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2026/10/28

バー経営の年収|小さなバーの売上と利益、儲かる店と儲からない店の差を譲渡案件と公庫の指標で

小さなバーの経営者の年収は、店の利益で決まります。8〜10席のショットバーで月の売上70万円・実態営業利益30万円という譲渡案件がある一方、公庫の経営指標ではバーの売上高営業利益率の平均は-1.3%でした。公開された収支と統計から整理します。

バー経営の年収を考える数字確かさ A・B
B8〜10席のショットバーの月の売上
70万円兵庫県・オーナー1名で営業(BATONZ 掲載案件)
A同じショットバーの実態営業利益
30万円月次。オーナー人件費を考慮した額(掲載ページの記載)
B東京・多摩の老舗バーの年間営業利益
約280万円年商約3,500万円・家賃18万円/月(BATONZ 掲載案件)
Aバーの売上高営業利益率(平均値)
-1.3%公庫「小企業の経営指標調査」バー・キャバレー・ナイトクラブ。中央値は0.5%
B福岡市中心部のバーの実態利益
月80万過去1年平均。営業売上は月250万円〜350万円(BATONZ 掲載案件)
A宿泊業・飲食サービス業の賃金
277.2千円月額・男女計(令和7年賃金構造基本統計調査)

小さなバーの経営者の年収は、店の売上から仕入れ・家賃・人件費を引いた利益で決まります。事業承継の仲介サイトBATONZに載った譲渡案件では、8〜10席のショットバーをオーナー1人で営み、月の売上70万円・実態営業利益30万円という例があります(2026年10月28日閲覧)。

一方、日本政策金融公庫(以下、公庫)の「小企業の経営指標調査」では、バー・キャバレー・ナイトクラブの売上高営業利益率は平均-1.3%でした。お酒の粗利は高いのに、利益が残らない店も多いということです。このページでは、売り手が公開した譲渡案件の収支と、公庫・厚生労働省の統計から、バー経営の年収の考え方を整理します。開業の許可や届出はバー経営と開業資金にまとめています。

バー経営の年収とは:店の利益からオーナーの取り分が決まる

バー経営の年収とは、店の利益のうち、オーナーが自分の収入として受け取れる額のことです。給料のように決まった額ではなく、毎月の売上と経費で上下します。

個人事業でバーを営む場合は、売上から経費を引いた利益が、ほぼそのままオーナーの所得になります。会社で営む場合は、オーナーが受け取る役員報酬は経費に入り、その残りが店の営業利益になります。

譲渡案件の数字を見るときは、この違いに気をつけます。東京23区の居酒屋の譲渡案件(No.94171)は、月の売上550万円に対して、役員報酬65万円、人件費115万円、家賃74万円、広告費40万円を払ったうえで、営業利益は「~20万円」と書いています。この店のオーナーの取り分は、営業利益だけでなく役員報酬の65万円も含めて考える必要があります。

小さなバーの売上と利益:譲渡案件6件の数字

BATONZに掲載されたバーの譲渡案件のうち、売上と利益を公開しているものを並べました。どれも売り手が掲載した数字で、仲介サイトや当編集部が確かめたものではありません。

店場所・規模売上利益譲渡希望額
ショットバー兵庫県・8〜10席・オーナー1名月70万円実態営業利益 月30万円20万円
業歴約11年のバー東京都内・駅近く年約1,000万円営業利益 年約120万円500万円
高級感のあるバー福岡市中心部・個室あり・アルバイト1名月250万〜350万円実態利益 月80万1,000万円
創業10年超の老舗バー東京都多摩・23坪・家賃18万円年約3,500万円年間営業利益 約280万円3,000万円
カフェ&バー大阪・35席前後・30坪月300万営業利益 月100〜135万3,500万円
バー・ラウンジ東京都内・業歴2年弱総売上1800万営業利益 -700万900万円

いちばん小さい兵庫県のショットバーは、カウンター中心の店で、1人営業にも適したコンパクトな規模だと書いています。売上から実態営業利益を引くと、仕入れや家賃などの経費は月に、70万円−30万円=40万円 です(編集部の計算)。

東京都多摩の老舗バーは年商が大きい一方、営業利益は年約280万円で、売上に対する割合は、280万円÷3,500万円=約8%(編集部の計算)でした。ダーツやカラオケを置き、早朝まで営業し、業務委託の店長とアルバイトが現場を回す体制です。

公庫の経営指標で見るバーの収支

公庫の「小企業の経営指標調査」は、公庫が融資している小企業の決算をもとに、業種ごとの平均や中央値を出した資料です。バー・キャバレー・ナイトクラブの調査対象数は90で、そのうち黒字かつ自己資本プラスの企業は31でした。

指標平均値中央値黒字かつ自己資本プラス企業の平均
売上高総利益率(粗利率)82.9%87.4%80.2%
人件費対売上高比率36.2%37.1%34.3%
諸経費対売上高比率37.5%37.2%36.7%
売上高営業利益率-1.3%0.5%3.7%
損益分岐点比率103.1%100.0%99.6%
従業者1人当たり売上高9,613千円6,876千円10,776千円
従業者1人当たり人件費3,159千円2,563千円3,215千円

お酒は仕入れ値に対して売値が高いので、粗利率は8割を超えます。ところが、人件費と諸経費(家賃・光熱費など)がそれぞれ売上の3割台を占め、営業利益はほとんど残りません。損益分岐点比率(いまの売上のうち、赤字にならないために最低限必要な割合)の平均は103.1%で、平均的な店はちょうど赤字と黒字の境目にいることになります。

