画像はイメージです(AIで作成)

2026/10/28

無人販売所の開業と始め方|フランチャイズ・食品の届出・防犯の注意点

無人販売所は、売る物で手続きが変わります。農家が自分で育てた野菜を売るのは採取業の範囲とされ、冷凍食品などは保健所への営業届出が必要になるのが一般的です。餃子の無人販売店は2022年度末に1,282店まで増えた一方、出店ペースは鈍っています(帝国データバンク)。始め方と防犯をまとめました。

無人販売所の数字確かさ A
A餃子無人販売店の店舗数
1,282店2022年度末。2020年度末は131店(帝国データバンク・67事業者を集計)
A餃子無人販売店の店舗数(最新の集計)
約1,400店2023年7月末。出店ペースは鈍化傾向
A餃子1個あたりの価格
約30円調査対象の67の餃子無人店。市販の冷凍餃子よりやや割高
A2022年度以降に出店した店の割合
61.2%初出店の時期別(帝国データバンク)
Aキャッシュレス決済比率
42.8%2024年。経済産業省の調査(J-Net21の業種別開業ガイドより)
A食品の営業届出制度の開始
令和3年6月1日営業許可の対象外の食品販売なども届出が必要に(厚生労働省)

無人販売所を開くときの手続きは、売る物によって変わります。農家が自分で育てた野菜を売るのは採取業の範囲とされますが(静岡県の回答)、冷凍食品や仕入れた食品を売るなら、保健所への営業届出が必要になるのが一般的です(厚生労働省・広島県、2026年10月28日閲覧)。

冷凍餃子の無人販売店は、帝国データバンクの集計で2020年度末の131店から2022年度末に1,282店へ増え、2023年7月末には約1,400店になりました。一方で出店ペースは鈍り、市場は飽和に近づいているとされています。このページでは、無人販売所の形、届出、フランチャイズを比べる見方、防犯の注意点を整理します。

無人販売所とは:店員を置かずに売る店

無人販売所とは、店員が常にいない状態で、客が自分で商品を取り、代金を払う店のことです。昔からある野菜の無人販売所は、棚と料金箱だけで成り立ちます。近年は、冷凍ショーケースとキャッシュレス決済の端末を置いた、冷凍食品や精肉の無人販売店が増えました。

J-Net21(中小企業基盤整備機構)の業種別開業ガイド「無人・省人化型店舗」(2025年10月)は、無人店舗が増えた背景に、人手不足と人件費の高騰、非対面を好む消費者の増加、キャッシュレス決済の普及を挙げています。経済産業省の調査では、2024年のキャッシュレス決済比率は42.8%(141兆円)でした。

形主な商品設備手続きの目安
野菜の無人販売所農家が自分で育てた野菜棚・料金箱採取業の範囲(静岡県の回答)
仕入れた青果の無人販売仕入れた野菜・果物棚・冷蔵庫・決済野菜果物販売業の営業届出
冷凍食品の無人販売店冷凍餃子・冷凍惣菜など冷凍ショーケース・決済端末営業届出(届出対象外に当たらない)
精肉・鮮魚の無人販売店包装済みの食肉・魚介類冷蔵・冷凍ケース食肉販売業・魚介類販売業(包装済みのみ)の営業届出

食品を売るなら:営業許可と営業届出

食品を売る無人販売所は、営業許可の対象でも、届出対象外でもない営業なら、保健所への営業届出が必要です。厚生労働省によると、この営業届出の制度は令和3年6月1日に始まりました。届出書には、届出者の氏名、施設の所在地と名称、営業の形態と主に扱う食品、食品衛生責任者の氏名を書きます。

届出が要らない「届出対象外営業」は、厚生労働省のリーフレットで次のように限られています。

届出対象外営業中身
輸入業食品又は添加物の輸入業
貯蔵・運搬のみ食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(冷凍・冷蔵倉庫業は除く)
常温の包装食品の販売常温で長期間保存しても腐敗・変敗などの危害のおそれがない包装食品の販売業
器具容器包装合成樹脂以外の器具容器包装の製造業、器具容器包装の輸入又は販売業

冷凍食品は常温で長期間保存できる食品ではないため、届出対象外には当たりません。広島県の案内では、届出が必要な販売業として、野菜果物販売業、包装済みの食肉のみを売る食肉販売業、包装済みの魚介類のみを売る魚介類販売業、自動販売機による販売業、その他の食料・飲料販売業などが挙がっています。届出には食品衛生責任者の設置が必要で、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理も求められます。

野菜については、静岡県が「農家が行う野菜販売は従来どおり採取業の範囲であり、事業者が行う野菜の販売は届出が必要」と回答しています。広島県の案内でも、生産者団体が行う農畜産物の販売(いわゆる小売)は野菜果実販売業(八百屋)と同じ扱いとされています。

餃子の無人販売店:急増から飽和へ

冷凍餃子の無人販売店は、コロナ禍の3年間で1,000店以上増えた一方、2023年度に入って出店ペースが鈍っています。帝国データバンクの「餃子無人販売店」動向調査(2023年9月15日)は、店舗数と推移がわかる全国67の事業者・ブランドを集計しています。

時点店舗数
2020年度末131店
2021年度末827店
2022年度末1,282店
2023年7月末約1,400店

初出店の時期別に見ると、2022年度以降に出店した店が61.2%、2021年度中が20.9%、2020年度までが17.9%でした。調査は、既存店の売上が減少に転じたケースや、店舗の閉鎖・事業の断念も出ており、市場は「飽和状態」に近づきつつあるとしています。

