画像はイメージです(AIで作成)

2026/10/28

整骨院・接骨院の開業|柔道整復師の施術所の届出・開業資金と始め方

整骨院(接骨院)を開業するには、柔道整復師が開設後10日以内に施術所開設届を保健所へ出し、6.6㎡以上の施術室と3.3㎡以上の待合室を備えます。健康保険を扱うなら実務経験3年以上と16時間の研修が要ります。費用の内訳も厚生労働省の調査で整理しました。

整骨院を開く前に知っておく数字確かさ A
A施術所開設届の期限
開設後10日以内施術所の所在地の保健所へ(柔道整復師法第19条)
A専用の施術室の広さ
6.6㎡以上待合室は3.3㎡以上。東京都・神奈川県の案内
A施術管理者の実務経験
3年以上令和6年度以降。うち保険医療機関で従事した期間は2年まで
A施術管理者研修の費用
25,000円連続した2日間で合計16時間(柔道整復研修試験財団)
A柔道整復の施術所数
50,924か所令和6年末。前回より8か所増(厚生労働省)
A開業費用の中央値(全業種)
600万円平均値は975万円。日本政策金融公庫 2025年度新規開業実態調査

整骨院(接骨院)を開業するには、柔道整復師が、施術所を開設してから10日以内に保健所へ「施術所開設届」を出します(柔道整復師法第19条)。施術所には6.6㎡以上の専用の施術室と3.3㎡以上の待合室が必要です(東京都・神奈川県の案内、2026年10月28日閲覧)。

健康保険を使った施術(療養費の受領委任)を扱うなら、もう1つ条件があります。施術所を管理する「施術管理者」になるには、令和6年度以降、資格を取ってからの実務経験3年以上と、合計16時間の研修が必要です。このページでは、法令と行政の案内、厚生労働省の調査から、整骨院を開くまでの手続とお金の流れを整理します。

整骨院・接骨院とは:柔道整復師が開く施術所

整骨院・接骨院とは、国家資格を持つ柔道整復師が、柔道整復の施術を行うために開く施術所のことです。柔道整復師法では、医師を除き、柔道整復師でなければ業として柔道整復を行ってはならないと決めています(第15条)。「整骨院」と「接骨院」は呼び名の違いで、法律上はどちらも「施術所」です。

厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例」によると、令和6年末の柔道整復の施術所は50,924か所で、前回より8か所の増加でした。就業している柔道整復師は78,666人で、前回より1,034人(1.3%)増えています。施術所の数が横ばいのなか、柔道整復師の数は増えています。

開業に関わる決まりを、法令と行政の案内からまとめると次のとおりです。

決まり中身根拠・窓口
施術者の資格柔道整復は柔道整復師が行う柔道整復師法第15条
開設の届出開設後10日以内に、開設の場所・業務に従事する柔道整復師の氏名などを届け出る第19条・保健所
休止・廃止休止・廃止した日から10日以内に届け出る第19条第2項・保健所
構造設備厚生労働省令の基準に合わせ、衛生上必要な措置をとる第20条
広告法律で認められた事項のほかは広告できない第24条
健康保険の受領委任施術管理者の要件を満たし、地方厚生局へ申し出る厚生労働省の通知

施術所開設届の流れと必要な書類

施術所の開設は、事前相談→施設の完成→開設→10日以内に開設届→実地調査の順に進みます。東京都保健医療局の「施術所の新規開設について」(令和6年4月1日作成)を例にすると、次のとおりです。

  1. 事前相談:平面図と、準備できている開設書類を持って保健所に相談します。施術所の名称も、あらかじめ相談するよう求められています。
  2. 施設を完成させる:構造設備の基準に合うように内装を仕上げます。
  3. 開設届を出す:開設後10日以内に、保健所の窓口へ出します。
  4. 実地調査を受ける:保健所の職員が施設に来て調査し、終わったあとに開設届の副本が渡されます。

