宅なら管理規約や賃貸契約を先に確かめます。
  2. メニューと価格を決める:周辺のサロンの価格と、自分の技術で1日に施術できる人数から、目標の売上に届くかを計算します。
  3. 設備を整える:衛生管理の指針に沿って、作業場の区分・手洗い・換気・消毒の器材をそろえます。
  4. 届出を出す:税務署に開業届を出します。店舗を借りたら、消防署への防火対象物使用開始届出書(東京消防庁は使用開始の7日前まで)も確かめます。
  5. 集客を始める:予約サイトやSNS、地図アプリへの登録で、見つけてもらう入口をつくります。

よくある質問

ネイルサロンの開業に資格や許可は必要ですか?

滋賀県の案内では、ネイルサロンを開業する許可や、ネイリストを名乗るための資格はありません。税務署への開業届と、厚生労働省の衛生管理の指針に沿った運営が基本です。

自宅でネイルサロンを開業できますか?

できますが、作業場を居住室から区分することが衛生管理の指針で求められます。分譲マンションは管理規約で住宅以外の使用が禁じられていることがあり、賃貸は契約の確認が要ります。

ネイルサロンの開業資金はいくらですか?

ネイルサロンだけの公的な統計はありません。公庫の2025年度調査では、全業種の開業費用の中央値が600万円で、250万円未満で開業した人が20.1%でした。

ネイルサロンは儲かりますか?

市場は伸びていますが競争は激しくなっています。日本ネイリスト協会は、2021〜2023年に施設が7,400件増え、1店舗あたりの売上高は低位で価格競争が激しいと推測しています。

出典

  1. 滋賀県「ネイルサロンにおける衛生管理について」(2026年10月27日閲覧)
  2. 厚生労働省「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」(滋賀県掲載)(平成22年9月15日通知・2026年10月27日閲覧)
  3. 滋賀県「まつ毛エクステンションの施術を行うには『美容師』の資格が必要です!」(2026年10月27日閲覧)
  4. NPO法人日本ネイリスト協会「『ネイル白書2025』発刊」報道資料(2025年2月28日公表・2026年10月27日閲覧)
  5. 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月27日閲覧)
  6. 公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター「ネイリスト技能検定試験 受験料の改定について」(2025年12月22日公表・2026年10月27日閲覧)
  7. 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント【民泊関係改正】」(2026年10月27日閲覧)
  8. 東京消防庁 牛込消防署「よくある質問」(2026年10月27日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月27日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。

あわせて読みたい