
2026/10/28
AI起業の始め方|小さな事業でのAI活用と注意点(著作権・個人情報・デジタル化・AI導入補助金)
生成AIを使ったことがある人は日本で58.8%、業務で使う企業は86.4%です(総務省 令和8年版情報通信白書)。AIを売る起業とAIを使う起業の違い、小さな事業での使いどころ、著作権と個人情報の注意点、補助額5万円〜150万円の補助金を公的資料で整理しました。
- A生成AIを使ったことがある人(日本)
- 58.8%2025年度個人向け調査。前年度は26.7%(総務省)
- A業務で生成AIを使っている企業(日本)
- 86.4%活用方針で「わからない」と答えた企業を除く(総務省)
- A生成AIの活用方針がある中小企業
- 58.1%積極的に活用+領域を限定して利用の合計。大企業は74.0%
- Aデジタル化・AI導入補助金2026 通常枠の補助額
- 5万円~150万円未満ITツールのプロセス数が1~3つまで。補助率1/2以内(中小企業庁)
- A公庫の創業融資の実績(令和7年度)
- 29,320先創業前と創業後1年以内。金額は1,681億円
- A文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」
- 令和6年7月31日立場ごとに著作権のリスクを下げる取組みを紹介
日本で生成AIを使ったことがある人は58.8%で、前年度の26.7%から大きく増えました(総務省「令和8年版 情報通信白書」、2026年10月28日閲覧)。業務で生成AIを使っている企業の割合は86.4%です。小さな事業を始める人にとって、AIは「特別な技術」から「ふつうの道具」に変わりつつあります。
このページでは、AIを使って起業するときの2つの形、小さな事業での使いどころ、著作権と個人情報の注意点、使える補助金を、公的機関の資料だけで整理します。
AI起業とは:AIを「売る」起業と「使う」起業
AI起業とは、AIを使った商品やサービスで事業を始めること、またはAIを道具にして事業を回すことです。同じ「AI起業」でも、次の2つは中身がかなり違います。
| 形 | 中身 | 例 | 必要なもの |
|---|---|---|---|
| AIを売る起業 | AIを組み込んだソフトやサービスを開発して売る | 業種向けの文章作成ツール、問い合わせ対応の仕組み | 開発の技術、データ、開発の資金 |
| AIを使う起業 | 既存の生成AIサービスを道具にして、本業の手間を減らす | 一人で営む教室・店・制作業の事務作業 | 本業の技術、AIを使いこなす習慣 |
開発をともなう「AIを売る起業」は、IT起業の一つです。公庫の令和7年度の創業融資実績29,320先のうち、「情報通信業」は866先(3.0%)でした。いちばん多いのは「サービス業(理美容業等)」の8,629先です。
多くの小さな事業にとって現実的なのは、「AIを使う起業」です。カフェや教室、制作業などの本業はそのままに、文章を書く・調べる・まとめるといった作業をAIに手伝ってもらいます。何で起業するかがまだ決まっていない人は、起業アイデアの見つけ方から考えるのが近道です。
数字で見る生成AIの広がり
生成AIを使う人は、この1年で大きく増えました。総務省の令和8年版情報通信白書の数字は次のとおりです。
| 項目 | 日本 | 補足 |
|---|---|---|
| 生成AIサービスを使ったことがある人 | 58.8% | 2025年度個人向け調査。前年度は26.7% |
| 同(20歳以上) | 52.2% | 2025年度から15歳~19歳を調査に追加 |
| テキスト生成AIサービスを使ったことがある人 | 55.0% | 前年度は24.0% |
| 生成AIの活用方針がある企業 | 68.9% | 前年度は49.7% |
| 同(大企業/中小企業) | 74.0%/58.1% | 中小企業で上昇が大きい |
| 業務で生成AIを使っている企業 | 86.4% | 活用方針で「わからない」と答えた企業を除く |
同じ調査で、生成AIサービスを使ったことがある人は米国とドイツで75.6%、中国で93.6%でした。日本は伸びたものの、他の3か国よりは低い結果です。
小さな事業でのAI活用:使いどころ
小さな事業でAIが役に立つのは、文章を書く・まとめる・答える作業です。総務省の白書では、日本の企業で活用している割合が高い業務は「議事録・メール作成補助」で約7割、「営業・販売」で約6割、「社内ヘルプデスク」で約5割でした。効果を実感している割合も「議事録・メール作成補助」が約7割で、ほかより高くなっています。
一人や少人数の事業に置きかえると、使いどころは次のとおりです。
| 業務 | AIに頼むこと | 人が必ず確かめること |
|---|---|---|
| メール・お知らせ | 下書き、言い回しの調整 | 日付・金額・名前の誤り |
| 打ち合わせの記録 | 要点と決まったことのまとめ | 約束した内容の抜けもれ |
| 集客の文章 | SNS投稿やチラシの案出し | 誇大な表現になっていないか |
| よくある質問への答え | 回答文のひな形づくり | 料金・規約と合っているか |
| 調べもの | 論点の整理、聞くべき項目の洗い出し | 公的機関の原文での裏取り |
予約や会計のように決まった作業は、AIより専用のツールのほうが確実な場合もあります。道具の選び方は予約管理ツールの比べ方にまとめています。
AIで起業するときの注意点:著作権と個人情報
AIを事業で使うときに特に気をつけたいのは、著作権と個人情報の2つです。
