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2026/10/28

軽貨物で開業・起業する|軽運送の始め方と貨物軽自動車運送事業の届出、安全管理者の講習

軽貨物で開業するには、運輸支局へ貨物軽自動車運送事業の経営届出を出し、黒ナンバーを取ります。2025年4月からは一人でも貨物軽自動車安全管理者の選任が必要で、講習の手数料は3,700円(ナスバ)。車庫や税金の数字も公的な資料で整理しました。

軽貨物の開業で確かめる数字(2026年10月時点)確かさ A
A安全管理者講習の受講手数料
3,700円独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)のeラーニング。税込
A安全管理者講習の長さ
5~6時間程度eラーニングで受講(富山運輸支局の案内)。選任後は2年ごとに定期講習
A自動車車庫の広さ
1両あたり概ね8㎡以上二輪は概ね5.5㎡以上(山形運輸支局)
A車庫と営業所の距離
2キロメートル以内原則は営業所に併設。併設できない場合(山形運輸支局)
A軽自動車税(四輪貨物車・営業用)
3,800円年額。自家用は5,000円(相模原市・令和8年度・平成27年4月1日以降の車)
A事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数
約4割増加保有台数1万台当たり。平成28年から令和5年(国土交通省)

軽貨物で開業するには、営業所を管轄する運輸支局へ「貨物軽自動車運送事業経営届出書」を出し、黒ナンバー(事業用のナンバー)を取ります。2025年4月からは、一人で始める場合でも「貨物軽自動車安全管理者」を選ぶ必要があり、その講習はナスバのeラーニングで受講手数料3,700円です(国土交通省・ナスバ、2026年10月28日閲覧)。

軽運送は、軽自動車1台と自宅の営業所から始められる、元手の小さい運送業です。一方で、国土交通省によると、保有台数1万台当たりの事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数は、平成28年から令和5年にかけて約4割増えました。このため安全対策の決まりが強化されています。ここでは、届出の流れ、車庫などの基準、開業後に守ることを、運輸局の資料から整理します。

貨物軽自動車運送事業とは:軽自動車で荷物を有償で運ぶ事業

貨物軽自動車運送事業とは、他人の求めに応じて、お金をもらい、三輪以上の軽自動車や二輪の自動車で荷物を運ぶ事業のことです(山形運輸支局)。一般に「軽貨物」「軽運送」と呼ばれます。

始めるには、管轄の運輸支局長への届出が必要です。許可を待つ制度ではなく、富山運輸支局の案内では、経営届出書に問題がなければ即日受理されます。

国土交通省は、EC(ネット通販)の広がりで宅配便の取扱個数が増え、物流センターや小売店から消費者へ荷物を運ぶ手段として軽自動車の需要が拡大していると説明しています。

軽貨物の開業までの流れ:講習から黒ナンバーまで4つの手順

軽貨物の開業は、講習→届出→安全管理者の届出→黒ナンバーの順に進みます。富山運輸支局の「貨物軽自動車運送事業開始までの流れ」をもとにすると、次のとおりです。

  1. 貨物軽自動車安全管理者講習を受ける:eラーニング(Web)で、5~6時間程度の内容です。受講後に「講習修了証明書」が出ます。
  2. 経営届出書と運賃料金設定届出書を出す:営業所を管轄する運輸支局の輸送・監査の部門に出します。問題がなければ即日受理され、黒ナンバーの取得に要る「事業用自動車等連絡書」が交付されます。
  3. 貨物軽自動車安全管理者選任届出書を出す:講習修了証明書を印刷して添付し、運輸支局の検査・整備の部門に出します。
  4. 軽自動車検査協会で黒ナンバーを取る:事業用自動車等連絡書などを持って、営業所を管轄する軽自動車検査協会で手続きします。

運賃・料金は、設定したら30日以内に「運賃料金設定(変更)届出書」を出します。経営届出書と同時に出すこともできます(山形運輸支局)。

経営届出の基準:営業所・車庫・休憩睡眠施設

経営届出には、営業所・自動車車庫・休憩睡眠施設を決め、どれも使う権限があることが求められます。山形運輸支局の案内に書かれた基準は次のとおりです。

項目基準(山形運輸支局)
営業所営業活動と運転者の管理を行う拠点。自宅でも可。使用権限があり、都市計画法などに抵触しない
自動車車庫原則として営業所に併設。併設できない場合は営業所から2キロメートル以内
車庫の広さ車両1両あたり概ね8㎡以上(二輪は概ね5.5㎡以上)で、計画するすべての車を収容できる
休憩睡眠施設乗務員が使える適切な施設。自宅でも可
運送約款国が公示した約款に準じて作るか、標準運送約款をそのまま使う
管理体制過積載・過労運転の防止、乗務前後の点呼、乗務員への指導監督の体制

車両数や営業所の位置など届け出た内容が変わるときは、事前に経営変更届出書を出します。事業をやめたときも同じ届出書で届けます。

2025年4月からの安全対策:一人でも安全管理者が必要

2025年4月から、貨物軽自動車運送事業者は営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選び、運輸支局に届け出ることが義務になりました。四国運輸局は「1人で事業を行っている場合でも選任が必要」としています。バイク便の事業者は対象外です。

