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2026/10/27

事業承継とは?事業継承との違いと、親族内・従業員・第三者承継の3つの形

事業承継とは、会社や事業の経営権・資産・ノウハウを次の後継者に引き継ぐことです。形は親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の3つ。2025年に社長が交代した企業では「内部昇格」が36.1%で「同族承継」の32.3%を上回りました(帝国データバンク速報値)。

事業承継の数字(2025年・帝国データバンク調べほか)確かさ A
A後継者不在率(全国・全業種)
50.1%約27万社が対象。7年連続で前年を下回った
A小規模企業の後継者不在率
57.3%大企業は24.9%。小さい会社ほど後継者が決まっていない
A新社長の就任経緯「内部昇格」
36.1%2025年の速報値。血縁のない役員・社員の登用
A新社長の就任経緯「同族承継」
32.3%2025年の速報値。2024年実績は35.7%で最多だった
A新社長の就任経緯「M&Aほか」
20.6%2025年の速報値。買収や出向など
A特例承継計画の提出期限
2027年9月30日法人版事業承継税制(特例措置)。贈与・相続は令和9年12月31日までのものに限る

事業承継とは、経営者が育ててきた会社や事業を、経営権・資産・ノウハウごと次の後継者に引き継ぐことです(中小機構、2026年10月27日閲覧)。引き継ぐ先によって、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の3つの形があります。

いま、どの形がいちばん多いかというと、身内ではありません。帝国データバンクの調査では、2025年に社長が交代した企業のうち、血縁のない役員・社員が昇格した「内部昇格」が36.1%で、親族が継ぐ「同族承継」(32.3%)を速報値で上回りました。このページでは、言葉の意味から3つの形の違い、数字、進め方までを順に整理します。

事業承継とは:会社や事業を次の経営者に引き継ぐこと

事業承継とは、現在の経営者から後継者へ、事業の経営と、経営に必要なものをまとめて引き継ぐことです。中小機構は、単なる社長交代ではなく、企業文化や技術、顧客との関係性といった目に見えないものも含めて引き継ぐことがポイントだとしています。

中小企業庁は、引き継ぐものを次の3つに分けています。

引き継ぐもの中身の例
人(経営)の承継経営権
資産の承継株式、事業用資産(設備・不動産など)、資金(運転資金・借入など)
知的資産の承継経営理念、従業員の技術や技能、ノウハウ、経営者の信用、取引先との人脈、顧客情報、特許などの知的財産権、許認可など

株式や設備は目に見えるので話が進みやすい一方、取引先との人脈や経営者の信用は、書類だけでは渡せません。後継者が先代と一緒に働く期間が要るのはこのためです。

「事業承継」と「事業継承」の違い

国の制度や法律で使われるのは「事業承継」です。法律の名前も「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)で、中小企業庁や中小機構の案内もすべて「承継」で書かれています。

「承継」は、地位や権利・義務、財産などを受け継ぐときに使う言葉です。「継承」も受け継ぐという意味では同じですが、伝統や技術、文化を受け継ぐ場面で使われることの多い言葉です。会社の経営権や株式、借入のような権利・義務を引き継ぐ話なので、手続の上では「承継」と書きます。

事業承継の3つの形:親族内承継・従業員承継・第三者承継

事業承継の形は、引き継ぐ先が親族か、社内の人か、社外の人かで3つに分かれます。中小企業庁の分類をもとに整理しました。

形引き継ぐ先向いている場面気をつけること
親族内承継子をはじめとした親族準備の期間を長く取りやすい。相続や贈与で株式・財産を移せる相続税・贈与税の負担。ほかの相続人との公平
従業員承継親族以外の役員・従業員経営の力がある人を見極めて選べる。経営方針が変わりにくい株式を買い取る資金。借入の個人保証の引き継ぎ
第三者承継(M&A)社外の会社や創業を希望する個人親族や社内に適任者がいなくても、広く候補を探せる条件の取り決めが多い。相手探しに時間がかかる

中小企業庁によると、従業員承継には、株式を有償で買い取る場合(MBO)と、相続や贈与で無償で渡す場合があります。第三者承継は、株式を譲る「株式譲渡」か、事業だけを譲る「事業譲渡」で行います。

中小機構は、従来は9割以上の中小企業が親族に事業を引き継いでいたものの、現在ではその割合が4割以下に下がったと説明しています。「親が継ぐのが当たり前」ではなくなっているのです。

数字で見る事業承継:いま誰が継いでいるか

帝国データバンクが約27万社を分析した2025年の調査では、新しい社長が誰だったか(就任経緯)は次のとおりでした。

就任経緯2024年(実績)2025年(速報値)
内部昇格(血縁のない役員・社員)35.0%36.1%
同族承継(親族)35.7%32.3%
M&Aほか(買収・出向など)19.2%20.6%
外部招聘(社外の人を代表に迎える)―7.6%

同じ調査で、後継者候補が決まっている企業の候補者の属性は、「非同族」が41.0%で4年連続のトップでした。親族では「子ども」が29.7%、「配偶者」が4.7%です。

後継者が決まっていない会社はどのくらいあるか

後継者が「いない」か「未定」の企業は、2025年の調査で全体の50.1%でした(帝国データバンク)。7年連続で前年より下がっていますが、まだ半分の会社で後継者が決まっていません。

