画像はイメージです(AIで作成)

2026/10/28

カウンセリング・占いで開業・起業する|資格は要る?自宅・オンラインで始めるときの法律と料金の目安

カウンセリングや占いで開業するとき、法律が制限しているのは医師にしかできない医業と「公認心理師」の名称です(医師法・公認心理師法)。公認心理師の登録者は76,675人(2026年9月末)。料金の目安や、オンラインで売るときの表示、占いの契約トラブルも公的な資料で整理しました。

カウンセリング・占いで開業するときの数字と決まり確かさ A
A占いサイトの相談事例で支払った額
約17万円+約38万円銀行口座振込とクレジットカード(国民生活センターの相談事例)
A「公認心理師」の名称
登録者だけが使える公認心理師法第44条。名称に「心理師」の文字を使うことも禁止
A相談室カウンセリングの一般料金
8,800円1回50分・税込(日本産業カウンセラー協会四国支部)
Aカウンセリング1回の時間
50分(初回60分)同上。全予約制
A占いサイト等の相談件数
1,837件2019年度(国民生活センター)。8割が女性のトラブル
A霊感商法の取消権を広げた改正の施行
令和5年1月5日消費者契約法等の改正(山梨県の案内)

カウンセリングや占いで開業するとき、法律で制限されているのは、医師にしかできない「医業」と、「公認心理師」という名称です(医師法第17条・公認心理師法第44条、e-Gov法令検索、2026年10月28日閲覧)。公認心理師の登録者は、2026年9月末日現在で76,675人です(公認心理師試験研修センター)。

一方で、相談や占いの料金をネットで受け付けるなら特定商取引法の表示が、占いで不安をあおる勧誘をすれば消費者契約法の取消しが関わってきます。このページでは、資格の要否、料金の目安、自宅やオンラインで始めるときの決まりを、法令と公的な資料から整理します。

カウンセリング・占いの開業とは:話を聴き、助言する仕事を自分の事業にすること

カウンセリング・占いの開業とは、人の悩みを聴いて助言したり、占いで鑑定したりするサービスを、自分の事業として提供することです。店を持たずに自宅や貸し部屋、オンライン通話で始められるため、ひとりで始める起業の形として選ばれます。

形は大きく次の3つです。

形中身関わる主な法律
心理カウンセリング心の悩みの相談に乗り、助言する公認心理師法(名称)、医師法(医業との線引き)
キャリア・職場の相談働き方や人間関係の相談、企業向けの研修心の不調の相談に広がるときは、医師法・公認心理師法の線引きに注意。企業と契約するなら契約書を整える
占い・鑑定占いの結果をもとに助言する消費者契約法(霊感等による勧誘)、特定商取引法(ネット・電話で売る場合)

税務署への開業届は、ほかの事業と同じように出します。出し方は開業届の出し方と期限にまとめています。

カウンセラーに資格は要る?公認心理師と民間資格の違い

心理の相談に乗ること自体に、国家資格は必須ではありません。ただし、「公認心理師」は国家資格で、登録を受けた人しかその名称を使えません(名称独占)。

公認心理師法第2条は、公認心理師を、登録を受け、公認心理師の名称を用いて、心理学の専門的な知識と技術で次のことを業とする者と定めています。

  1. 心理に関する支援を要する人の心理状態を観察し、分析すること
  2. その人の相談に応じ、助言・指導その他の援助を行うこと
  3. その人の関係者の相談に応じ、助言・指導その他の援助を行うこと
  4. 心の健康に関する知識の普及のための教育と情報の提供

第44条は、公認心理師でない者が「公認心理師」という名称を使うことを禁じ、名称の中に「心理師」の文字を用いることも禁じています。違反すると三十万円以下の罰金です(第49条)。

区分例開業での扱い
国家資格(名称独占)公認心理師登録者だけが名乗れる。主治医がいる相談者には、その指示を受ける(第42条第2項)
民間の資格産業カウンセラーなど団体が認定する資格。名乗ることはできるが、国家資格ではないことがわかる書き方にする
資格なし―「公認心理師」「心理師」以外の肩書きで相談を受けることはできる

医業との線引き:診断や治療はできない

医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めています。カウンセリングや占いの中で、病名を告げたり、治療や薬について指示したりすることは、医師でない人にはできません。

相談の中で、眠れない・食べられないといった体や心の不調が続いている人に出会うことがあります。そのときは自分のサービスで抱え込まず、医療機関への受診を勧めるのが安全です。案内に「医療行為ではありません」「治療中の方は主治医にご相談ください」と書いておくと、相談者にも伝わります。

カウンセリングの料金の目安

カウンセリングの料金に決まった相場はありません。公開されている一例として、日本産業カウンセラー協会四国支部の相談室は、次の料金です。

項目内容
時間1回50分(初回60分)
一般の料金8,800円(税込)
賛助会員の料金7,700円(税込)
予約電話での事前予約(全予約制)

自分で料金を決めるときは、1回の時間と、1日に受けられる人数を先に決めます。カウンセリングは1回ずつ時間を使う仕事なので、売上はおおまかに「1回の料金×回数」で上限が決まります。たとえば上の料金なら、8,800円×週10回=88,000円が1週間の売上の上限になります(編集部の計算)。

