画像はイメージです(AIで作成)

2026/10/27

美容室経営の年収|オーナーと美容師の収入を統計と公庫の計画例で(一人美容室・店長の見方)

美容室オーナーの年収は、売上から材料費・家賃・人件費などを引いた残りです。日本政策金融公庫の創業計画書の記入例では、開業当初の月の利益38万円、軌道に乗った後53万円。雇われる側は、洗濯・理容・美容・浴場業の所定内給与額が月266.6千円(令和6年)です。統計と計画例で整理しました。

美容室の収入を読む数字(2026年10月時点)確かさ A・C
A公庫の記入例:開業当初の月の利益
38万円売上95万円(椅子3台・2回転・26日)。事業主の人件費は含まない
A公庫の記入例:軌道に乗った後の月の利益
53万円売上142万円(3回転)。アシスタント1人を増やした場合
C開業当初の利益を1年に直すと
456万円編集部の計算。税金・社会保険料を引く前
A美容所の施設数
269,889施設令和4年度末。10年前より38,755施設増(厚生労働省 美容業の振興指針)
A美容業の1店舗当たりの従業者数
2.52人令和3年経済センサス。事業所の法人比率は19.8%
A従業者5人未満の美容業の事業者
86.7%令和5年度調査。経営者の23.4%が70歳以上

美容室オーナーの年収は、売上から材料費・家賃・人件費・借入の利息などを引いた残りです。オーナーの年収そのものの公的な統計は見つかりませんでしたが、日本政策金融公庫の創業計画書の記入例(美容業)では、椅子3台の店で開業当初の月の利益が38万円、軌道に乗った後が53万円になっています(2026年10月27日閲覧)。1年に直すと、開業当初は456万円です(編集部の計算)。

雇われて働く美容師の給与は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」で見られます。理容・美容を含む「洗濯・理容・美容・浴場業」の所定内給与額は、令和6年に月266.6千円でした。このページでは、オーナーと美容師の収入を、公的機関の統計と公庫の計画例から読み解きます。

美容室経営の年収とは:売上から経費を引いた事業主の取り分

美容室経営の年収とは、個人で営む店なら、1年の売上から必要経費を引いた事業所得のことです。会社にしている場合は、会社から受け取る役員報酬が年収になります。どちらも、そこから所得税・住民税・社会保険料を払います。

勤めている美容師と、店を持つオーナーでは、収入の決まり方がまったく違います。

比べる点勤務する美容師・店長店を持つオーナー
収入の決まり方給与(基本給・歩合・賞与)売上−経費の残り
店の売上が落ちたとき給与は急には下がらないことが多いそのまま収入が減る
人を雇ったとき関係しない人件費が増え、売上が増えなければ取り分が減る
公的な統計賃金構造基本統計調査があるオーナーの年収の統計は見つからない

公庫の記入例の「人件費」の欄には、個人営業の場合、事業主分は含めないという注があります。つまり、計画書の「利益」が、そのまま事業主の取り分(ここから借入の元金の返済と生活費をまかなう)です。

公庫の計画例で見るオーナーの収入

公庫の「創業の手引+(美容業)」には、美容師歴12年の人が夫婦で美容室を開く想定の記入例があります。椅子3台・平均単価6,000円・月26日営業で、開業当初の月の利益38万円、軌道に乗った後53万円です。

項目(月平均)創業当初軌道に乗った後
売上高95万円142万円
売上原価(原価率15%)15万円22万円
人件費10万円(専従者1人・妻)25万円(アシスタント1人増)
家賃10万円10万円
支払利息2万円2万円
その他(光熱費・消耗品費など)20万円30万円
利益(事業主の取り分)38万円53万円

売上の根拠は「平均単価6,000円×3台×2回転×26日=93万円」に、ヘアケア商品の販売月2万円を足したものです。軌道に乗った後は、回転数を2回転から3回転に上げる想定です。

1年に直すと、開業当初は38万円×12か月=456万円、軌道に乗った後は53万円×12か月=636万円です(編集部の計算)。この記入例を書いた人の勤務時代の月給は25万円でした。

美容師の給与は統計でどれくらいか

勤めて働く美容師の給与は、産業全体より低めの水準です。厚生労働省の資料「理容師制度及び美容師制度を巡る現状と動向について」は、職種「理容師・美容師」の所定内給与額は産業計などより概ね低い水準で、年間賞与その他特別給与額は比べた中で最も低い水準だとしています。

職種別の数字は年によって公表の形が変わるため、ここでは産業分類「洗濯・理容・美容・浴場業」の平均を、出入国在留管理庁が賃金構造基本統計調査から整理した表で示します(企業規模計・男女計)。

年所定内給与額(月)年間賞与その他特別給与額
令和2年246.4千円197.2千円
令和3年245.4千円214.9千円
令和4年245.4千円227.2千円
令和5年255.1千円278.4千円
令和6年266.6千円297.4千円

