
2026/10/28
民泊は儲かる?経営の年収と稼働率|年180日の上限と実例の収支
届出の民泊は年180日までしか営業できず、観光庁の集計では届出住宅1軒あたりの宿泊日数は2か月で15.4日でした。届出67,932件のうち24,895件は廃止済みです。年間売上約300万円・手残り約150万円の実例など、儲かるかを数字で確かめます。
- A届出の民泊の年間提供日数
- 180日以内住宅宿泊事業法。条例でさらに制限できる
- A届出住宅1軒あたりの宿泊日数
- 15.4日令和8年6月1日〜7月31日の2か月(観光庁)
- C2か月の稼働率(試算)
- 約25%15.4日÷61日。編集部の計算
- A事業廃止件数
- 24,895件届出件数67,932件のうち。令和8年9月15日時点(観光庁)
- A簡易宿所の客室稼働率
- 29.6%2025年の年間値(確定値)。宿泊施設全体は61.6%(観光庁)
- B名古屋の民泊の年間売上
- 約300万円譲渡案件の掲載情報。代表者所得は約150万円(売主の自己申告等)
民泊が儲かるかは、泊まってもらえる日数で決まります。住宅宿泊事業法の届出で行う民泊は年間提供日数180日以内で、観光庁の集計では、届出住宅1軒あたりの宿泊日数は2026年6〜7月の2か月で15.4日でした(観光庁、2026年10月28日閲覧)。
一方で、譲渡に出ている名古屋の民泊には、年間売上約300万円、代表者所得約150万円と掲載された例もあります。この記事では、公的な統計と実例の数字から、民泊の稼働と収支を確かめます。制度の違いと届出の手順は民泊の始め方にまとめています。
民泊は儲かる?統計で見る稼働の実態
民泊とは、住宅(戸建住宅やマンションなど)の全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供することです。法令上の明確な定義はありません。観光庁は、これを行うには旅館業法の許可、国家戦略特区法の認定(特区民泊)、住宅宿泊事業法の届出のどれかが必要だとしています。
届出の民泊の実績は、観光庁が2か月ごとの定期報告から集計しています。令和8年6月1日〜7月31日の数字は次のとおりです。
| 項目 | 全国 | 届出住宅1軒あたり |
|---|---|---|
| 宿泊日数 | 557,439日 | 15.4日 |
| 宿泊者数 | 582,162人 | 16.1人 |
| 延べ宿泊者数 | 1,627,034人泊 | 45.0人泊 |
対象期間は61日なので、1軒あたりの稼働率を試算すると次のようになります。
15.4日 ÷ 61日(6月1日〜7月31日)× 100 = 約25%
地域の差は大きく、届出住宅あたりの宿泊日数は北海道が21.1日で最も多く、次いで福岡県が18.4日でした。宿泊日数の合計では、東京都が286,731日で全国の半分ほどを占めます。
参考に、旅館業の施設の稼働も見ておきます。宿泊旅行統計調査(2025年・年間値の確定値)では、客室稼働率は宿泊施設全体で61.6%、旅館が38.2%、簡易宿所が29.6%でした。
年180日の上限が収入の天井を決める
届出の民泊は、1年のうち半分ほどしか営業できません。どれだけ人気の物件でも、180日を超えて泊めることはできず、自治体の条例でさらに短くなることもあります。
| 制度 | 許認可 | 営業日数の制限 | 住居専用地域での営業 |
|---|---|---|---|
| 旅館業法(簡易宿所) | 許可 | 制限なし | 不可 |
| 国家戦略特区法(特区民泊) | 認定 | 2泊3日以上の滞在が条件。年間の上限はない | 可能(自治体が制限する場合あり) |
| 住宅宿泊事業法 | 届出 | 年間提供日数180日以内(条例で制限可能) | 可能(条例で制限される場合あり) |
家賃は1年分かかるのに、売上は最大180日分しか立ちません。届出の民泊で採算をとるには、180日のうちどれだけ埋められるか、1泊の単価をいくらにできるかが勝負になります。日数の制限を外したいなら簡易宿所の許可を取る方法がありますが、住居専用地域では営業できず、建物の基準も厳しくなります。
実例の収支:名古屋と大阪の2軒
事業の譲渡(M&A)の仲介サイト「BATONZ(バトンズ)」には、運営中の民泊の収支が掲載されています。売主の自己申告やヒアリングをもとにした数字です。
| 項目 | 名古屋市の民泊 | 大阪市の民泊(新法・1室) |
|---|---|---|
| 売上 | 年約300万円 | 月約15万円〜18万円(Airbnb手数料控除後) |
| 家賃 | 年約110万円(月額約9.3万円) | 月約12.5万円 |
| 利益 | 代表者所得 約150万円 | 年間営業利益 約60万円〜70万円(マンスリー含む) |
| 稼働 | 掲載なし | 年間稼働率70%から80%(180日の予約+マンスリー約60日) |
| 運営 | 清掃とメッセージ対応を外注 | 運営者が全業務を実施 |
| 譲渡希望額 | 320万円 | 200万円 |
