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2026/10/27

副業から起業する手順|会社員のまま開業届を出すときに確かめる就業規則・所得区分・住民税

会社員のまま副業で起業する人は、就業規則の確認、開業届(確定申告期限まで)、所得区分、確定申告(副業の所得が20万円超)、住民税の納め方の順に確かめます。公庫の2025年度調査では、パートタイム起業家の53.2%が費用をかけずに起業していました。

副業から起業するときの数字(公的機関の資料)確かさ A
A確定申告が要る副業の所得
20万円を超える人給与を1か所から受け、全部が源泉徴収の対象の会社員の場合(国税庁 No.1900)
A開業届の提出期限
確定申告期限まで事業を始めた年分の確定申告期限(国税庁 A1-5)
A帳簿書類の保存がない副業
概ね業務に係る雑所得収入金額が300万円を超え事業所得と認められる事実がある場合を除く(国税庁の通達の解説)
A費用をかけずに起業した割合
53.2%パートタイム起業家(事業に週35時間未満)。公庫2025年度調査
A月商50万円未満の割合
91.5%パートタイム起業家。公庫2025年度調査
A採算が黒字基調の割合
74.8%パートタイム起業家。公庫2025年度調査

会社員のまま副業で起業するときは、勤め先の就業規則、開業届、所得の区分、確定申告、住民税の納め方の順に確かめます。開業届は事業を始めた年分の確定申告期限までに出し、給与を1か所から受ける会社員なら、副業の所得が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁、2026年10月27日閲覧)。

副業で始める起業は珍しくありません。日本政策金融公庫の2025年度の調査では、事業に使う時間が週35時間未満の「パートタイム起業家」の53.2%が、費用をかけずに起業していました。このページでは、会社員の人が副業から起業するときに、開業届を出す前後で確かめることを公的機関の資料で整理します。

副業から起業するとは:会社に勤めながら自分の事業を始めること

副業から起業するとは、会社員として給与を受けながら、自分の事業を小さく始めることです。最初から会社を辞めずに、売上や手応えを見ながら事業を育てられます。

日本政策金融公庫 総合研究所の「2025年度起業と起業意識に関する調査」(2025年11月、3万8,017人が回答)は、事業に充てる時間が週35時間未満の人を「パートタイム起業家」、35時間以上の人を「起業家」と分けて集計しています。

項目パートタイム起業家起業家
費用はかからなかった53.2%32.2%
起業費用50万円未満36.8%29.4%
現在の月商50万円未満91.5%68.3%
採算が黒字基調74.8%72.6%

パートタイム起業家は、ほとんどが月商50万円未満と小さい一方で、7割以上が黒字基調と答えています。まだ起業していない「起業関心層」がその理由に挙げた答えは、「自己資金が不足している」(48.4%)、「失敗したときのリスクが大きい」(29.1%)の順でした。費用もリスクも小さく始められる副業起業は、この2つの壁を下げる方法の1つです。

会社員が副業から起業する手順

会社員が副業から起業する流れは、次の7つです。

  1. 勤め先の就業規則を確かめる:副業が禁止か、届出制か、許可制かを確認します。
  2. 会社に届け出る(必要な場合):届出制や許可制なら、規則に沿って手続きします。
  3. 事業の内容と始める日を決める:何を、誰に、いくらで売るかを決めます。
  4. 開業届を出す:事業を始めた年分の確定申告期限までに、納税地の税務署へ出します。
  5. 青色申告の承認申請を検討する:帳簿をつけて節税の特典を受けるなら、期限内に申請します。
  6. 帳簿をつけ、書類を保存する:所得の区分(事業所得か雑所得か)にも関わります。
  7. 確定申告と住民税の納め方を決める:副業の所得が20万円を超えたら確定申告をします。

開業届の書き方や一緒に出す書類の期限は開業届の出し方と期限に、無料で開業届を作れるサービスの違いは開業届を無料で作れるサービスの比較にまとめています。

まず就業規則を確かめる:副業は届出制が国のモデル

副業から起業するとき、最初に確かめるのは勤め先の就業規則です。会社員としての約束を守ったうえで始めないと、本業に影響します。

厚生労働省は、平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をつくり、令和2年9月と令和4年7月に改定しました。同じ平成30年1月には、企業が就業規則をつくるときの見本である「モデル就業規則」から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削り、副業・兼業の規定を新しく設けています。

厚生労働省のQ&Aは、裁判例では労働時間以外の時間の使い方は基本的に労働者の自由とされていると説明しています。そのうえで、就業規則で届出によって副業できると定め、次の4つに当たる場合は禁止や制限ができるようにしておくことが考えられる、としています。