小さい会社ほど、この割合は高くなります。

企業の規模後継者不在率(2025年)
大企業24.9%
中小企業51.2%
うち小規模企業57.3%
全国・全業種50.1%

社長の年代別では、80代以上の不在率は22.2%で全年代で最も低いものの、帝国データバンクは「今なお2割の企業が後継者を策定していなかった」としています。中小機構は、後継者への移行に「3~5年程度」「6~9年程度」「10年以上」かかると答えた企業が合わせて5割を超えるという調査を紹介し、早めの準備を勧めています。

事業承継の進め方と相談先

事業承継の進め方は、形によって細かな手順が違いますが、大きな流れは共通しています。中小企業庁と中小機構の案内から、順番にまとめました。

  1. 現状を確かめる:会社の経営状況と、承継に向けた課題を洗い出します。地域の支援機関や金融機関による「事業承継診断」が使えます。
  2. 後継者と話す:中小機構は「事業承継の第一歩は後継者との対話」としています。親族や従業員、取引先にも、後継者と時期を説明します。
  3. 事業承継計画をつくる:いつ、誰に、何を、どう渡すかを決めます。事業承継・引継ぎ支援センターでは、税理士や中小企業診断士などと連携して、計画づくりを無料で支援しています。
  4. 株式・資産と経営者保証を移す:相続・贈与・買い取りで株式や事業用資産を移します。会社の借入に付いた経営者の個人保証は、解除できる可能性があります。
  5. 引き継いだ後に事業を育てる:設備投資や販路開拓に使える補助金や融資があります。

相談の窓口は、国が47都道府県に置く事業承継・引継ぎ支援センターです。親族内承継・従業員承継・第三者承継のどれも相談できます。第三者承継では、民間のM&A仲介業者を使うときのセカンドオピニオンとしても使えると案内されています(民間のM&A支援機関による支援は有償)。

事業承継税制:相続税・贈与税の負担を軽くする制度

親族内承継や従業員承継で株式を相続・贈与で渡すとき、相続税・贈与税の負担を軽くできるのが事業承継税制です。法人版の特例措置を使うには、先に「特例承継計画」を都道府県に出して確認を受けます。

大阪府の案内によると、特例承継計画の提出期限は令和8年4月1日の法改正で1年半延び、2027年9月30日(令和9年9月30日)までになりました。特例の対象になる贈与・相続は、令和9年12月31日までに発生したものに限られます。

引き継ぐ側から見た事業承継

事業承継は、売る側・譲る側だけの話ではありません。創業を考える人にとっては、事業を引き継いで始めるという選択肢になります。中小機構は、創業希望者が第三者承継するメリットとして、顧客や仕入先、店舗などの経営資源を引き継ぐため、創業時のリスクを低く抑えられることを挙げています。一方で、ゼロからの起業に比べて経営の自由度は低くなり、個人保証債務の引き継ぎが必要になる場合もあります。

後継者不在の会社と起業したい人を引き合わせる「後継者人材バンク」も、事業承継・引継ぎ支援センターが運営しています。小さな店や会社を買って始める具体的な方法と実例は、事業承継で小さな店や会社を引き継ぐ方法に、相談先・探し方・買う前に確かめることをまとめました。会社員が副業でサロンを200万円で引き継いだ例は埼玉のリラクゼーションサロンの事例で読めます。

個人事業を引き継ぐ場合は、会社と違って株式がありません。先代が廃業の届出をし、後継者が自分の名前で開業の届出を出します。届出の書き方は開業届の出し方と期限をご覧ください。

よくある質問

事業承継とは何ですか?

会社や事業の経営権・株式などの資産・ノウハウや取引先との関係を、次の経営者に引き継ぐことです。引き継ぐ先で、親族内・従業員・第三者(M&A)の3つに分かれます。

「事業承継」と「事業継承」はどちらが正しいですか?

国の制度や法律では「承継」を使います。法律名も「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」です。手続や支援策を調べるときは「事業承継」で探します。

第三者承継とは何ですか?

親族や社内に後継者がいないとき、社外の会社や創業を希望する個人に、株式譲渡や事業譲渡で事業を引き継ぐ方法です。M&A(社外への引継ぎ)とも呼ばれます。

事業承継はどこに相談すればいいですか?

国が47都道府県に置く「事業承継・引継ぎ支援センター」が公的な窓口です。親族内承継・従業員承継・第三者承継のどれも相談でき、相談は無料です。

出典

  1. 中小機構 事業承継・引継ぎポータル「事業承継について」(2026年10月27日閲覧)
  2. 中小機構 事業承継・引継ぎポータル「親族内承継支援について」(2026年10月27日閲覧)
  3. 中小機構 事業承継・引継ぎポータル「第三者承継支援について」(2026年10月27日閲覧)
  4. 中小企業庁「事業承継を知る」(2026年10月27日閲覧)
  5. 中小企業庁「事業承継を実施する」(2026年10月27日閲覧)
  6. 帝国データバンク プレスリリース「日本企業の『後継者不在率』過去最低の50.1%」(財経新聞 掲載)(2026年10月27日閲覧)
  7. e-Gov法令検索「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(2026年10月27日閲覧)
  8. 大阪府「特例承継計画について」(2026年10月27日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月27日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

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