著作権について、文化庁は令和6年3月に文化審議会の小委員会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)を公開しています。さらに、その解説資料として「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)を作り、AI開発者やAI利用者など立場ごとに、リスクを下げるための取組みを紹介しています。AIで作った文章や画像を商品や広告に使う前に、利用者向けの項目を読んでおくと安心です。
個人情報について、個人情報保護委員会は令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を出しました。事業者向けの注意点は次のとおりです。
- 個人情報を含む指示(プロンプト)を入力するときは、特定した利用目的を達成するために必要な範囲内かを十分に確認する。
- 本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われると、個人情報保護法に違反する可能性がある。入力する場合は、提供事業者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確認する。
- 提供事業者の利用規約やプライバシーポリシーを確認し、入力する情報の中身をふまえて使うかを判断する。
AIの導入に使える補助金:デジタル化・AI導入補助金2026
AIを含むITツールの導入費用には、中小企業庁の「デジタル化・AI導入補助金2026」が使えます。令和7年度補正予算事業から、旧「IT導入補助金」が名前を変えたものです。対象には個人事業主も含まれます。
中小企業庁の概要(令和8年4月)によると、通常枠の内容は次のとおりです。
| 項目 | 通常枠の内容 |
|---|---|
| 対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費 |
| 補助額(プロセス数1~3つ) | 5万円~150万円未満 |
| 補助額(プロセス数4つ以上) | 150万円~450万円以下 |
| 補助率 | 1/2以内(最低賃金近傍の従業員が多い事業者は2/3以内) |
| 申請の仕方 | 事務局に登録された「IT導入支援事業者」のサポートを受けて申請 |
プロセス数が4つ以上の場合は、1人当たり給与支給総額を年平均成長率3%以上増やすなどの賃金引上げ計画が必要です。補助金は、申請・審査・採択・交付決定を経てから、ITツールの契約・購入を行う流れです。ツールを契約する前に、IT導入支援事業者に相談しておきましょう。
補助金のほかの選択肢は創業支援の窓口と制度にもまとめています。
AI起業の始め方
AIを使って小さな事業を始める手順は、次のとおりです。
- 本業を決める:AIは道具です。誰に何を売るかを先に決めます。
- AIに任せる作業を書き出す:メール、記録、集客の文章、よくある質問など、毎週くり返す作業を並べます。
- 入力しない情報を決める:お客の個人情報、取引先の秘密など、AIに入れない情報の決まりを作ります。
- 著作権のチェックを習慣にする:AIで作った文章や画像を公開する前に、既存の作品に似ていないかを確かめます。
- 費用と補助金を確かめる:有料のツールを入れるなら、デジタル化・AI導入補助金の対象になるかを、契約の前に確かめます。
よくある質問
AI起業とは何ですか?
AIを使った商品やサービスを売る起業と、AIを道具にして小さな事業を回す起業の2つがあります。後者は文章作成や問い合わせ対応などの手間を減らす使い方です。
AIで作った文章や画像は商用で使えますか?
生成物が既存の著作物に似ていると著作権侵害になるおそれがあります。文化庁は令和6年7月31日にAIと著作権のチェックリスト&ガイダンスを公表しています。
お客の情報を生成AIに入力してもいいですか?
個人情報保護委員会は、利用目的の範囲内かを確かめ、本人の同意なく個人データを入れる場合は提供事業者が機械学習に使わないことを確認するよう求めています。
AIツールの導入に使える補助金はありますか?
中小企業庁のデジタル化・AI導入補助金2026があります。通常枠はプロセス数1~3つで補助額5万円~150万円未満、補助率1/2以内です(令和8年4月の概要)。
出典
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部 個人におけるAI利用の現状(日本)(2026年10月28日閲覧)
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの活用方針等(2026年10月28日閲覧)
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの業務利用状況(2026年10月28日閲覧)
- 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の概要」(令和8年4月・2026年10月28日閲覧)
- 文化庁「AIと著作権について」(2026年10月28日閲覧)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(別添1)(令和5年6月2日公表・2026年10月28日閲覧)
- 日本政策金融公庫 ニュースリリース「令和7年度 創業融資実績」(2026年5月13日公表・2026年10月28日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月28日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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