
2026/10/27
小さなカフェを田舎・自宅で開業するには|ひとり営業・週末営業の実例と自宅カフェの許可・起業支援金
田舎や自宅で小さなカフェを開くときも、保健所の飲食店営業の許可が要り、自宅の台所は営業用に兼用できません。自宅の一部を店にするなら非住宅部分50㎡以下などの用途地域の制限も確かめます。地方では起業支援金(最大200万円)や地域おこし協力隊も使えます。公的機関の案内と実例で整理しました。
- A起業支援金
- 最大200万円起業等に必要な経費の2分の1。東京圏以外などで社会的事業を起業する人(内閣官房・内閣府 地方創生)
- A地域おこし協力隊の任期
- おおむね1年から3年都市地域から過疎地域などに住民票を移して活動(総務省)
- A地域おこし協力隊の隊員数
- 7,910名令和6年度。任期後の定住率は約70%
- A兼用住宅の非住宅部分
- 50㎡以下かつ建築物の延べ面積の2分の1未満。非居住部分の用途に制限あり(国土交通省の資料)
- A会社員の副業で確定申告が要る目安
- 20万円超給与1か所・全額源泉徴収の人で、給与・退職以外の所得の合計(国税庁 No.1900)
田舎や自宅で小さなカフェを開くときも、保健所の「飲食店営業」の許可が必要です。自宅で営業する場合は、自宅の台所とは別に営業用のキッチンを設け、住まいと区画するのが基本です(横浜市青葉区・徳島県徳島保健所、2026年10月27日閲覧)。
地方で始めるなら、国の地方創生の制度として、地域の課題解決につながる事業を起業する人に最大200万円の起業支援金(経費の2分の1)があります。このページでは、田舎・自宅・週末だけといった小さなカフェの形ごとに、許可と場所の決まり、支援制度、実例をまとめます。開業の手続き全体はカフェを開くには?で解説しています。
田舎・自宅で開く小さなカフェとは:3つの形
田舎・自宅の小さなカフェとは、店主ひとりか家族で、空き家や自宅の一部、ほかの店の空き時間を使って営む、席数の少ないカフェのことです。始め方は大きく3つに分かれます。
| 形 | 場所 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 空き家・古民家を借りて開く | 地方の空き家、古民家、元工場など | 改装費。人通りが少ないので「わざわざ来る理由」が要る |
| 自宅の一部を店にする | 自宅の部屋や離れ | 営業用キッチンの区画と、用途地域の制限 |
| 間借り・週末だけ開く | ほかの店の定休日、イベント | 許可の名義と、借りる店の設備で出せるメニュー |
当サイトでは、人口3,000人の町の茅葺き古民家で喫茶と雑貨を営む柊結舎や、月5〜6日だけ営業する京都の間借りカフェの数字も紹介しています。
自宅カフェに必要なこと:台所とは別の営業用キッチン
自宅でカフェを開くには、家族が使う台所とは別に、営業用のキッチンが必要です。徳島県徳島保健所は「営業施設と自宅の台所は兼用できません」とし、台所とは別に調理場を設けて、営業に関係ない場所と区画するよう案内しています。
横浜市青葉区は、自宅を改装してカフェを開く人向けに、改装時のポイントを挙げています。
| 項目 | 横浜市青葉区の案内 |
|---|---|
| キッチン | 自宅用や料理教室用のキッチンとは別に、営業用のキッチンがある |
| 区画 | 営業用キッチンは、カウンターや扉で区画されている |
| ペット | 動物を飼っている場合は、営業用キッチンを床から天井まで壁や扉で区画した部屋にする |
| 広さ | 屋外からの汚染がなく、作業内容に応じた十分な広さがある |
| 手洗い | トイレ専用の手洗器がある(トイレタンクの水栓や家庭の洗面台は不可) |
徳島保健所は、このほかにシンク(蛇口・シンク・排水口の1組で1槽と数える)と、シンクとは別の流水式の手洗い設備が厨房内に必要だとしています。
横浜市青葉区が示す手続きの順番は、次のとおりです。
- 工事の前に、改装の図面を持って保健所(生活衛生課)に相談する
- 工事の前に、食品関係以外の法令(用途地域・建築基準法・消防)も確かめる
- 工事をする
- 食品衛生責任者の資格を取る
- 「HACCPに沿った衛生管理」の計画をつくる
- 営業許可を申請し、施設の調査を受ける
- 開業して、衛生管理を毎日記録する
住宅地の自宅でも開けるか:用途地域と兼用住宅
自宅でカフェを開けるかどうかは、その土地の用途地域で決まります。国土交通省の用途制限の概要では、住宅と店を兼ねる兼用住宅のうち、非住宅部分の床面積が50㎡以下かつ建築物の延べ面積の2分の1未満のものは、第一種低層住居専用地域を含む住居系の地域でも建てられる用途になっています。ただし、非居住部分の用途には制限があります。
| 建物の形 | 第一種低層住居専用地域 | 第二種低層住居専用地域 |
|---|---|---|
| 兼用住宅(非住宅部分50㎡以下かつ延べ面積の2分の1未満) | 建てられる(非居住部分の用途に制限あり) | 建てられる |
| 店舗だけの建物(床面積150㎡以下) | 建てられない | 日用品販売店舗・喫茶店・理髪店などに限り、2階以下で建てられる |
横浜市青葉区も、用途地域には食品関係の営業ができない、または建物に制限がかかる地域があるとして、事前に自宅の用途地域と建築の制限を確かめるよう案内しています。賃貸住宅や分譲マンションの場合は、契約や管理規約で店の営業が認められているかも確かめましょう。
週末だけ・ひとりで営業するときの考え方