副業を禁止・制限できる場合会社員が気をつけること
① 労務提供上の支障がある場合長時間の副業で本業に支障を出さない
② 企業の秘密が漏洩する場合本業で知った情報を副業に使わない
③ 競業により企業の利益を害する場合勤め先と同じ事業・同じ顧客を狙わない
④ 企業の名誉や信用を損なう行為などがある場合勤め先の名前を出して営業しない

開業届を出すか:事業所得と雑所得の分かれ目

開業届は、事業所得などを生む事業を始めた人が出す届出です。会社員であっても、副業が「事業」に当たるなら出します。

副業の所得が事業所得になるか雑所得(業務に係る雑所得)になるかは、税金の扱いが変わる大事な分かれ目です。国税庁のタックスアンサー No.1500 は、雑所得の例に「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」を挙げ、業務に係るものを「副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの」としています。

国税庁が2022年10月に公表した通達の解説は、判定の目安を次のように示しています。

収入金額記帳・帳簿書類の保存あり記帳・帳簿書類の保存なし
300万円超概ね事業所得概ね事業所得(事業所得と認められる事実がある場合)
300万円以下概ね事業所得概ね業務に係る雑所得

ただし、帳簿を保存していても、収入金額が例年(概ね3年程度)300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満の場合などは「僅少と認められる場合」として、事業かどうかを個別に判断するとしています。

違いが大きいのは赤字のときです。No.1500 は、雑所得の損失は他の所得と損益通算できないとしています。開業届と青色申告は、事業所得などを生む事業を前提にした手続きです。青色申告の控除の条件は青色申告とは?で確かめられます。

確定申告はいくらから必要か

給与を1か所から受けていて、その給与が全部源泉徴収の対象になっている会社員は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。

ここでの「所得」は、売上(収入)から必要経費を引いた金額です。給与を2か所以上から受けている人は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与以外の所得の合計が20万円を超えると申告が必要になります。

また、令和4年分以後は、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は、請求書や領収書などの現金預金取引等関係書類を保存する必要があります。1,000万円を超える人は、確定申告書に収支内訳書などの添付が必要です。

住民税の納め方を選ぶ

副業の所得にかかる住民税は、確定申告のときに納め方を選べます。文京区の案内では、確定申告期限内に確定申告書を出し、第二表の「住民税・事業税に関する事項」にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」を選びます。

文京区は、変わるのは納付の方法で、住民税の額は変わらないと注意しています。また、給与所得以外の所得がマイナスの場合などは、「自分で納付」を選んでも特別徴収(給与からの天引き)になる場合があります。くわしい扱いは、住んでいる市区町村の案内を確かめてください。

会社を辞めるかどうかの判断

副業から始めた事業を本業にするかどうかは、売上と使える時間で判断します。公庫の調査で、パートタイム起業家の9割以上が月商50万円未満だったように、副業の段階では売上が小さいのがふつうです。

実例では、会社員の人が副業で女性専用サロンを引き継いだ例を51歳の会社員が副業で女性専用サロンを200万円で引き継ぐで紹介しています。

よくある質問

会社員が副業で開業届を出してもいいですか?

出せます。開業届に会社員かどうかの条件はありません。ただし勤め先の就業規則で副業が届出制や許可制になっていれば、その手続きが先に必要です。

副業の収入がいくらから確定申告が必要ですか?

給与を1か所から受け、全部が源泉徴収される会社員なら、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。所得は収入から経費を引いた金額です。

副業は事業所得と雑所得のどちらになりますか?

国税庁の解説では、記帳と帳簿書類の保存があれば概ね事業所得、なければ概ね業務に係る雑所得です。収入が少なく本業に比べて僅少なら、帳簿があっても個別に判断されます。

副業分の住民税は自分で納められますか?

給与以外の所得なら、確定申告書第二表で住民税の徴収方法を「自分で納付」にできます。文京区は、所得がマイナスの場合などは特別徴収になることがあると案内しています。

出典

  1. 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度起業と起業意識に関する調査」アンケート結果の概要(2026年2月10日公表・2026年10月27日閲覧)
  2. 国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
  3. 国税庁 タックスアンサー No.1500 雑所得(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月27日閲覧)
  4. 国税庁「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」(2022年10月7日公表・2026年10月27日閲覧)
  5. 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(2026年10月27日閲覧)
  6. 厚生労働省「副業・兼業」(2026年10月27日閲覧)
  7. 厚生労働省 スタートアップ労働条件「副業や兼業を原則禁止・許可制にしていることの問題」(2026年10月27日閲覧)
  8. 文京区「副業がある場合の徴収方法について」(2026年2月26日更新・2026年10月27日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月27日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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