価格も課題に挙がっています。調査対象の67の餃子無人店で売る餃子は、1個あたり約30円で、市販の冷凍餃子と比べるとやや割高でした。日本冷凍食品協会が2023年4月に行った調査では、自動販売機や無人店舗などで冷凍食品を買った割合は男女ともに1〜2割にとどまっています。帝国データバンクは、話題性以外の誘客戦略として、味・品質・価格に見合うこだわりが求められるとまとめています。

フランチャイズで開く場合の見方

無人販売所のフランチャイズに加盟すると、本部の商品と運営の仕組みを使える代わりに、加盟金やロイヤリティ、商品の仕入れ代を払います。加盟金やロイヤリティの金額を公式サイトに載せていない本部もあるため、説明会で書面をもらって比べます。

比べるときは、次の点を確かめましょう。

  1. 加盟金・保証金・研修費・ロイヤリティと、商品の仕入れ価格
  2. 冷凍ケースや決済端末、防犯カメラを買うのか借りるのか、その費用
  3. 既存店の売上の実績と、示された売上予測の根拠
  4. 商圏の中に同じブランドや競合の無人店がどれだけあるか
  5. 店をやめるときの解約条件と、設備の扱い

帝国データバンクの調査のとおり、餃子の無人販売は短い期間に店が増え、競争が激しくなっています。示された売上予測が、出店が鈍る前の数字をもとにしていないかも確かめます。契約前に確かめる項目はフランチャイズに加盟する前のチェックリストにまとめています。

防犯:無人だからこそ仕組みで守る

無人販売所の防犯は、防犯カメラ・照明・看板・施錠・被害時の届け出を組み合わせるのが基本です。J-Net21は、無人・省人化型店舗の課題として「万引きや不正利用のリスクが伴い、防犯対策が求められる」と書いています。

無人販売所に限った公的な防犯の手引きは見当たりませんが、栃木県が農業用の施設向けに挙げている盗難防止対策の例は、人のいない場所の守り方として参考になります。

対策中身(栃木県の盗難防止対策例から)
管理の見直し鍵の管理、施錠の方法、巡回の頻度を確かめて改める
見せる防犯防犯用のカメラやライト、「防犯カメラ作動中」「盗難対策実施中」の看板を付ける
通報と共有不審な人や車を見たら警察署へ通報し、近所と情報を共有する
備え盗難に備えて保険に入る。警備会社のサービスを使う
被害のあと被害届を警察署に出す

無人販売所を開業する手順

  1. 売る物を決める:自分で育てた野菜か、仕入れた食品か、冷凍食品かで手続きが変わります。
  2. 保健所に相談する:営業許可・営業届出の要否と、食品衛生責任者の設置を確かめます。
  3. 場所を決める:人通り、駐車のしやすさ、夜間の明るさ、競合の無人店を見ます。
  4. 設備と決済を整える:冷凍・冷蔵ケース、料金箱かキャッシュレス決済の端末、防犯カメラを用意します。
  5. 営業届出を出す:オンラインの「食品衛生申請等システム」か保健所の窓口で出します。
  6. 税務署へ開業届を出す:個人で始めるなら開業届と青色申告の承認申請を出します。

人を置かない設備型の事業は、コインランドリーの開業や無人・設備ビジネスの業種ページでも比べられます。

よくある質問

野菜の無人販売所を始めるのに届出は必要ですか?

静岡県は、農家が行う野菜販売は採取業の範囲とし、事業者が行う野菜の販売は届出が必要と回答しています。仕入れた野菜を売るなら保健所に確かめます。

冷凍餃子などの無人販売所に必要な手続きは?

営業許可や届出の対象外は、常温で長期間保存できる包装食品の販売などに限られます。冷凍食品を売るなら、保健所に営業届出をするのが一般的です。

無人販売所は儲かりますか?

帝国データバンクは、餃子無人販売店が3年で約10倍に増えた一方、出店ペースが鈍り、既存店の売上が減ったケースや閉店も出ているとしています。

無人販売所の防犯対策は何をすればいいですか?

J-Net21は無人店舗の課題に万引きや不正利用を挙げています。防犯カメラやライト、「防犯カメラ作動中」の看板、施錠の確認、被害時の届け出を組み合わせます。

出典

  1. 帝国データバンク 特別企画「餃子無人販売店」動向調査(2023年9月15日公表・2026年10月28日閲覧)
  2. J-Net21(中小企業基盤整備機構)業種別開業ガイド「無人・省人化型店舗」(2025年10月22日掲載・2026年10月28日閲覧)
  3. 厚生労働省「『営業届出』を行っていますか?」(食品等事業者向けリーフレット)(2026年10月28日閲覧)
  4. 広島県「食品衛生法改正による営業の届出制度について」(2026年10月28日閲覧)
  5. 静岡県 地域意見交換会の記録(農家の野菜販売と営業届出についての県回答)(2026年10月28日閲覧)
  6. 農林水産省「6次産業化総合調査の概要」(農産物直売所の定義)(2026年10月28日閲覧)
  7. 栃木県「土地改良施設における盗難防止対策について」(2026年3月27日更新・2026年10月28日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月28日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。

あわせて読みたい