大阪の物件は、180日の通常予約に、マンスリー(月単位の賃貸)の予約約60日分を足して、年間240日程度を埋めています。それでも人件費をかけずに自分で運営して、月の営業利益は約2万円〜3万円です。名古屋の物件は清掃を1回あたり6,000円程度、ゲスト対応を月額8,000円で外注しながら、年間で約150万円が残っています。
民泊の経費:何にお金がかかるか
民泊の主な経費は、家賃(または住宅の維持費)、清掃、運営の委託、仲介サイトの手数料です。国税庁は、住宅宿泊事業の必要経費の例として次のものを挙げています。
- 住宅宿泊仲介業者(予約サイト)に支払う仲介手数料
- 住宅宿泊管理業者等に支払う管理費用や広告宣伝費
- 水道光熱費・通信費
- 非常用照明器具の購入と設置の費用
- 宿泊者用の日用品等の購入費
- 家屋の減価償却費・固定資産税・借入金の利子
自宅の一部で行う場合、水道光熱費や固定資産税は、床面積の割合などで民泊の分だけを経費にします。
始めるときの費用も見ておきます。名古屋の譲渡案件では、譲渡代金とは別に、行政書士費用が約20万円(届出・名義変更等)、不動産物件取得費用が約90万円〜100万円かかると書かれています。ゼロから始める場合は、これに家具・家電・備品の費用が加わります。
民泊の所得と税金
国税庁によると、自宅で行う住宅宿泊事業の所得は、原則として雑所得です。宿泊者の安全確保やサービスの提供が義務になっていて、ふつうの不動産の貸付けとは違うためです。
| 場合 | 所得の区分 |
|---|---|
| 自宅の住宅で民泊をする | 原則として雑所得 |
| 不動産賃貸業の人が、次の入居者までの空き期間に一時的に民泊をする | 不動産所得に含めてよい |
| 民泊の所得で生計を立てるなど、事業として行うことが明らかな場合 | 事業所得 |
宿泊料は、ホテルや旅館と同じく消費税の課税対象です。ただし、基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1千万円以下なら、原則として免税事業者になります。会社員が副業で始めるときの手続きと税金の考え方は副業から起業する方法をご覧ください。
儲かるかを見極める手順
- 営業できる日数を確かめる:物件のある自治体の条例で、180日よりさらに短くならないか調べます。
- 地域の宿泊日数を見る:観光庁の宿泊実績で、都道府県ごとの届出住宅あたりの宿泊日数を確かめます。
- 固定費を年額で出す:家賃は12か月分です。名古屋の例では年約110万円でした。
- 外注するか決める:清掃と問い合わせ対応を外注すると手間は減り、その分の費用がかかります。
- 180日で回収できるか計算する:1泊の単価×埋まる日数から、仲介手数料・清掃・家賃を引いて、初期費用を何年で取り戻せるかを出します。
よくある質問
民泊は儲かりますか?
物件と運営しだいです。届出住宅1軒の宿泊日数は2か月で15.4日でした(観光庁)。年間売上約300万円で手残り約150万円の例も、月2万〜3万円の利益の例もあります。
民泊経営の年収はどれくらいですか?
公的な統計はありません。名古屋の1軒の譲渡案件では、年間売上約300万円、家賃約110万円、代表者所得約150万円と掲載されています。物件の数と稼働で大きく変わります。
民泊は1年に何日まで営業できますか?
住宅宿泊事業法の届出で行う民泊は、年間提供日数180日以内です。旅館業法の簡易宿所の許可なら日数の制限はなく、特区民泊は2泊3日以上の滞在が条件です。
民泊の所得は何所得になりますか?
国税庁によると、自宅で行う住宅宿泊事業の所得は原則として雑所得です。民泊の所得で生計を立てるなど、事業として行うことが明らかな場合は事業所得になります。
出典
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業法の施行状況」(届出状況・宿泊実績)(令和8年9月15日時点・2026年10月28日閲覧)
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト「はじめに『民泊』とは」(2026年10月28日閲覧)
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(確定値))」(2026年7月6日公表・2026年10月28日閲覧)
- 国税庁「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」(2026年10月28日閲覧)
- BATONZ(バトンズ)譲渡案件 No.90478「【名古屋/民泊】年間利益150万円」(2026年7月15日更新・2026年10月28日閲覧)
- BATONZ(バトンズ)譲渡案件 No.85148「大阪市内の高評価民泊物件」(2026年3月27日掲載・2026年10月28日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月28日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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