東京都の案内で、開設届と一緒に出すものは次のとおりです。

書類注意点
施術所開設届(2部)正本・副本の両方に押印(法人は代表者印)
業務に従事する施術者の免許証の写し(2部)本証と照合するので本証も持参
平面図(2部)各室の名称と床面積、施術室の外気開放面積、消毒設備の位置を書く
案内図(2部)最寄駅・バス停などから施術所までの道順
定款の写し・登記事項証明書法人が開設する場合のみ。事業目的に施術所の運営が必要
本人確認書類運転免許証、パスポートなど

神奈川県(鎌倉保健福祉事務所)は、来所日時を電話で予約したうえで、10日以内に提出するよう案内しています。窓口と様式は地域で違うので、施術所を出す地域の保健所で確かめてください。

施術所の構造設備の基準

施術所の構造設備の基準は、専用の施術室6.6㎡以上、待合室3.3㎡以上、施術室の換気が柱です。東京都と神奈川県の案内から整理しました。

項目基準
施術室6.6㎡以上の専用の施術室。住居や他の店舗から構造上独立した場所に置く
待合室3.3㎡以上
換気施術室の面積の7分の1以上を外気に開放できること。代わりに換気装置でもよい
区画施術室・待合室は、上下左右を固定壁や扉で区切る
消毒施術に使う器具・手指の消毒設備。使い捨てでない器具を使うなら滅菌機器
衛生常に清潔を保ち、採光・照明・換気を十分にする

東京都の案内では、外気開放面積は「窓等の一度に開放できる部分」で計算します。柔道整復と、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうの施術所を並べて開く場合は、それぞれ専用の施術室が要ります。ただし、両方の免許を持つ施術者が1人で両方を開設する場合は、施術室を兼ねることができます。

健康保険を扱うには:施術管理者の実務経験3年と研修

健康保険を使った施術を扱うには、施術所ごとに施術管理者を決め、地方厚生局へ「受領委任の取扱い」を申し出ます。受領委任とは、患者の代わりに施術所が保険者へ療養費を請求し、受け取るしくみのことです。

北海道厚生局の案内によると、平成30年4月から、施術管理者の要件に「実務経験」と「研修の受講」が加わりました。実務経験の期間は段階的に延びています。

年度施術管理者に必要な実務経験
令和3年度まで1年以上
令和4〜5年度2年以上(うち保険医療機関で従事した期間は1年まで)
令和6年度以降3年以上(うち保険医療機関で従事した期間は2年まで)

研修は、厚生労働省に登録された研修機関が行います。公益財団法人 柔道整復研修試験財団の案内では、土日祝日を使った連続2日間で合計16時間、費用は25,000円です(2026年度)。各回の申込者が100名に満たない場合は開催を中止するとしています。

受領委任の申し出には、確約書、申し出の様式のほか、施術所開設届の写し、柔道整復師免許証の写し、実務経験期間証明書の写し、施術管理者研修修了証の写しなどを付けます。北海道厚生局は、申し出の受理日が受領委任の取扱いの開始日になると案内しています。

看板とウェブの広告の決まり

整骨院の広告は、柔道整復師法第24条で認められた事項だけが出せます。条文で挙げられているのは、柔道整復師である旨と氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在の場所、施術日・施術時間、その他厚生労働大臣が指定する事項です。

さらに、氏名や施術所の名称を広告する場合でも、柔道整復師の技能、施術方法、経歴に関する事項にわたってはいけません(第24条第2項)。違反すると罰則の対象になります。看板・チラシ・ホームページを作る前に、厚生労働省が出している広告のガイドラインと合わせて確認しましょう。

開業資金:費用の内訳から考える

整骨院だけの開業費用をまとめた公的な統計は見当たりません。日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」では、全業種の開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。整骨院の場合は、物件の取得費、内装(施術室と待合室の区画・換気)、施術ベッドや機器の見積もりを積み上げて計算します。

開業後にかかる費用の目安は、厚生労働省の「令和7年度柔道整復施術所経営実態調査」が参考になります。令和6年の1施術所あたりの費用(各項目に回答した施術所の平均)は次のとおりです。