自宅・オンラインで始めるときの決まり

ホームページやSNSで告知し、メールやフォームで申し込みを受けると、特定商取引法の「通信販売」に当たります。消費者庁の「特定商取引法ガイド」によると、通信販売の広告には次のような事項を表示します。

  1. 販売価格(役務の対価)
  2. 代金の支払時期と方法
  3. 役務の提供時期
  4. 契約の申込みの撤回や解除に関する事項
  5. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
  6. 価格のほかに相談者が負担するお金があるときは、その内容と額
  7. 契約を2回以上続けて結ぶ必要があるときは、その旨と条件

請求があれば遅滞なく書面や電子メールで提供することを広告に書き、実際にそうできる準備をしていれば、一部の表示を省略できます。自宅で開業する人は、住所の扱いをここで考えておきます。

特定商取引法は、著しく事実と違う表示や、実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示(誇大広告)も禁じています。相手が承諾していないのに電子メール広告を送ることも原則として禁止です。「必ず悩みが解決する」「必ず当たる」のような書き方は避けましょう。

占いで開業するときに気をつけること

占いには国家資格がなく、始めやすい分、消費者トラブルにも注意が要ります。国民生活センターによると、占いサイトやアプリに関する相談は年間1,000件以上寄せられ、年度別では2016年度1,490件、2017年度1,406件、2018年度1,430件、2019年度1,837件でした。8割が女性のトラブルです。

相談事例では、無料のつもりで登録したあと、メッセージ1通ごとに料金がかかるやりとりに誘導され、高額を払ってしまったケースが紹介されています。国民生活センターは、「無料で利用するつもりが有料のやりとりに誘導されている」「やめたいと思っても引き止められてやめられない」ことを問題点に挙げています。

消費者契約法は、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、重大な不利益を避けられないと不安をあおり、契約が必要不可欠だと告げて結ばせた契約を、取り消せるものとしています。この取消権は、令和5年1月5日に施行された改正で強められ、追認できる時から三年間、契約の時から十年まで行使できます(消費者契約法第7条)。

カウンセリング・占いで開業する手順

  1. サービスの範囲を決める:心理の相談・キャリア相談・占いのどれかを決め、医業に当たることはしないと案内に書きます。
  2. 肩書きを決める:公認心理師の登録がなければ、「公認心理師」「心理師」は使えません。民間資格は正式な名称で書きます。
  3. 料金と時間を決める:1回の時間、料金、キャンセルの扱いを決め、申し込み前に示します。
  4. 申し込みの窓口と表示を整える:ネットで受けるなら、特定商取引法の表示事項をページに載せます。
  5. 開業届を出す:個人事業として始めるなら、税務署に開業届を出します。ひとりで始める事業の形はひとり起業の始め方も参考になります。

よくある質問

カウンセラーとして開業するのに資格は必要ですか?

相談に乗る仕事そのものを禁じる法律はありませんが、「公認心理師」の名称は登録者しか使えません。病気の診断や治療は医業なので、医師でなければできません。

占い師として起業するのに資格や許可は要りますか?

占いの国家資格はありません。ただし、霊感などを使って不安をあおり契約させると、消費者契約法で契約を取り消される対象になります。説明と料金の示し方に注意します。

カウンセリングの料金はいくらくらいですか?

決まった相場はありません。一例として、日本産業カウンセラー協会四国支部の相談室では、1回50分(初回60分)で一般8,800円(税込)でした。

オンラインでカウンセリングや占いを売るときの注意点は?

ネットで申し込みを受けると特定商取引法の通信販売に当たり、広告に価格・支払時期・事業者の氏名・住所・電話番号などを表示します。誇大な広告も禁止です。

出典

  1. 公認心理師法(e-Gov法令検索)(2026年10月28日閲覧)
  2. 公認心理師試験研修センター「⑧登録者数の状況」(2026年10月28日閲覧)
  3. 公認心理師試験研修センター「公認心理師の都道府県別登録者数(2026年9月末)」(2026年9月末日現在・2026年10月28日閲覧)
  4. 医師法(e-Gov法令検索)(2026年10月28日閲覧)
  5. 国民生活センター「それって占い?!占い師や鑑定士を名乗る者から次々とメッセージが届いてやめられない」(2020年11月26日公表・2026年10月28日閲覧)
  6. 消費者庁「特定商取引法ガイド」通信販売(2026年10月28日閲覧)
  7. 日本産業カウンセラー協会四国支部「賛助会員制度のご案内」(2026年10月28日閲覧)
  8. 山梨県「霊感商法等による消費者被害の救済の実効化のための消費者契約法等の改正」(2026年10月28日閲覧)
  9. 消費者契約法(e-Gov法令検索)(2026年10月28日閲覧)

数字は出典の時点のものです。誤りや古くなった数字を見つけたらこちらからお知らせください。

監修:前田晃介
FP・宅建。まがりDEバナナ(ピーク時108店舗)、癒し〜ぷ(約40店舗)の本部を立ち上げ、そば屋・うなぎ屋を経営。詳しく

公開 2026年10月28日

前田晃介が事業をゼロからつくる1年を、数字ごと見る。

使ったお金・判断・失敗まで公開する会員制のコミュニティ。まずは無料のLINEで記録を受け取れます。

あわせて読みたい