週末だけのカフェや、ひとりで営むカフェの売上は、客単価×席数×回転数×営業日数で決まります。日本政策金融公庫の「創業の手引+(飲食業)」は、この式で1か月の売上を予測する例を示しています。
営業日が少ないカフェは、この式の「営業日数」が小さくなります。そのため、次のどれかで補う店が多くなります。
- 客単価を上げる:ランチやセットメニュー、焼き菓子の持ち帰りを組み合わせる。
- 営業以外の売上を足す:物販、ワークショップ、イベントでの出店。
- ほかの仕事と組み合わせる:カフェを生活費のすべてにしない。
会社員が週末だけカフェを開く場合は、税金の手続きも確かめます。国税庁によると、給与を1か所から受けていて全額が源泉徴収される人でも、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。勤め先の副業の規則も先に確認しておきましょう。
田舎で開業するときに使える支援制度
田舎でカフェを開くときは、国と自治体の支援制度を確かめておく価値があります。主なものは2つです。
| 制度 | 内容 | 窓口 |
|---|---|---|
| 起業支援金 | 地域の課題解決につながる社会的事業を起業する人に、伴走支援と経費の2分の1(最大200万円)を助成 | 都道府県・市町村 |
| 地域おこし協力隊 | 都市地域から過疎地域などに住民票を移し、地域協力活動をしながら定住をめざす。任期はおおむね1年から3年 | 各自治体 |
起業支援金の対象分野について、内閣官房・内閣府の地方創生のページは「子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など」を例に挙げています。新たに起業する場合は、東京圏以外(または東京圏の条件不利地域)で起業すること、開業届か法人設立をすること、その都道府県に住むことなどが条件です。募集の時期と要件は都道府県ごとに違います。
地域おこし協力隊は、令和6年度に7,910名が活動しています。総務省は、任期後の定住率を約70%としています。
実例:元工場をギャラリーカフェにした移住創業
日本政策金融公庫の移住創業事例に、山梨県西桂町のSPRING GALLERYがあります。江戸時代から織物が盛んな町で、元機織り工場をリノベーションし、2019年6月にギャラリーカフェとして開きました。
オーナーの寺田哲史さんは、もとはフリーカメラマンで、都内の大学で写真の講義を担当していました。町を写真でPRする地域おこし協力隊として移住し、3年間で町の人とのつながりをつくりながら、生活の基盤をどうつくるかを考えたといいます。
開いた当初はギャラリーだけでしたが、いまは昼はカフェ、夜はバー、写真集やオリジナルグッズの販売も行っています。定休日の月曜日から木曜日は大学の講義を続けています。寺田さんは協力隊のころから「いろんな仕事を掛け持ちすればなんとかなる」と考えていたそうです。
よくある質問
自宅でカフェを開くのに許可は要りますか?
要ります。自宅でも保健所の飲食店営業の許可を受けます。自宅の台所とは別に営業用のキッチンを設け、カウンターや扉で住まいと区画するのが基本です(横浜市・徳島県)。
住宅地の自宅でもカフェはできますか?
用途地域によります。兼用住宅なら、店の部分が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満などの条件で、住居専用地域でも建てられる場合があります。市の建築の窓口に確かめます。
田舎でカフェを開くときに使える支援はありますか?
地方で地域課題の解決につながる事業を起業する人に、起業支援金(経費の2分の1・最大200万円)があります。地域おこし協力隊として移住し、任期中に準備する方法もあります。
会社員が週末だけカフェを営業してもいいですか?
勤め先の規則を確かめたうえで可能です。給与が1か所の人は、カフェなど給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁)。開業届も出します。
出典
- 横浜市青葉区「自宅等を改装してお店をはじめたい方へ」(2026年10月27日閲覧)
- 徳島県 徳島保健所「〔食品関係〕営業許可を取得する」(2026年10月27日閲覧)
- 国土交通省「用途地域による建築物の用途制限の概要」(資料)(令和2年7月27日現在・2026年10月27日閲覧)
- 内閣官房・内閣府 地方創生「起業支援金」(2026年10月27日閲覧)
- 総務省「地域おこし協力隊」(2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫「移住創業事例」SPRING GALLERY(山梨県西桂町)(2020年3月取材・2026年10月27日閲覧)
- 日本政策金融公庫「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+(プラス)」(令和7年9月・2026年10月27日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(2026年10月27日閲覧)
数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく
公開 2026年10月27日
前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。
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