令和6年の数字を1年分にすると、266.6千円×12か月+297.4千円=3,496.6千円です(編集部の計算。残業代などは含みません)。この分類には、クリーニング店や浴場で働く人も含まれる点に注意してください。

店長の年収を示す公的な統計は見つかりませんでした。店長は、勤務先の給与の決まり(基本給・役職手当・歩合)で大きく変わります。

美容室の売上を決める数字

美容室の売上は、客単価×椅子の台数×回転数×営業日数で決まります。公庫の手引は、美容椅子2台・1日1台当たり4.5回転・客単価3,950円・月25日稼働の例で、3,950円×2台×4.5回転×25日=88万円という売上予測の式を示しています。

客単価の目安は、全国生活衛生営業指導センターの調査が参考になります。厚生労働省の「美容業の振興指針」によると、美容店1回当たりの費用は「6,000~7,999円」が33.9%で最も多く、「4,000~5,999円」が23.9%、「8,000~9,999円」が21.0%でした。

一人美容室では、自分の手の数が売上の上限になります。田舎で一人美容室を営むtomさんは、最悪稼働が3分の1になっても生活が回るように「1日1人、客単価14,000円」を最低限の設計にしていると書いています。客数を増やすのではなく、単価で必要な売上を確保する考え方です。

美容室経営は儲かるか:統計に見る経営環境

美容室は店の数が増え続け、競争が激しくなっている業種です。厚生労働省の「美容業の振興指針」(令和7年4月1日適用)によると、美容所の施設数は269,889施設(令和4年度末)で、10年前より38,755施設増えました。従業美容師数は571,810人です。

項目数字出典
美容業の1店舗当たりの従業者数2.52人(理容業は1.94人)令和3年経済センサス
美容業の事業所の法人比率19.8%同上
従業者5人未満の事業者86.7%令和5年度調査
70歳以上の経営者23.4%令和5年度調査
経営上の問題点の1位顧客数の減少(51.6%)公庫 令和5年7~9月期

小さな個人経営の店が大半で、経営者の高齢化も進んでいます。公庫の「理容業・美容業の創業ポイント」は、令和4年度に美容所の新規出店が14,934軒あった一方、統計から逆算すると閉鎖・廃業も9,268軒あったと書いています。開業そのものの手続きや資金は美容室の開業資金と始め方にまとめています。

美容室オーナーが年収を上げる4つの方法

オーナーの取り分を増やす方法は、売上の式と経費の内訳から、次の4つに整理できます。

  1. 客単価を上げる:メニューを絞って専門性を出す方法があります。カットをしない白髪染め専門店の例は美染で紹介しています。
  2. 回転数を上げる:公庫の記入例では、2回転から3回転に上がることで、売上が95万円から142万円になる想定です。予約の組み方と施術時間が鍵です。
  3. 店販を足す:記入例ではヘアケア商品の販売を月2万円見込んでいます。施術と違い、自分の手を使わずに積み上がる売上です。
  4. 人を雇って席を増やす:売上は増えますが、人件費も増えます。美容師が常時2人以上いる店では管理美容師を置く必要があります(公庫)。フランチャイズで店を増やす方法はフランチャイズとは?で解説しています。

よくある質問

美容室オーナーの年収はいくらですか?

公的な平均はありません。公庫の創業計画書の記入例では、椅子3台の店で開業当初の月の利益が38万円、軌道に乗った後が53万円です。ここから税金や社会保険料を払います。

美容師の給料は統計でどれくらいですか?

賃金構造基本統計調査で洗濯・理容・美容・浴場業の所定内給与額は令和6年に月266.6千円、年間賞与その他特別給与額は297.4千円です。理容・美容以外の業種も含みます。

一人美容室は儲かりますか?

売上の上限は、客単価×椅子数×回転数×営業日数で決まります。人件費がかからない分、利益は残りやすい一方、自分が休めば売上が止まります。計画は低めの売上で立てます。

美容室の経営者は何人くらいの店が多いですか?

美容業の1店舗当たりの従業者数は2.52人(令和3年経済センサス)です。令和5年度の調査では、従業者5人未満の事業者が86.7%を占めています。

出典

  1. 日本政策金融公庫「新たに美容業を始めるみなさまへ 創業の手引+(プラス)」(令和6年6月・2026年10月27日閲覧)
  2. 日本政策金融公庫「創業計画書(記入例)(美容業)」(2026年10月27日閲覧)
  3. 日本政策金融公庫「理容業・美容業の創業ポイント」(2024年7月・2026年10月27日閲覧)
  4. 厚生労働省「美容業の振興指針」(令和7年3月 厚生労働大臣決定)(令和7年4月1日適用・2026年10月27日閲覧)
  5. 厚生労働省「理容師制度及び美容師制度を巡る現状と動向について」(2026年10月27日閲覧)
  6. 出入国在留管理庁「産業分類別平均賃金の経年変化」(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)(2026年10月27日閲覧)
  7. tomのnote「これが現実。一人美容室のリアルな売上」(2025年10月7日公開)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月27日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。

あわせて読みたい