年収を左右する3つのこと:家賃・人・客単価

譲渡案件と公庫の指標を合わせると、バー経営の年収は次の3つで大きく変わります。

  1. 家賃を低くする:東京都多摩の老舗バーは、家賃18万円で23坪の店を借り、「低固定費構造」を強みにしています。兵庫県のショットバーも、家賃が比較的低水準であることを利益の理由に挙げています。
  2. 人を雇うか、自分が立つかを決める:1人で営むなら人件費はかからず、利益がそのまま自分の収入になります。逆に、大阪のカフェ&バーは店長(業務委託)1名とアルバイト10名で回し、売主が現場に立たない形です。
  3. 客単価と席数で売上の上限が決まる:大阪のカフェ&バーの平均客単価は、カフェタイム2500円~3500円、バータイム3500円~4500円でした。席数が8〜10席の店と35席前後の店では、同じ客単価でも売上の上限がまったく違います。

利益が赤字の例も公開されています。東京都内のバー・ラウンジは、希少な酒類の在庫やVIPルームを持ちながら、総売上1800万に対して営業利益は-700万でした。主な経費として、家賃・酒類仕入れ・人件費・機器などのリース料を挙げています。

雇われのバーテンダー・店長の給料

バーで雇われて働く人の給料は、バーに限った公的な統計がありません。近い数字として、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、宿泊業・飲食サービス業の賃金は月277.2千円(男女計)で、産業の中でいちばん低い水準でした。

公庫の経営指標では、バーの従業者1人当たり人件費は年3,159千円(平均値)、中央値は2,563千円です。これはアルバイトを含む従業者全体の平均なので、正社員の店長の給料とは違う点に注意してください。

譲渡案件では、業務委託の店長に現場を任せる形が目立ちます。東京都多摩の老舗バーはオーナーの現場への関与を週1〜2回程度に抑え、大阪のカフェ&バーも店長を業務委託にしています。同じ業種の数字は居酒屋経営の年収でも比べられます。

始める前に確かめること

  1. 自分が店に立つかを決める:1人で営むなら、8〜10席ほどのカウンターの店が回しやすい大きさです。人を雇うなら、人件費を売上の何割に収めるかを先に決めます。
  2. 家賃を売上から逆算する:公庫の指標では、人件費と諸経費だけで売上の7割を超えます。物件を決める前に、見込みの売上で家賃を払えるか計算します。
  3. 新しく作るか、引き継ぐかを比べる:兵庫県のショットバーのように、居抜きで設備がそろった店を譲渡希望額20万円で出している例もあります。ただし利益は売り手の記載なので、資料で確かめます。
  4. 許可と届出を確認する:深夜0時以降にお酒を出すなら、警察への届出が要ります。接待をする店は風俗営業の許可になります。
  5. 撤退の基準を決めておく:何か月で、月の売上がいくらに届かなければやめるかを、使うお金と一緒に決めます。開業資金の目安は開業資金はいくら必要?で確かめられます。

よくある質問

小さなバーの経営者の年収はいくらですか?

店の利益で決まり、相場はありません。譲渡案件では、8〜10席のショットバーを1人で営み、月の売上70万円・実態営業利益30万円という例があります。

バーは儲かりますか?

公庫の経営指標では、バーの売上高総利益率は平均82.9%と高い一方、売上高営業利益率の平均は-1.3%でした。家賃と人件費を抑えられるかで差が出ます。

雇われのバーテンダーや店長の給料はどのくらいですか?

バーだけの公的な統計はありません。宿泊業・飲食サービス業の賃金は月277.2千円(令和7年)で、産業の中でいちばん低い水準でした。

バーを1人で経営できますか?

できます。兵庫県のショットバーの譲渡案件は、席数8〜10席ほどでオーナー1名の体制で営業してきたと書いています。席が少ないほど1人で回しやすくなります。

出典

  1. BATONZ「【投資回収1年未満・営利40%超】定番メニュー/口コミで顧客が集まる兵庫のバー」(2026年10月28日閲覧)
  2. BATONZ「【東京多摩】創業10年超・優良バー譲渡|低固定費×優秀なスタッフ」(No.94417)(2026年10月23日更新・2026年10月28日閲覧)
  3. BATONZ「【投資額4000万円越え】【好立地】高級感と雰囲気あふれるバーの運営の事業譲渡」(No.68624)(2026年7月10日更新・2026年10月28日閲覧)
  4. BATONZ「【月間営利100~130万・スタッフ10名】大阪市内駅前好立地バーの会社譲渡」(No.53754)(2024年9月6日更新・2026年10月28日閲覧)
  5. BATONZ「【希少酒類多数】東京都内で好立地なバーの事業譲渡」(No.82341)(2026年10月28日閲覧)
  6. BATONZ「11年の歴史あるバー、売上1000万円の事業譲渡」(No.73869)(2026年10月28日閲覧)
  7. BATONZ「都内好立地の居酒屋|従業員引継可能で即営業開始可能な店舗」(No.94171)(2026年10月28日閲覧)
  8. 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」業種別経営指標(飲食店,宿泊業)(2020年8月掲載・2026年10月28日閲覧)
  9. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」(5) 産業別にみた賃金(2026年3月24日公表・2026年10月28日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月28日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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