国土交通省のリーフレットから、開業する人が守る主な決まりを抜き出しました。

決まり中身
安全管理者の講習選任の前に講習、選任後は2年ごとに定期講習を受ける
初任運転者などへの指導・適性診断初任運転者、65歳以上の人、死傷事故を起こした人に特別な指導と適性診断
点呼乗務の前後に確認と指示。アルコール検知器で酒気帯びを確かめ、記録を1年間保存(山形運輸支局)
業務の記録業務の開始・終了・休憩の日時と地点、走った距離などを記録して1年間保存
事故の記録事故の概要・原因・再発防止策を記録して3年間保存
国への事故報告死傷者が出た事故などは30日以内に運輸支局を通じて報告
健康診断雇い入れるときと1年に1回、運転者に受診させる

2025年4月以降に経営届出を出す事業者には、安全管理者の選任や初任運転者への指導の猶予期間はありません。各種の記録はパソコンやスマートフォンでつけられます。

軽貨物の開業にかかるお金:講習・税金・車両

軽貨物の開業で、公的な資料で金額がはっきりしているのは講習の手数料と税金です。

費用金額出典
貨物軽自動車安全管理者講習(eラーニング)3,700円(税込)ナスバ
軽自動車税(四輪貨物車・営業用)年3,800円相模原市(令和8年度)
軽自動車税(四輪貨物車・自家用)年5,000円相模原市(令和8年度)

軽自動車税の額は、平成27年4月1日以降に初めてナンバーを受けた車の標準税率です。黒ナンバーの営業用は、自家用より年1,200円低くなります(5,000円−3,800円)。初度検査から13年を過ぎた営業用の四輪貨物車は4,500円です。

ナスバのeラーニングは、手数料の支払いが完了した日を含む30日間が受講期間です。期間内に終わらないと未修了になり、手数料は返金されません。

このほか、車両(購入やリース)、事業用の自動車保険、燃料代、アルコール検知器などが要ります。これらは車種や契約で変わるため、見積もりを取って比べます。個人で始めるなら、税務署への開業届も出します(開業届の出し方と期限)。

個人で運送業を起業するときに考えること

個人で軽運送を起業するときは、仕事をどこから受けるかを先に決めます。荷主と直接契約するか、運送会社などから業務委託で受けるかで、単価も働き方も変わります。

  1. 仕事の取り方を決める:委託で受ける場合は、契約の条件(報酬の決まり方、支払日、車両や燃料の負担)を書面で確かめます。発注する事業者との取引のルールはフリーランスの開業届と手続きにまとめています。
  2. 安全対策の時間を見込む:点呼・業務の記録・年1回の健康診断は、一人でも自分で行います。
  3. 車庫を確保する:自宅に置けない場合は、営業所から2キロメートル以内で、1両あたり概ね8㎡以上の場所を借ります。
  4. 車を増やすときは事前に届け出る:車両数が変わるときは、変える前に経営変更届出書を出します。

一人で始める事業の形はひとり起業の始め方でも紹介しています。

よくある質問

軽貨物で開業するのに許可は要りますか?

許可ではなく届出です。営業所を管轄する運輸支局へ貨物軽自動車運送事業経営届出書を出し、受理後に交付される連絡書で黒ナンバーを取ります。

一人で軽貨物を始める場合も安全管理者は必要ですか?

必要です。四国運輸局は、一人で事業を行っている場合でも貨物軽自動車安全管理者の選任が必要としています。バイク便の事業者は選任義務がありません。

安全管理者講習はどこで受けられますか?

国土交通大臣の登録を受けた講習機関で受けます。ナスバのeラーニングは受講手数料3,700円(税込)で、支払い完了日を含む30日間が受講期間です。

自宅を営業所にして軽運送を始められますか?

山形運輸支局の案内では、営業所と休憩睡眠施設は自宅でも可です。車庫は原則営業所に併設し、1両あたり概ね8㎡以上を確保します。

出典

  1. 国土交通省 北陸信越運輸局 富山運輸支局「貨物軽自動車運送事業開始までの流れ」(2026年10月28日閲覧)
  2. 国土交通省 東北運輸局 山形運輸支局「貨物軽自動車運送事業のご案内」(2026年10月28日閲覧)
  3. 国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」(2026年10月28日閲覧)
  4. 国土交通省 リーフレット「貨物軽自動車運送事業者の安全対策が強化されました」(2026年10月28日閲覧)
  5. 四国運輸局「貨物軽自動車安全管理者について」(2025年7月25日更新・2026年10月28日閲覧)
  6. 九州運輸局「貨物軽自動車安全管理者について」(2025年8月12日更新・2026年10月28日閲覧)
  7. 東北運輸局「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」(2026年10月28日閲覧)
  8. 独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)「eラーニング【安全管理者講習(貨物軽)】について」(2026年10月28日閲覧)
  9. 相模原市「軽自動車税(種別割)税率」(令和8年度・2026年10月28日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月28日

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