費用の項目平均金額(令和6年)
費用全体8,279,724円
給与費6,506,284円
設備関係費2,034,395円
その他の施術所運営費用1,731,018円
施術材料費・消耗器具備品費・消耗品959,336円
減価償却費889,609円

同じ調査で、個人の施術所の平均従業員数は、常勤の柔道整復師が1.07人でした。院長1人で施術する施術所が多いということです。設置者は8割弱が個人、2割強が法人です。保険外の施術(自費施術)を行っている施術所は76.2%ありました。

収益と、院長の手元に残る金額の目安は、整骨院・接骨院の年収で同じ調査をもとに詳しくまとめています。

フランチャイズで開く場合

整骨院のフランチャイズに加盟しても、施術所開設届と施術管理者の要件は、開設者・施術者本人が満たす必要があります。届出や受領委任の申し出は、施術所ごと・施術管理者ごとの手続だからです(北海道厚生局は、受領委任の取扱いは施術管理者ごとの契約になると案内しています)。

加盟金・ロイヤリティ・研修の中身は本部ごとに違います。契約前に確かめる項目はフランチャイズに加盟する前のチェックリストにまとめています。

整骨院を開業する手順

  1. 実務経験と研修を確かめる:保険を扱うなら、実務経験3年以上(令和6年度以降)と施術管理者研修の修了が前提です。研修は申し込みから受講まで時間がかかるので早めに予定を立てます。
  2. 物件を探し、保健所に事前相談する:平面図を持って、施術室6.6㎡以上・待合室3.3㎡以上・換気の基準を満たせるか見てもらいます。
  3. 内装・設備を整える:施術室の区画、消毒設備、消防設備(消火器など)を備えます。
  4. 開設後10日以内に施術所開設届を出す:保健所の実地調査を受け、副本を受け取ります。
  5. 地方厚生局へ受領委任の申し出をする:開設届の写しなどを付けて出します。受理日から保険の取扱いが始まります。
  6. 税務署へ開業届を出す:個人で開業する場合は、開業届と青色申告の承認申請を出します。

よくある質問

整骨院を開業するにはどんな届出が必要ですか?

施術所を開設したら、開設後10日以内に施術所の所在地の保健所へ施術所開設届を出します(柔道整復師法第19条)。保健所の職員が実地調査をして、開設届の副本を渡します。

柔道整復師の資格を取ってすぐに開業できますか?

施術所は開設できますが、健康保険の受領委任を扱う施術管理者になるには、令和6年度以降は3年以上の実務経験と施術管理者研修の修了が必要です。

整骨院の広さに決まりはありますか?

6.6㎡以上の専用の施術室と、3.3㎡以上の待合室が必要です。施術室は床面積の7分の1以上を外気に開ける窓か、代わりの換気装置を備えます。

整骨院の開業資金はいくらかかりますか?

整骨院だけの開業費用の公的な統計は見当たりません。公庫の2025年度調査では、全業種の開業費用の中央値は600万円でした。物件と設備の見積もりで積み上げます。

出典

  1. 柔道整復師法(e-Gov法令検索)(2026年10月28日閲覧)
  2. 東京都保健医療局「施術所の新規開設について」(令和6年4月1日作成)(2026年10月28日閲覧)
  3. 神奈川県「柔道整復の施術所(鎌倉市・逗子市・葉山町)の届出」(2026年9月3日更新・2026年10月28日閲覧)
  4. 北海道厚生局「柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任に関する申し出」(2026年10月28日閲覧)
  5. 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱う施術管理者の要件について」(2026年10月28日閲覧)
  6. 公益財団法人 柔道整復研修試験財団「柔道整復師施術管理者研修」(2026年10月28日閲覧)
  7. 厚生労働省 柔道整復療養費検討専門委員会 資料(令和7年度柔道整復施術所経営実態調査)(2026年10月28日閲覧)
  8. 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」結果の概要3(2026年10月28日閲覧)
  9. 日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要(2025年12月5日公表・2026年10月28日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月28日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。

あわせて読みたい